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【☆88話☆】12/1中京11R・チャンピオンズC(バイトリーダーN)
このレースが現役最後の「チャンピオン」レモンポップ。あの歌のように、若い力で襲い掛かる挑戦者たちに、やがて静かに倒れて落ちるのか。はたまた守り通して堂々とリングから去るのか?見届ける僕たちはただ歌うだけ。♪ライラライララァイ~~ #チャンピオンズC
§1.戦いに勝つは易し、勝ちを守るは…
1992年~93年とセ・リーグを連覇した野村ヤクルト。
1990年の監督就任以降、「1年目に種をまき、2年目に水をやり、3年目に花を咲かせる」という方針を露にし、3年目の1992年に本当に大輪の花を咲かせたのだが、花とはいたく脆いもので、連覇を賭けた翌年4年目は苦しい戦いを強いられた。しかし、チームの成長力と底力を発揮してシーズン終盤に11連勝を挙げるなどして、連覇に至った。
優勝を決めた直後のインタビュー。〆の部分では、
「戦いに勝つは易し、勝ちを守るは難し」
と、即興にしてはじつに染みる名言でインタビューを締めくくっていた。
初めの勝ちをもぎ取ろうとする時、未知なる栄誉・栄光に対してものすごいエネルギーが集約するもので、選手一人一人の想いは足し算ではなく掛け算となり、ポテンシャル以上の力を発揮できるというパターン。これはプロ野球だけにとどまらず、部活なり、合唱コンクールなり、会社のチーム営業活動なり、随所でよく見られる光景。
それはチームではなく個人でも同じであり、ようやく付き合えた彼女と、念願の初エッチまで突き進むぞ!と一点勝負するあの情熱とエネルギー。それは時におっ勃つ肉棒だけでなく、睾丸までギンギン痛くなって来る「期待の代償」も伴うも、そんな痛みですら楽しめるあの時間。イメージ通りに進めたいけどなかなかうまくいかないスリリングな過程と、そこにつぎ込む情熱・エネルギーは計り知れないものがある。
ただ一方で、勝ちを守るという立場は案外と難しいもので、モチベーションの維持が最も難しいことがその一因か。いい例が今年オリックスを電撃退団した中島聡監督のように「勝つことに慣れてしまって、選手たちも緊張感が保てなかったし、保たせることもできなかった」と振り返るパターンも。
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俺らだって、やっとヤレた彼女と、いざ2回目ヤリてぇなぁ~となった時、そのハードルはどうだ? 1回目のような情熱とエネルギーをいちいち用いて挑んだか? そうではないだろう? おもむろにキスをして、OPを外側からそっとニ・三度揉み上げると、女はもう半目となって溶けてるので、もうあとはクチュクチュして挿れるだけ。夢の国への楽勝ファストパス。そこには情熱もロマンもあったもんじゃない。
…と、昨日の土曜コラムでもあるまいし、のっけからエロ全開はこのくらいにして、そんな「二度目」に挑む中、坂井リュウセイ騎乗の②レモンポップも、これで引退レースということが先行しているが、連覇がかかる「勝ちを守る」立場・ディフェンディングチャンピオンであることをまず認識しなければならない。
振り返れば去年。
レモンポップは中京ダート1800mでは「死に枠」とされる大外⑮番を引いたことや、初のコーナー4つの中距離競馬で、「うわ…これ来ねえぞ」と玄人たちがみんなこの馬からサーッと引き、その単勝オッズは3.8倍のマユツバ1番人気。フェブラリーSと南部杯を圧勝した馬にしては、かなり嫌われた1番人気となったが、フタを開けて見ればレモンポップの逃げ切り勝ち。
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なんだよ、普通に来るんか~~い!
