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②⑨『白獅子夢物語』
♰29 似てる人。
ふわふわと言うか、もこもこと言うか、もふもふ。
最高な触り心地の鬣に埋もれながら抱き締めたくなる。
レオは上から退かずにあたしに顔を擦り寄せてきた。
じゃれてくる大きな猫は無邪気に笑って見えて、あたしは可笑しくて笑い声を上げる。
ひとしきり笑ったらレオは漸くあたしの上から退いた。丘を先に降りるレオ目掛けて突進して押し倒す。
どうだ! とレオの上に寝そべって見下ろす。
目を見開いたけれど、レオは受けて立つと言わんばかりに、あたしをまた押し倒した。レオはとても楽しそうで、あたしも楽しくて笑いが止まらなかった。
あたしといる時のレオは、とても穏やか。
心地よさそうにあたしの隣で寛いでいた。
森の中はレオの心を象徴しているみたいで、素敵なところ。
気高くて神々しいほど美しい白い獅子が、唯一気を許して一緒にいてくれた。
あたしの帰る場所になると言ってくれた彼は、必ず迎えに来てくれる。
帰る場所だと言いながら、迎えに来てくれるんだ。
彼にとっても、あたしが帰る場所だから――――…。
目を開けば、白い人が立っていた。
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