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「冬の使者に告ぐ」

響きという響きが町じゅうを埋め尽くし
匂いという匂いが体じゅうに染みわたる

どこまで続くのだろう
この目で確かめたくて朝一番で飛び起きた
澄んだ空気の先に緩やかな弧を描く山の稜線
子供の頃、端から端まで駆けた夏の日の浜辺
辿りつかない終点を、先端を目で追うばかり
そんなとき、どうしても思い出すのだ
もう一歩踏み出す勇気を持てなかった冬の日を

冬の使者に告ぐ、耳を澄まして聴くがよい

春よ早く来い

目の前の真実を何ひとつ打ち消せぬまま
許されるものと許されないものが
入り混じって濁りきった黒の墨汁で
毒と愛の混ざった言葉を並べていく

耐えて、ただひたすら耐えて
果てしないこの歌の終わりまで耐えて
誰の目にも映らぬよう秘かに懺悔する
本当はとても小さな小さな道端の草花
それが私だ、摘んでくれ

グシャリと砕けたガラスの心
崩れ切った身を宙に委ねたまま
精いっぱい種を撒き散らしつつ
冬の使者に告ぐ

春よ来い、早く来い

12月の風はとても冷たい

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