競馬を知れば知るほど買えなくなるレモンポップに、世の玄人たちはゴール後ね軒並み悶絶。一方、スポーツ新聞の印で買うライトユーザーたちが「1番人気だから強いんだろう、買うか」と何の疑いもなく素直に買った人が勝つという「ウラのウラはオモテ」という、唸るしかない結末であった。
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まあ、そんな方々がみんな相手に12番人気の原君騎乗・ウイルソンテソーロまで買えていたかと言うとそうではなく、結局なんだみんな悶絶したぢゃねぇかというオチもつけ足しておく。
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レースも、坂井リュウセイ以外の周りのジョッキーたちが「大外枠からレモンポップ勝てんのかよ?」と哀れみ目を浴びせるかのように、外から逃げるしかないレモンポップをみんな許容。スンナリハナを切ったあとは先団・後続が誰も競りかけなかった。まるで腫れ物に触るな!と言うかのように誰も絡まなかったんだ。
2番人気のデビューから5連勝の3歳馬・セラフィックコールは、砂を被らないで脚を溜める自分の競馬に必死すぎて、はるか彼方のレモンポップどころではなかったことも、この落ち着いた流れの一因であった。
1コーナーに入ると流れは落ち着き、3F目が12.9。4F目が12.4。1000m通過は1.00.9とG1としてはミディアムスローに。こうなると「あれ?来ないの?ならいくよ!」と坂井リュウセイ攻め100%。3~4コーナーをロスなく回って果敢に逃げるだけで、最後は迫りくるウイルソンテソーロの追撃を1馬身1/4差凌いで待望のG1・初制覇となった。
つまり、1番人気が悠々と逃げているのに、誰もツブしに行かなかったある意味「ヌルい」職場でもあったのも事実。
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この勝ちで、レモンポップは1800mもこなせると言い切るのはどうなのだろう? 坂井リュウセイも騎乗後「なんとか我慢してくれました。最後はこの馬としては、止まった感じでした」と正直に吐露。とても1800mベスト・範疇とする馬に騎乗した後のコメントではないものだった。
年明けのサウジカップでは、慣れない環境なり体調面はあったにしろ、勝ち馬に3.6秒も離されての負けは、少なからず1800mが範疇と言われるれる馬の負け方ではないし、そんな本質にフタをするように、その後のレモンポップは1400mと1600mしか使われていない。
これがもし、9月の船橋・日本テレビ杯にでもエントリーして、ウシュバテソーロなりデルマソトガケなり、勝ったウィリアムバローズとガチのハナ争いを制して、堂々と1800m適性を証明してここに挑むというのなら「ハハァ参りました」と言えるものの、「1800m疑惑の栄冠」から一年。その真の1800m適性が一度も証明されないまま、最後にまたこの1800mを、1番人気で挑むレモンポップ。
ただ、田中センセイとしても、得意距離の南部杯で引退します。とは言えない。去年のディフェンディングチャンピオンとして、出て終わらなきゃ、示しがつかないでしょう? コレが本音なのかもしれない。
これには周りたち。今年は黙っていない。
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こんどの②レモンポップ包囲網。これはなかなか手ごわいぞ。
当然に、去年、レモンポップに誰も競りかけなかった先行馬は、ここぞとばかりにプレッシャーをかけ、つぶしに行くと見るし、オラがジョッキーでも、まず②レモンポップをつぶしに行く。
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各ライバルたちの鞍上にも、その気持ちは高まっていて、先日の南部杯でも、同じマイルG1馬・④ペブチドナイルの藤岡ユースケも「ストップ・ザ・レモンポップ」で、好スタートから最内枠のレモンポップにプレッシャーをかけようとしたが、レモンポップもまた好スタート。
しかし、与えられた枠順の並びがもう「差別」だった。
最内枠でロスなく進めた①レモンポップに対して、ペプチドナイルは8枠⑭番。しかも、盛岡の1600m2コーナーのポケットからスタートなのだが少しだけカーブがあり、外枠は数メートルほどだがロスを強いられる。
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それもあって、➀⑭どっちも好スタートを切っても、⑭ペプチドナイルはコーナリングと馬体を斜めに切れ込ませることでロス。2番手でついて行くのが精いっぱいでそれほどプレッシャーをかけられず、最後はイッタイッタの2着。
「あれ?レモンポップ、案外とブッチ切らないぞ」「これ、枠順が逆だったらどうだったんだろ?」と思わせる3/4馬身差の辛勝であり、限りなく
レモンポップ ≒ ペプチドナイル
に見えてしまった。レモンポップが容赦しているようにも感じなかった。
6歳になってからのレモンポップは、サウジでドカ負けして浦和のさきたま杯も勝つことは勝ったが、成長曲線の降下がとうに始まっていたイグナイター相手に2馬身差はやや物足りない感もあり、秋はこの南部杯の辛勝。
これら、6歳時3戦のレモンポップのパフォーマンスを見ると、明らかに5歳時よりも劣化していると判定せざるを得なく、連覇が難しい一因として「自身の成長曲線の降下」も取り上げて良いものと判断する。
そんな中、前走の南部杯で「あれ?これ勝てるんぢゃね?」と思ったのがペプチドナイル陣営。勢いはわが軍にある!と、今回のペプチドナイル&藤岡ユースケのコンビは、さらに「ここでレモンポップは早めに潰ないとダメだ!」とその殺意は加速。枠順も⑭番から④番へと、グッとレモンポップが近くなり見やすい位置に。シッカリロックオンして3~4コーナーから早めに上がっていくだろう。挑まないで負けるよりも挑んで負ける。それで負けたならやむなし!
