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③『白獅子夢物語』

♰03 湖の水浴び。


 スカイブルーの空に伸びる大きな白い幹の木を見上げる。
 それからハーブみたいな香りがする湿った草の絨毯に視線を走らせる。
 草の絨毯の先には、木々が並ぶ生い茂った森があった。
 変わらない風景。

「…………何故だ。何故、こんなにも長い夢なの。三日目よ、三日目。ライオンと出会った一日目、ライオンと狩りをした二日目、三日目の朝よ、今。なんでこんなリアルに三日目を感じるんだろう、何故夢だと気付いているのに起きないんだろう」

 白いライオンが寝そべる横で、セーラー服のまま座り込んでいるあたしは自問自答を続けた。

「手は昨日の果汁でベタベタしてるし、髪はボサボサだし、なんでこうリアルなの? リアルを追求した夢なの? ライオンと森でサバイバル生活って何のリアルを求めてるの!?」

 こんな夢を見ている自分に問い詰めてみるけど、答えはわからない。

「はっ!? ま、まさかっ……!」

 まだ林檎の香りがする掌で顔を押さえてから、ある答えに辿り着く。
 あたしは隣の白いライオンの青い瞳と目を合わせた。レオと名付けたライオンは、ただあたしを静かに見つめる。

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