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【FGO考察】投票の目的は『責任』【奏章Ⅲ 新霊長後継戦・前編】

前回


AIには原罪がない

「私たちは、なんの為に」

奏章3の冒頭の言葉です。
これはムーンドバイでの話。
汎人類史ではオルガマリーや女神ロンゴミニアドのセリフで以下のようなものがあります。

「私たちは、地に増え、都市を作り、海を渡り、空を裂いた、それはなんの為」

と、ムーンドバイのものと違い、何を行ったかが書かれています。
前述した創世記に沿った内容をしており、人類が行った罪、原罪を表していると考えられます。
この原罪に当たる部分がAIにはないのです。

楽園を去った罪

汎人類史とユニヴァースにおけるメソポタミアの人類悪。
第二の獣ティアマト、無の獣アンキエレシュキガル、どちらもメソポタミアに由来する二柱の女神が変化した獣です。
共通点はそれだけではありません。
この二匹の獣には「次の代の霊長に追いやられ、それを罰する為に人類悪になった」という共通点があります。
これを表しているのが「楽園」というワード。

ティアマトの場合は親元としての楽園。
汎人類史では楽園から去った罪


エレシュキガルの場合は冥界を指して楽園(エディン)です。
エディンとはメソポタミアでは平野を意味し、聖書におけるエデンの園の語源ともされています。
つまり、ユニヴァースの人類が持つのは楽園に行かないという罪

共に神の袂である楽園と距離をとる、親を離れることを罪としています。

投票の目的

ムーンドバイでは、旧人類が滅び、新人類も眠りにつき一度滅んでいます。

そこにBBが現れ新人類を起こしました。
どの様にして旧人類は滅んだのか、投票で決定するのが今回のイベントの大筋です。
滅び方を選挙で決めるというのはある意味現実の政治と一緒。
民主主義への皮肉でもあるのでしょうか……?
ともかく、この「原因を新人類に選ばせる」という点が今回のキーと考えられます。

この選択は前述の親離れに通じます。
古代メソポタミアは神という親を否定することで神代を脱します。
これが霊長が神から人へ移り変わる転換点、「決別」です。


つまりBBはこの決別を旧人類→新人類の移り変わりの中で起こそうとしているのではないでしょうか?
滅びの内容はどうでもよく、「旧い霊長を新しい霊長が滅ぼした」ということこそが投票の目的なのです。
投票によって選ばれた滅び方が、新しい霊長にとっての原罪となり、責任として背負うのです。

現に「ただ責任が欲しくなったんだ」という言葉に対し、主人公は「重要な言葉」と認識しています。

ちなみに6章の妖精國の妖精もケルヌンノスを屠ったという原罪があります。
これについて、2部6章、創世期の霊洞アルビオン内でのマーリンが詳しく語っています。

霊長に発展性がなければ世界は剪定されます。これは多くの異聞帯がそうでした。
ディノスのように進んだ霊長でも、「ソラへの意志」がなければ剪定されるのです。ヴクヴは飛行種であったため人間臭かったですね。

事実、ムーンドバイも一度はAIも眠りにつき滅んだ世界。
人間という親が死に、意志薄弱な子供のままでは生きていけないということです。

イベント序盤でのカウンターは旧人類を一度きちんと霊長から卒業させ、次の人類を入学(インセプション)させる必要があった故ではないでしょうか。

つまり『新霊長後継戦』とは新霊長たるAIを後継にする為の戦いということです。

他にも人類悪と重力の関係性、赤と青とかいろいろ書きたいことはありますがこの辺で……

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