介護保険の前提
「リハビリの内容が変わって運動が大変」
「以前のようなゆったりした体操が良い」
今日、とあるケアマネージャーさんから利用者さんがこんなことを言っていたと聞きました。
その利用者さんの真意は図りかねますが、その意味合いによって対応が変わってきます。
①体力的に運動がキツすぎる
この意味合いの場合、過負荷になっているため運動量の調整が必要です。
ただし、筋力の維持向上にはある程度の負荷はどうしても必要です。
具体的には「運動開始時は話をしながら出来るが、しばらくすると汗ばんできて、会話しながらの運動が大変になってくる」ような運動です。
確かに最近では、「軽い運動量でも運動の時間を多くすることで筋力の維持向上図れる」と言われますが、そのためにはかなりの運動時間を確保しなければなりません。
週に1・2回の半日利用でその運動時間の確保は困難ですので、現実的には負荷を上げていく必要があります。
個人的には運動中の利用者の方のようすや血圧の変化を見る限り、負荷が強すぎる事はないと考えています。
②リハビリ内では手作業などをしてゆっくり過ごしたい
もしこの意味合いなら、リハビリの方向性や意味、ご本人の希望を再確認して何らかの形で合意形成を図る必要があります。
まず前提として、当事業所をご利用の方は介護保険を利用しています。
その介護保険の法律では、第四条に「国民の努力義務」が記載されており、
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第四条 国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。(介護保険法 第四条 引用)
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「お金を国が出す代わりに病気を改善・悪化予防する努力をしなさい」
という物が介護保険法の前提にあります。
このあたりを勘違いしている方はとても多い印象があります。
介護保険はお年寄りをお世話するための法律ではありません。
お年寄りの可能な限りの自立と、その人らしい生活を築くサポートをするという法律です。
強く言えば、改善のための努力をせず、楽に生活をしたいがために介護保険を使っている人は、
本来、介護給付を受ける資格はないということです。
現在、介護保険の費用が膨れ上がり、国の財政を圧迫している要因となっているのは、この介護保険法のベースを勘違いして利用している方が多いためです。
国民の皆様の税金を頂き、今回の消費税増税の一因にもなっている介護保険の利用について。
改めて考え直していきたいですね。
(当事業所に通われる多くのお年寄りは熱心に汗をかきながらリハビリに取り組んでいる方がほとんどです。ほんの一部の方の話ですので誤解のなきようよろしくお願いいたします(笑))