④『白獅子夢物語』
♰04 名。
「死んだ!?」
ハッとして目を開くと、甘い香りがした。
スカイブルーの空と白い幹の大きな木が目に映る。
頭の後ろが心地いい。見てみれば、青い瞳と目が合う。
ライオンのレオだ。
寝そべる彼のお腹に、あたしは頭を置いて横たわっている。
「夢……じゃない?」
起き上がれば、甘い香りの正体に気付く。
熟した明るい橙色のマンゴーが周りにゴロゴロ置いてあった。
「レオが助けてくれたの? ……あれ? 男の人だったような……」
マンゴーを手に取りそれを嗅ぎながら、首を傾げる。
白い男の人がいたはずだけど……周りを見てもいない。
「レオが取ってくれたの? ありがとう」
笑って礼を言ってから、レオをじっと見てみた。
あれ。あんな高い木を、四足歩行のライオンが、登れるだろうか。
木登りは得意な方の動物だけれども……。
ま、疑問に思ってもしかないよね。夢の世界だもん。
早速食べようと、爪を食い込ませて皮を向く。
包丁が欲しい。花切りにしてスプーンで食べたい。
でも流石に包丁は降ってこないよねー。
苦い皮を向いてから、甘い果実にかじりつく。
するとレオが立ち上がり、のそのそと歩き出した。
見送りながら、マンゴーを堪能していれば森の奥にレオは消える。
ぽつりと、森で独りぼっち。
「………………待って!」
もう一つマンゴーを持って、慌ててレオを追い掛ける。独りは嫌!
どうやら気を失ったあたしが目覚めるまで待っていてくれたらしく、レオは狩りをした。
仕方ないから、あたしも追い掛けながら森を走り回る。
レオはまた兎を掴まえてから、果物が実る丘でゆっくり食事。
あたしも果物にかじりついてお腹を満たしたあと、花畑に寝転がり昼寝をした。
目が覚めれば、またもやレオに狩りをさせられて森を走り回る。
またもや疲れて寝てしまったらしく、目を開けば暗い。
目覚めると、いつも白い幹の大きな木の下だ。
「やはり効かぬか……お前が"そう"なのだな」
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