⑤『白獅子夢物語』
♰05 剣。
目を開けば、若葉色の木の葉の隙間の向こうに明るい空。
宝石みたいに煌めいている。
顔を上げれば、私の頭を囲うように白いライオンが寝そべっていた。
気持ち良さそうに眠るライオンの寝顔を見つめてから、起き上がり背伸びをする。
「……なんで……」
その体勢のまま、白い幹の木を見上げた。
「いつもここなんだ?」
目覚める度に、どっしりした白い木の根元にいる。
「ここが……あたしの?」
ここがあたしの帰る場所なのだろうか。
あの男の人の姿を捜してみたけれど、周りにはいない。
首を傾げてレオに目を戻せば、男の人と同じ青い瞳が開いていてあたしを見上げていた。
「おはよう、レオちゃん」
ここから先は
4,050字
¥ 100
期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?