韓国・コリアCを2年連続大楽勝のローテからこの舞台へ臨む①クラウンプライドも、鞍上を川田ユウガから血の気の多い横山タケシへシフトして、関西の友達・坂井リュウセイを先週のジャパンCのソールオリエンスばりに、全力でプレッシャーをかけるだろう。去年の川田ユウガの攻めなかった競馬を横山タケシも認識しているだけに、絶好の1枠➀番。「インベタは絶対に譲らない!」と鼻息荒い。
3月の中京ダートで逃げ切り勝ちを見せた⑨テーオードレフォンも、福島から中1週の厳しいローテーションでもエントリーしてきたのは、何らかの爪痕を残したいためだし、昨年、レモンポップの2番手追走でジッとしていた「隠れた真犯人」の⑥ドゥラエレーデも、ムルザバ兄さんから世界のムーアに乗り替わり、早め早めの仕掛けに徹するだろうし、何より控えるより行ってナンボの⑪ミトノオーがレモンポップを差し置いて「玉砕逃げ」を打ったりと、
・①クラウンプライド
・⑨テーオードレフォン
・⑥ドゥラエレーデ
・④ペプチドナイル
・⑪ミトノオー
これだけけの先行馬たちが、誰一人として7枠・8枠を引かずに、この
「レモンポップ包囲網」を構成。もう全力で潰しに行ってほしいんだ。
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これで、1800mの適性が完全に証明されたワケではない②レモンポップが、その厳しい包囲網をかいくぐって連覇を達成したとしたら、もう馬券云々ではなく、ユアキングオブキングス。大きな拍手でいいような気がしている。
向こう正面でも、玉砕⑪ミトノオーがぶっ飛ばすか、オレがオレがで先頭が入れ代わり立ち代わりで乱ペースとなり、1000mは1分を切るもしくは1分フラットで流れ、抑えたい②レモンポップは被りたくない砂を被って昨年の1.00.9のようなヌルい流れにはならない。他のジョッキーたちは2年連続そんなオッペケペーをしてはいけないと思っている。G1はそんなに仲良しこよしではないだろうに?
