自分の現在地を訪ねて
コロナ禍のなか、暮らしは日々変化しますが、私の仕事ぶり、働きかたはようやく一定のところに落ち着いてきたように思います。今がベストかというとそれはわからないですが、私なりに出した解のとおりに動き、ようやく居場所ができてきました。ここ2年弱のことを少し振り返ってみようと思います。
👉好調だった入社一年目
昨年7月のこと、当時のフランス人CEOに見初められ現職に入社しました。今思えば私としては「乞われて入った」との思いが強かったのかもしれません。必死で働き同時に結果を出す一方で、周囲に対して傲慢だったと思います。今考えるとあり得ないのですが。それでも同じ会社の社員でいることを許してくれた同僚には本当に感謝していますし、その分も謙虚でいなければならないと思います。
👉コロナ禍を迎えて
理由は様々でしょうが、私を採用してくださったフランス人CEOがこの春に退任しました。少し嫌な予感はしました。いろいろありましたが彼は最後まで私を買ってくださっていて社内の立ち位置はそれなりによかったのです。それが新体制になって果たしてどうなるか。
結果、予想もしないことがいくつか起きましたし、私は消えるしかないとまで思う日々が続きました。そんな中で周囲と対立するのではなく、自己主張するのではなく、自身がどういう役回りを演じればこの組織がいちばん機能するかということを考えに考え抜きました。
そうするうちに私は別人になりました。今までのキャリアやプライドをかなぐり捨て、この会社での最初の一年間のことも忘れて、この人員構成でどういう立場であると表明するか。どう思考し、行動に移すのか。
端的にいえば、大きな会社だろうが小さな会社だろうが「序列」が必要なのです。私は元来組織というものはフラット化するのがベター、ベストと考える派ですが、「自分が上」と自らを誇示したい人も一定数というか、かなりの割合でおられるのが事実。私もそういう人間なのかもしれません。そうしたときに「いや、私のほうが上」と言えば、それは当たり前のように衝突するでしょう。答えは簡単で、誰かが下に降りればよいのです。もしくは土俵を変えればよい。そうすれば様々なバランスがよくなり、組織が組織として動き始めます。これは上司・部下という固定的な観念ではなく、組織内における仕事上の流れをつくり出すのです。
👉まずは自分が変わるべし
最初はためしに卑屈なまでにへりくだったり、折り合いのつくポイントを探したりしましたが、じきに自分のポジションがわかりました。あるポイントを見定めてそこに一定期間留まれば、「自分が上」の人も距離感のとり方を覚えてくださり、無用な反発などない「定位置」ができてきます。
それは決して「おべっか」とかそういうものではないです。無駄に自己主張しても組織はうまく回らないですし、何より自分自身が心地よい毎日を過ごせません。それを理解するまで数か月要したような気がします。大抵の人はそれくらいとっくのとうに身につけているのかもしれませんね。
長く務めてきた会社であれば自分の処し方が無意識にわかりますが、ある程度進んだ年齢で新しい組織に飛び込んだ場合には相応の成果を求められるだけに新入りにも関わらず肩ひじを張ったりしがちです。それでうまくいく場合もあるかと思いますが、どうなのでしょう、人間は誰しも謙虚なほうが成功する確率が高いような気がします。闇雲にへりくだるのではなく、周囲との関係性の中で自分がどういう自分でいることが全体最適かを常に考えること。そうすれば同僚たちからの協力も得やすくなるでしょうし、何より結論的には自分を自分らしく保ちやすいと思います。変なプライドやエゴに引っ張りまわされる方がよほど損です。組織の中で「私はえらいんだ!」とえばっていても、しょせんその組織の中での話ですし、また、そういう俺様的なものって多くは過去の栄光なんですよね。そういうものは自分だけの思い出にして他者との関係の中では捨て去ってしまったほうがよいように思います。
👉素の自分を追い求めて
今の自分に何ができるか、何をやりたいのか、それらを純粋に考えて今を謳歌することが人として理想的なことですね。私もようやく素の自分を久々に見つけた気がします。
別に人の上に立ちたいなんて子供の頃からごく最近まで思ったことがないのです。三年弱前に某社から引き抜かれたことで舞い上がってしまい、もっと高みを!と常に自分に対して言い聞かせてきたように思います。そういうセルフストレッチの呪縛から自分から解き放てたような気がします。
素の自分はこのあたりにいそうです。もうすぐ自分探しが終わるのでしょうか。というかもうじき自分の現在地がわかりそうな気がしています。
未来の自分がどうあるべきかについての結論が出たわけではありませんが、常に自分自身を見失わないようにしていくこと、これが一番大切かと思います。それを意識していればこの苦境下も乗り越えていけるような気がします。
という訳で楽にいきます。忙しい時も、落ち込んだ時も、気分が高揚した時も。常に一定を保って。