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①⑦『白獅子夢物語』
♰17 陛下のお茶会。
雲みたいなふわふわを背中に感じる。なめらかで心地いい。
けれどもふもふを求めて手を伸ばす。どんなに手を伸ばしても見付からない。
目を開けば一面が白なのに、そこにライオンはいなかった。
今日もレオがいない。もう三日目だ。
はぁ、と出した大きな溜め息は、白いシーツを微かに揺らすだけだった。
「……?」
寝返りを打った先にある窓の向こうには、明るいスカイブルーの空がある。
今まで気にしなかったけれど、今は何時だろうか。
大きすぎるベッドを降りるのは寝起きだと辛いから、転がって脇にあるチェストの上に置かれた時計を見る。金と白の綺麗な時計は、変な文字だけれど十一時半を指していた。
ぱちくりと瞬きをする。
午前十一時半なのだろうか。疑うけれど、きっと現在は午前十一時半。
血の気が引いた気がする。慌ててベッドから飛び上がり、扉を開く。
目の前には、ピシッと騎士の制服らしい金と青のラインがあるロングコートを着ているノヴァさんが立っていた。
「おは」
「なんで起こさなかったのですか!?」
「……休ませるべきだと、思った」
ノヴァさんの挨拶を遮って問い詰める。彼は簡潔に答えた。
睡眠を邪魔しないように気を遣ってくれたらしい。
「で、でで、でも、お、王様と話をするのでは……!? 小娘ごときが寝坊で王様を待たせたりなんかしたら……コウシュ刑!? あたしの首が飛ぶ!?」
王様と話す約束があったはず。あたしは青ざめて首を押さえた。
首が飛んじゃう! ザシュってチョン切られちゃう!?
恐怖のあまり心臓が口から飛び出しそうだ。
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