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②②『白獅子夢物語』
♰22 海の世界。
この世界は、例えるなら海だと思う。
それであの森は、海底だ。
深い青色の底は、誰も知らないけれど、とても穏やか。
ふわふわと、揺りかごみたいに、心地いいんだ。
時々荒れた波にさらわれる。海面は荒々しく揺れて、溺れそうになるんだ。
でも、海底に沈むと呼吸が出来る。深い青色があたしを優しく包み込んでくれるんだ。
白い白い、ふわふわな鬣。
いつまでも撫でたくなるライオンの瞳は、海底の色。
湿った鼻に、あたしの鼻を押し付けて笑うと、レオも笑った気がする。
大きな顔に頬擦りすれば、レオは気持ち良さそうに喉をゴロゴロと鳴らした。
そっと抱き締めれば、ふわふわな鬣に埋まる。心地がいい。
男らしい大きな右手が、あたしの髪を撫でて、頬に当てられた。
白い髪の隙間からあたしを見つめる青い瞳は、とても穏やかで心地よくなる眼差しだ。
艶やかな唇が近付く。
この唇のおかげで、息ができるんだ。あたしがそうであるように、彼もそう。
唇を重ねて、息をする。
とろとろに溶けてしまいそうな、甘い夢――――。
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