その包囲網たちの「本気でチャンピオンをツブしに行く姿勢」。決してG1はぬるま湯だけではないところ。これを心底見たい。
そして②レモンポップは、オラが去年から思っている
・1800mがベスト距離ではない
南部杯での④ペプチドナイルとの差から推察し、
・6歳秋、若干の成長曲線の劣化
も感じたことから、
②レモンポップ…無印
としたい。
また、先行各馬が、早め早めにこぞってレモンポップを潰しに行き、3コーナーから一気にレースは加速することで、②レモンポップだけでなく前は全員潰れる。最後の坂でもう一杯一杯。これも大前提として印に反映。
①クラウンプライド
⑨テーオードレフォン
⑥ドゥラエレーデ
④ペプチドナイル
⑪ミトノオー
上記5頭…➀④⑥⑨⑪無印
§2.差し・追い込みの正しい勝ち方
ということで、今年のお金になる馬は、「レモンポップ包囲網」で前は血の気の多い競馬となることから、中団~後方待機の馬と決めてかかる。
と、ずいぶん強気だが、競馬予想の一丁目一番地は「展開・ペース予想」。速いと決めてかかったら、買う馬もそれ相応にしなければ筋違い。
中京ダートコースはスパイラルカーブであり、後方待機の馬でも外をぶん回すと大きな距離ロスが生じジ・エンド。これは去年2番人気しながらミルコが「砂を被りたくないから」と大外をブン回しして、セラフィックコールが10着にドボンした競馬があったが、まさに「こういう競馬をすれば負けますよ」という逆・模範演技。
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この時のセラフィックコールは、もう3コーナーから外々を回るロス競馬であり、内々をスムーズにロスなく回って勝ったレモンポップよりも、その走破距離は10~20mは多く走っていて、これでは大敗は当然に怒り得ることであり、後方からの差し・追い込み馬はこの方法ではなかなかお金にならない。
この騎乗をしたのはミルコ。
ただ、そんなミルコも数年前は普通にG1勝ちを連発していた。2018年ルヴァンスレーヴでのイン突きもあれば、圧巻だったのが、JRAの通年ジョッキーとなったその年の2015年の12番人気・サンビスタでの競馬。単勝は66.4倍と、当時のミルコとしては考えられない人気薄だったが、オラも○を打っていた。◎でないところがやや弱いのだが、それでも今もなお誇れる印。
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この時、勝ったサンビスタは2枠④番の黒帽、中団のインの3列目。ラチ沿いでビッタリ追走、2着・3着となった白帽のノンコノユメ、サウンドトゥルーも後方待機も3コーナーでは外を回さず、ロスを軽減するべく内ラチビッタリ。
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直線では、馬群の中から進路を見出した黒帽・④サンビスタが力強く抜け出して1着。各馬が外に膨れる中、乾坤一擲のイン突きをしたルメール騎乗①ノンコノユメが2着。4コーナーから外に進路を変え、大外ぶん回しから外を伸びた②サウンドトゥルーが3着と、連対した2頭はやはりロスのない進路取りを貫き通した馬たちだった。
2年前の勝ち馬ジュンライトボルトもこれに近いものがあり、
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3~4コーナーは外に出すことなく馬群で我慢。直線に入ってからは前が壁でなかなか出られなかったが、一瞬だけ前がポッカリ空いた瞬間を逃さず、そこを突き進んで1着と、この「3~4コーナーの我慢」が最後の爆発力に寄与したことは言うまでもなく、それは昨年の2着馬・ウィルソンテソーロでも同様。
つまり、このレースでお金になる差し馬は「ゼッタイに外を回さない」というのが必要十分条件。
§3.ドウデュースの「余韻」
先週のジャパンCで、スローペースの道中ながら、まさに「1頭だけ違う脚」で制したドウデュース。オラもコラムでさんざん「ニッポンの総大将」にまではなっていないと最後まで抵抗したのだが、オラも含めた日本中の抵抗勢力を黙らせた勝利だった。
もちろんラスト700で仕掛けた武豊のタイミングがドンピシャすぎて、「巧かった」の一言に尽きるのだが、馬のポテンシャルがただ1頭だけS級となっていたところも大きく、武豊もジョッキーカメラで「馬なりであの脚は…」と、規格外の馬質と想像以上の成長力を称賛していて、馬に勝たせてもらったという正直な気持ちは十分に受け取れた。
