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③①『白獅子夢物語』
♰31 エドワード。
エリオットとカルヴィンが可笑しい。
エリオットの場合、軟派で女の子を構わずにはいられないけど、カルヴィンと競ってキオリ様と差し入れしていた。
カルヴィンはキオリ様に無関心だったのに、急に変わったらしい。
なぁんか、茅の外にみたいで嫌な感じだ。
陛下に責められて、更にはノヴァが倒れて、精神的にダメージが大きいから、すごく心配してたけど、結構強いのか、キオリ様は元気そうだった。
ノヴァが復活したことが、っと元気の源になったのだろう。
ベルベス隊長の本気の稽古にも真剣そうに取り組んでいた。必死にベルベス隊長の斬撃に耐えていた健気な姿には、近衛騎士の皆が心の中で応援していたに違いない。
天才博士に呼ばれて地下に行けば、蒼白の大男の博士にキオリ様は怯えていた。
かつてないほど、天才博士ことノーマン博士もキオリ様が気に入ったみたいで、終始笑顔だった。
キオリ様は、心底怯えていた様子だったけど。
博士の部屋をあとにして、保護した子ども達の部屋を訪ねて廊下を歩いていれば、キオリ様はノヴァの呪いについて考えているのか黙り込んでいた。
黙って考え込むタイプらしい。どうりで大人しいわけだ。
「キオリ様、着きましたよ」
「あっ、はい」
通り過ぎてしまう前にキオリ様に声をかける。彼女はハッとしたように顔を上げて足を止めた。
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