飛び込みで自動二輪免許とるぞ!
どうやら私は自分でも気づいていなかったのですが、結構なあがり症だったようです。練習ではできたことが本番になると緊張してしまい、うまく体が動かないんです。これでは飛び込み一発検定には向いてませんねぇ。最初から素直に教習所に通っていれば楽に免許を取得できたものを・・・。この段階ではまだそのことには気づかず、まぁ初めてのチャレンジだし、次は大丈夫だろうという謎の自信だけはあったのです。
そして2回目のチャレンジの日。その日は中型MTの検定に20代くらいの娘さんがお父さんに連れられて来ていました。一見するとおとなしそうな雰囲気の女の子で、とてもバイクに乗るようには見えません。人は見かけによらへんのやなぁ。それに比べてお父さんの方はいかにも大型乗ってます!といった雰囲気で、検定が始まる直前まで熱心に娘さんにアドバイスをしていました。そしていよいよ娘さんの検定が始まりました。さすが熱血お父さんの指導を受けているだけあって順調にコースを進んでいきます。これは合格するんちゃうか?と他の受験生も固唾をのんで見守ります。やがてコースも終盤にさしかかり、後は急制動と障害物の回避をクリアすれば晴れて合格という時、それは起こりました。
ここで少し補足説明をすると、急制動とは急ブレーキをかけて指定されたラインの手前に停止できるかを見極める検定です。しかもそのラインの手前にセンサーが設置されており、野球のスピードガンそっくりな電光掲示板に速度が表示される仕掛けになっています。そのセンサーを通過するときに指定された速度に達していなければやり直し。1度は再チャレンジできるんですが2回目のチャレンジでも指定速度に達していなければ検定中止になってしまいます。確か小型では30km/h以上、中・大型の場合は40km/h以上出さないといけなかったと記憶しています。
急制動ポイントの手前は直線になっていてその直線で充分に加速する必要があります。しかしその直線を進む娘さんのバイクは素人目に見ても明らかなオーバースピードです。エンジンも唸りをあげています。オイオイ、大丈夫か!?怖いなぁ、ヤバイなぁと思っていた矢先、けたたましく路面とゴムが擦れる音、タイヤからの煙。娘さんのバイクは強くブレーキをかけすぎたためにタイヤがロックしてしまい、恐怖からハンドルを切ったのかそのまま横倒しになってコース上を滑走していきました。試験官が無線室から飛び出します。熱血お父さんも慌ててダッシュ。我々受験生もその場に駆け付けました。娘さんはぐったりと地面に横たわっていて、膝からは出血しているようでした。これはえらいこっちゃ!
二輪検定コースの隣は原付のコースになっていて、そこからも指導員のおじさんが走ってきます。試験官が救急車を手配し、検定コース内には救急車が入れないため、娘さんは急遽試験官が運転する四輪の検定用の車に乗せられて試験場の玄関まで運ばれて行きました。この出来事がきっかけで、その後私の中では急制動がトラウマになってしまい、なかなかスピードに乗れなくなってしまったのでした。
原付コースの指導員のおっちゃんと顔を見合わせ「大変でしたねぇ。」と妙な連帯感を感じつつ世間話をしていると、どんな流れなのかは忘れてしまいましたが「わし、昔白バイに乗ってたんや~」という話になりました。そうやったんや・・・。てっきりボランティアのおっちゃんやとばかり思ってたけど、案外昔は強面の白バイ隊員やったんかもしれへんなぁ。そういえば元白バイ隊員やった指導員の股間に、ウチの息子は原付スクーターで突っ込んだんやなぁ・・・。おっちゃん、許してな。
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