ということは、馬がみんながみんなドウデュースではないことは当たり前であって、ポテンシャルの足りない馬をどうやって上位に持ってくるか。これがジョッキーとしての真の命題であり、乗り難しい、ズブい、成長途上、そんなアンパーフェクトな馬たちを華麗に乗りこなすかがジョッキーの真価。
検索条件:武豊の2020年以降中京ダート1800mの全成績
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とはいえ、武豊はここ5年、中京ダート1800mに騎乗すると馬券圏内率は46.6%とたいへん立派な数字。ただ、今年は9月に2度騎乗しただけであり、それより前となると2023年3月と、このコースに相当量乗っていないのはやや気がかかり。
そして、この表でも確認できることが、武豊がこのコースでお金になるときは、道中の位置取りが3番手より前の時でないとお金になっていない。
そして、武豊がサンライズジパングに騎乗すると【3.0.1.0】と馬券圏内率10割と、この馬にとって最高の鞍上。
そして、「右回りも左回りがよい」というのは、武豊だけでなく前走に代打騎乗した鮫島カツマもコメントしていたことであり、この中京へのシフトも好感。
以上の事から類推すれば、先団の速いペースに巻き込まれずに、中団馬群の一番前で追走できれば、このメンバー相手でも十分に台頭は可能であり、去年のセラフィックコールのように後方から外をブン回すリスクも少ないものと思料する。
もちろん、馬質からすれば先週のドウデュースよりも劣ることは言わずもがなだが、このドウデュースの余韻をもってまた7日後にこうしてG1に乗れるリズムはプラス材料。
以上、馬だけでなく武豊の充実度と、馬のヤネとの好相性、左回り適性から、まとめて負かすならこの馬。それゆえこの印とする。
⑫サンライズジパング…▲
§4.攻めた「模範演技」
昨年2着の⑧ウィルソンテソーロは、昨年と帽子の色も同じ。なのに原君→川田ユウガと、鞍上「D→S」へと強化。
その川田ユウガはこの馬に騎乗すると【4.2.0.0】と連対率100%であり、前走の佐賀の涙だけでは了徳寺オーナーへの満足は得られていないと静かに闘志を燃やすところは、一見非の打ちどころはないように見えるのだが、昨年の上がり最速36.6は、原君が腹括って脚を溜めに溜めたゆえ炸裂できたものであり、あまり川田ユウガが前のレモンポップを潰しにかかることを意識しすぎて、パンチ力のないお上品な競馬になってしまわないかが心配。
少なくとも去年の原君は、逃げるレモンポップを交わし勝ってやろうとは思っていない、直線進路が詰まって出るのに必死こいて全力追いして結果の2着。若干の「偶然の産物」という見方もでき、帝王賞のような競馬をしてしまうと、キングズガードも捉えられない結果になり、佐賀も、坂井リュウセイの逃げたウィリアムバローズにロックオンすけばいいだけの、ミッションとしては簡単な部類。それが川田ユウガの「佐賀の涙」で、とんでもない偉業を成し遂げた感が漂っているが、そうではない。
となると、ある意味去年の原君の競馬が、キッカケは偶然の産物かもしれないが実はこれが「模範演技」だったという可能性もあり、最初っから逃げてレモンポップなりペブチドナイルを「潰しに行ったろうかコノヤロー競馬」などしようものなら、息切れする先行軍団の渦に呑まれる危険性も。
あくまでジッと腹据えて川田ユウガが中団で脚が溜める競馬でできるかどうか。前走の佐賀は、逃げるウィリアムバローズさえ潰せばあとは楽勝競馬だっただけに、相手強化のギャップが気になるところ。
検索条件:川田ユウガのチャンピオンズC全成績
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2019年のクリソベリルでの勝利以来毎年騎乗しているが、勝利以降は4年連続ドボン。去年も3番人気クラウンプライドに騎乗し、オラも◎を打ったのだが、5番手の好位置から進めたのは良かったが、抜け出すこともなくレモンポップやドゥラエレーデを交わすことなく見せ場なきドボンと、不完全燃焼であった。
川田ユウガもスパイラルカーブで外回してはダメと、中京コースの本質には気づいているものの、いつも先団~好位のお上品な位置取りをキープするだけで毎年終わり。では今年、ウィルソンテソーロで原君のような腹括った競馬ができるかと言うと疑問であり、佐賀の燃えつきもあって「もう了徳寺おーなーのプレッシャーはないや」とどこかで思っている感じもあり、どっちつかずで終わるような気がせず、それでいてこの2番人気はなんか食指が伸びない。
⑧ウィルソンテソーロ…無印
§5.弟は何を想う?
