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①⑧『白獅子夢物語』

♰18 蛙の像。


 あたしは部屋に送られるはずだった。なのにどうしてこうなったのだろうか。
 右に曲がれば王様達がいる広場が見えなくなった。途端に煉瓦の塔と塔の間の隅っこに連れ込まれてしまう。
 漫画でよく見る体育館に呼び出されたような状況になてしまった。

「伝説の聖少女だからって、おれ達は特別扱いしないぜ!」

 どんっと仁王立ちして胸を張る騎士は、小柄な方だけれどもあたしよりは大きい。
 脇には彼よりも背の高い男の人がいるわけで、煉瓦の塔を背にしたあたしは縮こまって俯く。

「エドワード、そんな威張るなよ。ほら、聖少女ちゃんが怖がってるじゃん。だから小さい上に女の子にモテないんだよ?」

 爽やかにブロンドの優しい感じの騎士さんが笑う。
 あたしと目を合わせると、ニコリと笑いかけてきた。

「小さい言うなテメェコラ!! 今それ関係ねぇし!」

 気に障って小柄な騎士さんが怒鳴った。赤茶の髪をオールバックにした彼は、エドワードって名前らしい。キリッとした印象を持つ眉毛は黒くって太い。

「いやいや関係あるよね、女の子の扱いについて話してるんだ。ガサツ過ぎるよね、カルヴィン」

 爽やか騎士さんは、眼帯の騎士さんに話を振る。
 短い茶髪の前髪は、右目に当てた眼帯を半分隠していた。左耳のところは刈り上げているのが見えた。
 腕を組んでそっぽを向いていたけれど、ライトグリーンの左目をあたしに向ける。でもすぐに興味がなさそうに横にずらすと、向かいの塔に寄り掛かった。

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