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カンボジア、シェムリアプより活動報告

こんにちは。アンコールクライマーズネット代表理事の浅井です。ご支援いただいている皆様、この度は我々の活動に深いご理解、暖かいご支援をいただき誠にありがとうございます。

今日はカンボジア、シェムリアプから第一回目の活動報告を行います。

12月21日(土)山梨県大泉町。アンコールクライマーズネットの理事が集まりカンボジアでの活動計画をシェアしました。2025年1月8日カンボジア、シェムリアプに到着。現在は生活基盤を整えながら1月10日の現地スタッフミーティングの準備をおこなっています。

日本でのミーティングの様子。
※家族向けアウトドアツアーSNS事業としてYouTube撮影を同時に行なっています。

今回私たちが行う活動は主にワークショップになります。ワークショップの内容を説明する前に少しだけ脱線します。

2024年カンボジアの選手『ヤン・ファイ』が、中東ドバイで開催された国際大会でトップ10入りを果たしました。それがカンボジア国内のテレビニュースで取り上げられ、カンボジアではスポーツクライミングがさらに多くの人に認知されています。

IFSC国際ボルダリング大会に出場しトップ10入りを果たすヤンファイ。

日本でもクライミングといえば室内のボルダリングを思い浮かべる方が多いですが、カンボジアでも同様のことが起きています。認知されること自体は文化を作る上で大切です。しかしバランスを欠いた認知は、特にクライミングのような危険を伴うスポーツにおいて大きな損失となることもあります。

日本の中部、群馬県に妙義山があります。この山は非常に急峻で一つのミスが滑落死を招いてしまうようなリスクを孕んでいます。しかし、一時期『一般登山道』というバランスを欠いた認知が広がったため、クライミングの知識がない方、リスクマネジメントについて学んだことのない方が登山に赴き(中にはハイヒールで登る方もいたとか、、、)多くの死者を出しました。私はこれを妙義山の悲劇と呼んでいます。

現在は正しい技術を有したガイドの方や、リスクマネジメントを学んだ登山者が多く、一時期よりも事故は少なくなっている印象です。しかし毎年犠牲者を出している、登山としてはとてもレベルの高い山域です。

カンボジアの人々は東南アジアでも最も性格がおだやかな人種(クメール民族)と言われ、他の東南アジア諸国に比べて経済規模も小さく生活も慎ましい。そんなクメール人と長年関わって気づいたのは、運動神経が高く素直な人が多いことです。それは素晴らしいことなんですが、クライミングでは場合によっては裏目に出ます。

クライミングにおけるリスク管理は「とにかく疑ってかかること」です。先ほども書きましたがクライミングでは一つのミスが死に直結することも多い。運動神経が高いということは、裏を返せば本人が気付かないうちに死の領域に足を踏み入れてしまうということです。

垂直の壁を10m登ることなど運動神経が高ければ余裕でできます。でも滑落係数や、地質学的観点から岩の脆弱性を知ることはできません。こういったクライミングの運動としての技巧性以外のことをリスクマネジメントと言います。

今、カンボジアは「スポーツクライミングはかっこいいもの」として認識されています。このまま素直に「かっこいい」だけで走っていくことは第二の妙義山の悲劇を生み出すかもしれない。そのリスクを今のうちにマネジメントしておきたい。これが今回私がカンボジアに赴いた理由です。

カンボジアで行うワークショップは3つ。
1、クライミングの倫理観を身につける。
2、安全に登る技術を学ぶ。
3、アウトドア文化の成熟によって自然環境が保護される仕組みを学ぶ。
これら3つのワークショップをPDCAに絡めながらバランスの良い文化形成を促す計画です。

Plan、岩場の開拓から情報処理の方法を学びます。
Do、岩場の保全と周辺地域との関わりを学びます。
Check、リスクマネジメントを学びます。
Act、クライミングを楽しみ次世代に伝えます。


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