去年はデビュー5連勝の勢いそのままに、ミルコも正攻法で自分の競馬をすることに努め、結果、すべてのコーナーを外々回る大ロス競馬で2番人気ドボンした⑦セラフィックコール。
今度は、弟・Cデムが騎乗。枠もオレンジから4枠⑦番と、去年のウィルソンテソーロが引いた「縁起物」の枠。
当然、Cデムも追い切りに跨り万全の調整だが、初ブリンカーで、「モマれない競馬をしたい」とコメント。砂を被るのはまだガマンできたとしても、やはりもまれるのは嫌うということは、後方競馬はやむないところ。
しかし、去年のミルコは3コーナーから外に出してロスよりも砂を被らない事を選んだが、今年の弟は、それで失敗しているアニキのVTRを何度も見ているだろうことから、同じ競馬はしてこなく、ヤルとすれば去年の⑦番・ウィルソンテソーロ競馬か。もちろん直線で進路が開くという偶然に頼るところは大きいが、前が速ければ馬群は縦長になり、団子状態よりも進路はできやすいメリットもあり、いまのジョッキーとしてのポテンシャルからすればこの兄→弟のシフトは、B→Sへの2段階強化。去年のミルコは出遅れもあったが、そのリスクも軽減。インの12番手から虎視眈々でイケる。
⑦セラフィックコール…◯
§6.ひいちゃった大外枠
フェブラリーSで初ダートながら◎を打って2着。玄人たちがみんなそのダート適性に疑問を呈してマユツバとなり、そのおかげで複勝510円もついたガイアフォースだが、お気の毒に引いた枠は大外⑯番。
去年はレモンポップがこれを喰らいたいへんザワついた。というのも去年までこのレースは10年間壱度も連対しないという「死に枠」。
だが、去年の坂井リュウセイは違い、好スタートから積極果敢にハナを奪い、インベタで1コーナーをターン。これができればロスはなく、連対・勝利もできた「特異事例」。
がしかし、この⑯ガイアフォースに激しい競り合いを展開する内枠各馬たちを差し置いてハナを奪いに行くことはまず考えられないし、それをやってしまうと更に余計なキャラ登場で前が速くなって自滅ペースは加速。
となると長岡君。ロスなくコーナーを回るためには最後方に下げて1コーナーをインベタで回るなど、やったことのない極端な競馬をしなければならず、普通に競馬すれば外々回って結局何もできずにドボンという悲しく結末が待っている。去年のピンク帽の残像が、いまの人気を作ってはいるが、現実はデス枠。
残念ながら、去年のようなウルトラCを持っていないガイアフォース。お世話になった馬であり一定のダート適性もあるのだが、このトリッキーコースでは残念ながら成す術はない。
⑯ガイアフォース…無印
§7.挫折→栄光→挫折の果てに
⑩アーテルアストレアは、中京ダート1800mで菱田ユウジが乗れば4戦4勝であり、川崎・船橋の左回りコーナー4つの競馬でも、2戦2勝。
と、とにかくこの条件になると崩れない。
その秘訣は、3~4コーナーの位置取りにあった。
未勝利勝ち。
ポテンシャルの違いで後方ではなく中団待機からの抜け出しだが、3コーナー入り口ではインから2頭目と決して外にはおらず、スパイラルカーブに置いて距離ロスのないことを意識した立ち回りを菱田ユウジはしている。
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2勝馬クラス勝ち・鳴海特別
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最後方待機で、直線では大外に出して上がり36.2の鬼脚を繰り出すも、最初から外々ぶん回しではなく、3コーナーはシッカリインベタ追走。これが最後の末脚を繰り出すキモとなった。
それは、2023年初戦の3勝馬クラス・遠州灘Sでも
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2023年7月の初のオープン勝ち・名鉄杯もそう。
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菱田ユウジは、常にこのアーテルアストレアの末脚を引き出すために、3~4コーナーでは外に出さず、インベタもくしはインから2頭目と、とにかくイン待機でスパイラルカーブを曲がる、そんな爆発寸前の「弓を引く」作業を怠っていなかった。
しかし、2023秋シーズンの9月。菱田ユウジはパドックでの落馬によって肩を脱臼。長期離脱することに。
