歯車と舵。
キャリアの話です。コロナの余波もあり、現状の働き方についての個別相談が結構増えてきました。
ガチ転職の相談よりは、自分の働き方への再定義やモヤモヤをクリアにしたいという願望が多いです。
ここ最近の質問内容を受けて感じたことについて書きます。
主な相談内容
一言で言うと、「なぜここで働いているのか」が分からなくなってきたケースが多いです。
「こんなはずではなかった」
「上を目指していたが、上に魅力を感じなくなってしまった」
などから始まり「そもそもなんでこの会社に入ったんだっけ?」と思うようになった、というパターンですね。
これらの言葉を追っかけていくと、大きく以下2つの考え方が浮かび、その二者択一による葛藤が根底にあることに改めて気付きました。
歯車
それなりの規模の企業であれば、自身の意思に反する行動を余儀なくされることもある。つまり企業が実現したいことのために、個人としてやりたくないことをしなければならないことがあるということです。
端的に言えば会社員、サラリーマンはこれに分類されます。
何万人もの従業員を抱える企業であれば、綿密な組織構成の中で大きな事業を行っているので、言うなれば従業員は歯車です。一つ一つが噛み合い、大きな事業となり、大きなお金が動き、社会的なインパクトをもたらし、世の中を変えている。
当然ながら歯車が欠けては機能しません。極めて重要な役割なのです。
目的地や行く理由、行き方の決裁は企業が行い、それにおいて必要なピース(歯車)として、人が雇われている。もちろん、ゆくゆくは決める立場になることもありますが、大きくはこの考え方が前提でしょう。
一方で、俯瞰的に事業を見ることが困難な場合、自分がどの位置にいてどう機能しているかを見失いがちになり、それが働く意義を見失ってしまうことと同義になっていることが散見されます。
舵を握る
歯車の対照的概念として謳われるのが「舵を握って自分で行き先を決める」というもの。経営者やフリーランス、個人事業主などがこれに分類されます。
「かっこよさ」を感じる人が多いのは、最近ではこっちです。一流企業に務めることによるカッコよさは、以前よりは減っている印象です。終身雇用の考え方見直しに伴う、自然な流れに思えます。
やりがい、ひいては生きがいに満ち溢れた社会人というのがこちら、という感じでしょうか。
目的地や行く理由、行き方、行くタイミング、誰と行くか。全ては自分が決め、自分が舵を握り操縦し進んでいく。
元々は大企業で働くことを目的に頑張ってきた人が、入社し力をつけ経験を積む中で、自分の裁量で仕事をやりたいという思いが大きくなり、葛藤となるケースが散見されます。
正解が無いことを受け入れられるか
最近は同い年くらいの人からの相談が多いのですが、この「歯車と舵」の葛藤がとても多いです。「どっちが良いと思う?」と聞かれます。
30歳という年齢が多いのは、バイオリズム的にもちょうど力や判断力がつき自分の人生について見直す時期なのだと思います。
断言しますが、正解は誰にも分かりません。後悔のないように自分で決めるしかない。
冷たい言葉に聞こえますが、意外にも、ここを受け入れられると「モヤモヤが消えた」と言われます。
最も厄介なのは「後悔」です。
何か決断した後に「あっちの方が良かったかな」と思うことは往々にしてよくありますが、「あの時あれだけ迷って考えたしな」と腹を括れるだけの状態であれば、後悔は減ります。
結局どうすればいいのか
まずは考えていることを書き出してみましょう。自分が悩んでいる、モヤっとしている対象、言うなれば敵を明らかにする。
敵が明らかになれば、どんな武器が必要で、どんな見方が必要なのかが分かります。
「職場環境」「上司との人間関係」「自分が役に立っているという実感を感じにくい」「業務内容が楽しくない」
言葉にしていくと、意外にも身近な敵だったりすることも多い。
とはいえ、そこが分からず僕のところに相談が来ているのが現状。
その際に僕のサポートで多いのは、やっぱりどんな人生を歩みたいかという問いがベースである「未来へのアクセス」です。
なんとなく、どんな方向感を目指したいのかを少しでもクリアにできれば、そこに近づける方をチョイスできる。ガチガチではなく、方向感でいいのです。ざっくりでいい理由は「計画的偶発性理論」で述べています。
ここでの最大の敵は「行動が止まる」ことです。100%まで練り上げるのは困難です。
ざっくりとした方向に対し、手や足をなるべく止めずに、何に迷っているかを探しながら、判断基準を明確にしていくことを意識してみましょう。
で、僕が思うこと
時代は「V U C.A」です。コロナなんて誰も予想していなかったでしょう。よく分からない時代ですね。だからこそ後悔の無いように自分自身で考え腹を括って、決断して前に進むことが求められる。
僕自身、7年半ほど企業でサラリーマンをやり、現在はフリーランス、組織の責任者という歩みで、最近は学生、アスリート、なかなか仕事につけないネガティブな状況の求職者、一方でハイグレードハイスペックな優秀人材など、多様な相手と話すことになっています。
皆悩み、迷っています。不安です。
決して「自分がダメだから」と思って欲しくないなと。
大丈夫、皆、自分で思っているより弱くない。少なくとも自分の人生から逃げていない。今は自分と向き合っている時期なのだと思う。そこから逃げなければ、必ず選択できるようになる。
そんな人たちの力となれるように、僕は今日も現場で頑張るぞー。
では。
亘
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