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リードクライミングのレベルアップにボルダリングを活用しよう!


好みが分かれる仕組み

リードクライミングを好む人はボルダリングをあまり行わず、その逆もまた然りです。こういった現象はクライミング界にとどまらず、サーフィン界でもショートボードを好む人はロングボードはあまりやらず、逆も同様です。これは全てが同様というわけではなく「概ねこのような傾向である」というマジョリティパターンです。

クライミングと一言で言っても種類は様々。登ったら海にジャンプするディープウォーターソロクライミング。ギリシャ、カリムノス島でエーゲ海をバックに登る。

こういった現象の理由は、目的の違いです。ボルダリングに求められることは技巧的な身体動作です。一方でリードクライミングには持久力と戦略が求められます。

フルパワーでガンガン攻めたい人がボルダリングをやると早い段階で楽しさを実感しますが、リードクライミングでそれをやろうとしてもルートの長さに体力が追いつかず、またロープワークなど登ること以外のタスクも加算され、楽しい実感を得るまでに時間がかかります。

目的と手段がズレると、利益としての「楽しさ」までの達成時間が長くなってしまいます。

クライミングセンターに来る方々も、トップロープクライミングをはじめて、次にボルダリングを体験した時、その後の傾向が綺麗に分岐します。理由は先に書いた通り、2つを経験して目的達成までの時間を比較することができたからです。

最初の体験で、目的達成までの時間が短ければ短いほど人は楽しい時間を強く感じます。これが好みが分かれる原理です。この実体験があって、趣味というものは継続のインセンティブを得ます。

最初の体験で「何も出来たという実感がない。でも趣味として、これからも継続していこう!」とはあまりなりませんよね。そうなるには「ダイエットしたい」「筋力を増やしたい」といった、その先に別の目的が必要になります。

はじめてのクライミング体験にはトップロープクライミングがおすすめ。
@佐久平ロッククライミングセンター

レベルアップには別のアプローチが必要

好みが分かり、種目が絞られたら、次は日々の練習をします。

でも、なぜ練習するのでしょうか?その時「楽しい」と思ったのであれば目的は達成されています。目的は達成されて満足するはずなのに、その領域を出ようとする。その理由は何でしょう?

それは人間には「成長」と「向上心」が備わっているからです。

「成長」は身体能力の上昇です。経験の量が増えると技術力や体力が増えるので現在のレベルに満足を感じなくなり、楽しみを得にくくなっていきます。結果的に、より難易度の高い方向へフィジカルが向いていきます。

「向上心」は社会的な背景を持った上昇志向です。大会に出てみたい。大きな山に登ってみたい。難易度の高い課題をクリアしたい。など、別の何かと比較したことによって生まれる「欲」に近いメンタリティです。

技巧性を求めるフィジカル、そして欲を求めるメンタリティ、これがレベルアップには必要な起爆剤なのです。好みが分かれるフェーズでは「楽しさ」に大きなウェイトがかかります。しかしレベルアップのフェーズになると、メンタリティを埋め合わせるための技術が必要になるのです。

「普段リードクライミングをやっているけどなかなか上達しない」という人は、レベルアップ起爆剤としてのメンタリティ、この目標を達成したいという「欲」が、生まれていないのかもしれません。欲がなければ埋める必要もないので、そのままでも良いと私は思いますが、それでも「上手くなりたい」という方は、目的のすり替え効果を狙いましょう。そのために使えるのがボルダリングです。

なぜボルダリングか?

今、あなたは「普段リードクライミングをやっているけどなかなか上達しない」という状態にあり「特にこれといった目標となる山もないし、大会にも興味がない」というメンタリティに居ます。これをすり替えるためにボルダリングを始めてみます。すると、ボルダリングは、リードクライミング上達という「欲」を埋めるためのメンタリティとして機能します。

それ以外に、もう一つ重要な事実があって、それはクライミング能力の向上に最も効果を発揮する練習方法がボルダリングだということです。ただし、楽しみとしてのボルダリングを求めては効果が薄まります。この場合のボルダリングは、リードクライミングのレベルアップ用。一種のレバレッジです。

まとめ

好きなことを知るのと、それを伸ばすのでは、手段も目的も変わってきます。今回はこのあたりの因数分解について書きました。

オフトレという言葉がありますが、あれはまさにそんな効果を狙ったものだと思います。別の種目に触れることでフィジカル的な気づきを体に与えて「もっとこうしたら面白いんじゃないか?発見があるんじゃないか?」というdesire「欲」を生み出す。それをレバレッジに更なるレベルアップを促します。

リードクライミングで伸び悩んだら、ボルダリング練習をしましょう!必ず、成長を感じられるはずです。

ボルダリング練習用記事紹介

『山で強くなるためにクライミングジムで出来るトレーニング2選』山で強くなるためには持久力が必要です。それはクライミングジムのリードクライミングでも同じことが言えます。瞬発力と持久力を両方求める方におすすめの記事です。

『コーディネーションムーブの超基本!軸の動きを意識しよう』体の軸の使い方には2種類があります。それら2種類を使い分けることによって、状況に合った的確な身体動作が可能になります。

『3級を登るために必要なこと3つ』ボルダリングのグレードで3級あたりから、クライミング特有の難しさが出てきます。その難しさを理解し、習得することで、リードクライミングのレベルも上がっていきます。


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