これで大井のレディスプレリュードは、武豊に乗り替わってアーテルアストレアは初重賞制覇となるものの、菱田ユウジの怪我は治らず、大得意の中京1800m・チャンピオンズCにも間に合わず、やむなく横山タケシをテン乗りとして代打に。
検索条件:横山タケシの2020年以降、中京ダート1800m全成績
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5年間でたったの15回と、関東所属という事もあって、このトリッキーコースに騎乗する機会自体が少なく、馬質の良さで馬券圏内率6回の40%と良いものの、勝ちはゼロ。本人はベストの騎乗をしているつもりでも、それが正解ではないということが、未勝利という結果にも表れ、
代打でアーテルアストレアにG1騎乗した際も、
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3コーナーから安全に外4頭目をぶん回しする横山タケシ。菱田ユウジがいつも取ってきた進路とは違い、菱田ユウジならその内にいる青帽・ウィルソンテソーロの位置にいるだろうことは、これまでの4勝の軌跡から想像に容易い。
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それが直線での爆発力にそのまま投影。
3~4コーナーすべて大外をぶん回した2番人気のセラフィックコールは、外を回しすぎて脚がなく10着。大外ではないが3コーナーから意識して外目を回ったアーテルアストレアは、このロスが響いて、上がり2位の脚を繰り出しても届かず9着。と、ともに不正解。
正解は、最後まで3~4コーナー内で我慢していた原君の12番人気の青帽・ウィルソンテソーロだけが後方から爆発し、直線もようやく進路を見つけると矢のような伸びで2着と、後方待機馬たちでも明暗クッキリであり、そのキモは「3~4コーナーで馬場の何分どころを通ったか」これがそのまま正比例した結果だったのだ。
それゆえ、去年の代打・横山タケシなり大外ぶん回した「劣化したミルコ」は論外。
それだけに、アーテルアストレアを解っている、そしてトリッキーコースを何度も攻略して勝ちに導いている、菱田ユウジの出番。
検索条件:菱田ユウジの2020年以降、中京ダート1800mの全成績
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15回の横山タケシの約5倍、74回も騎乗し、馬質も考慮すれば8勝・馬券圏内率26%は立派。
そして、直近のレースが、クリノグローリー騎乗で、前の浜中スグルが内に斜行した影響により落馬・骨折した9/14・恵那特別。
このレースも菱田ユウジは3コーナーでは外に出さず。2列目インから2頭目とロスなくコーナーを回ることに特化。いたっていつも通りの中京ダートの競馬を遂行。「正解」の競馬をしていたのだ。
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それが直線。前のピンク帽の不自然な動きによって落馬。
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ただ、何ら位置取りは間違っていなかった、不慮の事故。
あれから2か月半。それ以来の中京ダート1800m。
奇しくも2か月半前に大けがを負った事故現場だ。
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オラも若い頃バイクで事故って、足首骨折して2か月入院したが、もうその事故現場にはとても行くことなどできない。あの日の事故の衝撃、痛さ、悪夢、救急車のサイレンが、鮮やかにフラッシュバック。もう嫌だ。
しかし、菱田ユウジはその事故現場に、希望を胸に戻る。
どんだけドMなんだい?? 屈辱と痛みではなく、歓喜と栄光の為、退院→療養→そして復帰。彼は間に合わせてきた。
しかも、去年スタンドで眺めていたアーテルアストレアとのチャンピオンズC。ようやく俺が、アーテルアストレアでチャンピオンズCに乗れる。
やっと、挑戦者になれた…。
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2度の大けがを経て、念願叶ったゲートイン。
騎乗に至るだけでこれだけ壁があっただけに、ゲートインするだけで感激ひとしおなのだろうが、当然、菱田ユウジはそれで満足しちゃあいない。「そうぢゃねぇよ!そんな外回しちゃダメなんだって! タケシ!」と、去年スタンドで嘆いた騎乗を、自分が修正して体現する番!
