
9.チャート分析論 【インジケーター不要説】
今回はチャート分析の考え方について説明していきます。
チャート分析とは、チャートから過去の値動き読み取り、それをもとに今後の値動きを予想することです。
では、未来の値動きを予想するのになぜ過去の値動きを見なければならないのでしょうか。
その答えはFXというゲームの本質にあります。
チャート分析と相場の原理
これまでの記事で、FXはゼロサムゲームであり、誰かの損失が誰かの利益になっているというお話を何度もしました。まさに「勝たなきゃ誰かの養分・・・」ですね。
FX相場で行われていることは、相場参加者同士の資金の取り合いです。チャートはレートの推移をグラフで表したものですが、それは相場参加者同士の資金のやり取りの痕跡でもあり、不完全情報ゲームにおける与えられた部分の情報です。その情報を基に、資金のやり取りの痕跡を分析して損切りが発生しそうな場所、つまり、含み損のポジションを抱えた相場参加者が取り残されているレートを炙り出していきます。
そこで注目しなければならないことは、「どこで」「どのような」資金のやり取りがあったかということです。
「どこで」とはレートのことであり、「どのような」とはチャートの形のことです。
例えば、「このレートがサポートラインとして機能していたけど、そこを下抜けてしまった」とか
「上昇トレンドが継続していたのに、このレートから一気に下降して上昇トレンドが崩れてしまった」といったようにチャートを分析していきます。
チャート分析とインジケーター
チャート分析というとインジケーター使用するものだという方も多いと思いますが、私はナンセンスだと思います。
インジケーターの多くは、過去のレートと現在のレートを合わせて計算した数値をグラフにしています。チャート分析は過去にどこのレートでどのような資金のやり取りがあったかということを分析しなければならないのに、過去のレートと現在のレートを混ぜてしまっては、その数値は一体、何を意味するものなのか分からなくなってしまいます。
さらに、相場というものは大口の投資家たちの莫大な資金や、それに便乗する個人投資家たちの資金によって動いていると考えられます。つまり、相場が上がるか下がるかというのは、ロンガーとショーターの資金量の多数決によって決まります。
インジケーターの設定や組み合わせのパターンは無限にあります。自分のインジケーターで買いのシグナルが出ていたとして、それは相場を動かす多数派のみなさんが見ているものなのでしょうか。多数派のみなさんのチャートにそのシグナルは現れているでしょうか。
それに対して、過去のチャートの形は誰にも変えることができません。誰のチャートにも同じものが表示されます。誰がどんなインジケーターを使用していようとも、どこでどのような資金のやり取りがあったのかという過去の痕跡は誰もが同じものを見ています。多数派に入るためにはみんなが見ているものを基準に考えた方が合理的ですよね。
未来の値動きを予想するヒントはチャートの左側、つまり過去の値動きに隠されているので、インジケーターのように現在の値動きを追っていては利益を上げるのは難しいと思います。
※本記事の内容は筆者が投資において有益であるものと確信していますが、その正確性を保証するものではありません。万が一、本記事に記載の内容に従って投資を行い、損害が発生しても筆者は一切の責任を負いません。投資は自己責任でお願いします。