いろいろ謎!?ガラガラの高速バスに乗った話
【要約】防長交通・近鉄バス共同運行「カルスト号」に乗ったら、こいつの先行きが不安になった。
2023年8月2日 夜21時
私は広島市の中心街である紙屋町にいた。これから夜行バスで自宅のある京都に帰る。
ところで、今回のバスは3列独立シートで、広島~京都が4,900円。まあまあ良い部類じゃないかと個人的に思っている。
さて、時間もそろそろなので(正確には、もう特にすることがないので)、バスの乗車地に向かう。今回乗車地は「広域公園前駅」、市街地から新交通システム「アストラムライン」に乗り、終点の駅だ。
余談だが、広島にはいわゆる「地下鉄」がないとされる。現在でも市内の交通は路面電車とバスが中心だ。
しかし、このアストラムライン、この本通駅からの1区間だけ、法律上は地下鉄扱いなのである。
本通駅を発車。詳しい車内放送が流れる前に、列車は次の駅に到着。これで私は広島の地下鉄を全線制覇したことになる。
アストラムラインは最初地下を走り、途中から地上に上がる。しかし夜なので、景色は一緒だった。
そうこうしているうちに終点に到着。約40分の乗車。
駅付近は住宅街で、夜になれば人通りは少ないが、駅前は幹線道路で交通量が多い。中古車販売店が煌々と輝いていた。
バスは定刻の3分遅れ、22:53に到着。
この路線は山口県長門と神戸・大阪・京都を結ぶ高速バス「カルスト号」だ。山口が地盤の防長交通と、関西で幅を利かせる近鉄バスの共同運行。今日の上り便は近鉄バスでの運行。
始発は山口県長門市の仙崎にある「センザキッチン」で、始発の出発から既に5時間経過しており、始発から終点までの所要時間は12時間を超える、長大路線。
ところで、行先表示を見てみよう。このバスは神戸・大阪・京都行きである。逆方向の表示が出ている!
まあ、夜行バスで上り・下りを間違えて乗ることはあり得ないとはいえ…
早速なんとなく何かが起こる予感を覚えながら、車内へ。
ガラガラだ!
私は車内に入って最初にそう思った。
発車後のアナウンスによれば乗客は9人。実は、その9人のうち私含め4人が広域公園前からの乗車である。5時間に渡ってたった5人を乗せながら走ってきて、広域公園前から乗って計9人。ちなみに定員は27人。もう広島始発でも変わらないんじゃないか、いや、そもそも路線の存続自体が怪しいのではないか…
発車後のアナウンス。要旨は以下の3つ。
・席は自由に移動してok
・このバスはワンマン運行で、途中1時間半ほど「運転士の仮眠休憩」を取る
・神戸三宮で降りる人がいないので(注:一応降車地の変更が無いか確認があった)、立ち寄るがアナウンスはせず通過する
ガバガバだ!
始発から終点まで12時間以上かかるのに、運転士は1人らしい。近鉄バスの乗務員なので、ここまでの区間で交代したとかではなさそうだが…。
少なくとも広域公園前から京都駅までは同じ運転士の運転だった。法律については詳しくないのですが、これ大丈夫なんですか?
(注:運行時間の短い便やJR高速バスなど一部の例外を除き、通常、夜行高速バスでは運転士2人が乗務し、代わる代わる運転する形態が取られている)
席の移動は自由とのことだったので、なぜか3列の中央席が割り当てられていた私は窓側の空席に移動した。
途中のサービスエリアを出たところで消灯。後ろも空席なのでリクライニングを全開にして快眠。
気付いたらUSJの到着放送がかかっていた。その後、梅田を経由して京都駅八条口に到着。各所の到着時刻は軒並み定刻より30分程度の早着だった。
さて、何故私がただちょっと面白いだけの高速バスを記事化したかというと、これは一度書いたが、このバスの存続がヤバいんじゃないかと思ったからである。平日だったとはいえ、ガラガラな車内、過酷と予想される乗務シフト、そしてここ数年の運転士不足や地方衰退…
この乗車記が「過去にあった高速バスの話」に… ならないでほしいのはもちろんそうなのだが、数年後には廃止されていてもおかしくないというのが本音だ。
少なくとも私は安い・快適(・面白い)という相反する条件(+α)を満たしているので、関西から広島・山口に向かう時や、広島・山口から関西に向かう時の選択肢としては有効だと思った。
ひとつ何か言うのであれば、広島での乗降場所が広域公園前駅と、市街地から少し遠いことだ。これは、カルスト号が本来山口県各所から関西を結ぶバスであり、広島までの客で席が埋まってしまうのは避けたい、でも空席にするくらいなら広島からでも乗ってほしい、という葛藤の産物なのだと推測している。
ちなみにこのバス、お盆はちゃんと予約が入っているようなので、帰省客や旅行客の支持は一定以上得られているようで、安心。
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