馬もあれから1年。5歳となりさらに成長。
ローテーションも去年と違い、大井のレディスプレリュードの後、去年はJBCレディスクラシックに出走してこのチャンピオンズCに向かうややタイトなローテーションだったが、今年は11月のレディスクラシックをパスして、この12月、最も得意な舞台一本でここがピークに仕上げたところも好感。
もちろん、相手は全員牡馬。強いのは確か。
だが、昨年の「不正解」の進路取りで、上がり2位の鬼脚でも届かないのは、決して馬のポテンシャルが足りないからできなく、ヤネが原因であると解った今、経験豊富なコンビネーションを持って「正解」の進路取りをもって、サンビスタ以来9年ぶりの牝馬の戴冠も、決して夢ではない。
⑩アーテルアストレア…◎
§8.まとめ
◎⑩アーテルアストレア
◯⑦セラフィックコール
▲⑫サンライズジパング
昨年、1番人ながら誰にも絡まれず、そのまま逃げ切ったレモンポップ。
よく「もう一回レースすれば、結果は全然違っただろう」という寸評を見たり、我々もよく口にするのだが、このレースがまさにそれであり、しからば今年、もう一回レースして、全然違う結果を見てみようではないか? というのが妄想の主旨。
それでも「チャンピオン」となったレモンポップ。
アリスの歌う「チャンピオン」。
最後まで聴き終わると、王者のプレッシャーと孤独から解放され、ただの男に帰れることに、物悲しさと安堵が交錯するところに胸を打たれるのだが、チャンピオン・レモンポップも、結果がどうであれ、これでただの男に帰る。
だが、たとえ若い力に屈して、リングで壮絶な散り方をしたとしても、王となった事実、王であった事実は揺ぎ無く、しかと後世に伝えられる。タイキシャトルも思えば、最後は単勝1.3倍をぶっ飛ばして、すぐざま引退式に向かったではないか? そこには全然敗者としての惨めはなかった。それはそれ、これはこれ。
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競馬もボクシングも「ガチ」である以上は、去年のような「魔術」で王となったレモンポップに対して、襲い掛かる者たちは正々堂々、正面から王者に向かっていく姿を心底見たい。
そのゆえ、②レモンポップよりも、彼らを取り囲む「包囲網」の先行馬たちの本気の潰し。これが見られたら結果に関わらず一定の満足は得られるものと思料している。
そして馬券は、お金になる条件を満たす「3角で外を回さない差し馬」を3頭挙げ、馬券もこの3頭から。
中でも、2度の大怪我を負い、調教・レースでは馬体の育成に骨を折っただけでなく、実際に自分の骨まで折った中京ダート1800mという戦場に、誰よりも勝っている相棒とともに挑戦する菱田ユウジの◎⑩アーテルアストレアには、単なる感情論だけで終わらない、その確かで豊富な騎乗内容から、9年前のサンビスタを投影してしまうことから◎とした。
単勝・複勝 ⑩
馬連・ワイドBOX ⑦⑩⑫(本線)
3連複 ⑦-⑩-⑫
調理の一例として、買い目は上記のようにしたが、決してこの通りに買ってくださいと言うものではなく、これを一つの解答例として、各々感じたままにアレンジし、そしてロォン!に寄与できるのであれば幸甚です。
チャンピオンズC、私の本命は既に決まっていますが、改めてこのコラムの影響を強く受けているなぁと実感しました
— みすて (@njytfdeeu) November 25, 2024
多彩な角度からアプローチされるコラム、土曜日の夕方を楽しみにしております
嬉しいですよ。感じてもらって。
今回もこのコラムでたくさんの感心・感動と、感じるものがあったのであれば、今週も頑張って12500文字書いて良かったなぁと思っています。毎週毎週1万文字。
そして最後にみんなで、「チャンピオン」を歌うしかないね!
響け!王者の哀愁と歓びを! ♪ライラライラライ~~~
そけでは、良いチャンピオンズCをっ!
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