オプションと方向感の話【SCJ井戸端会議】
先日、スポーツコーチングJapanでコーチ井戸端会議の二回目が実施され、顔を出してきました。
コロナ禍の中で、それぞれが現場で行っている工夫や考えていることなどをざっくりと共有しあう、充実の120分でした。中でも個人的に印象深かった内容が「オプション」です。それについて書きます。
井戸端会議にご参加いただきました皆様、当日仕切ってくれたメンバーの皆様、ありがとうございました!
思うように練習ができない。大会も開催されない。スポーツ推薦を狙う学生にとっては、進路に大打撃。本当に笑えない状況です。
そんな中現場では、可能な限り練習の機会を作ることはもちろん、この時期だからこそ取り組めるような、新しい、ちょっと違った視点のアクションを起こしていました。
「そのスポーツを実際に行うこと以外のアクション=オプション」と表現し、事例も含めていろいろなお話が出ました。
【時間軸で考える】
オプションを考える上で 欠かせない視点が「時間軸」です。その点については、参加者の一人のメンタルコーチの方から「タイムライン」という言葉となって出てきました。
短いスパンで考えるだけでなく、2年、3年、、、と長期で考えるという視点です。これを踏まえて、オプションについてどう向き合うのか。自分の見解も入れて課題化してみると以下のようになりました。
100年時代における自身の理想像・ありたい姿になるために、どんなアクションをしたら良いのか。「今現在取り組んでいるスポーツ=メイン」の他にも、「理想像に近づくための他のアクション=オプション」があるのではないか。
【取り組み①:将来の選手像を描く】
上記のタイムライン観点を実践した好例だと思いました。どのタイミングで、どんな選手になっていたいか。
当たり前の質問なのですが、精神的な軸が決まり始める中学3年以降に、この投げかけを改めて行い、自分と真摯に向き合い、やるべきことを見出していくことは、極めて重要です。人間形成という意味でも。
練習がままならない今だからこそ、目指したい理想像の輪郭をしっかり描き、その内側は何色にするべきか。コーチとしてそこに向き合うのはどうでしょうか。素晴らしい取り組みだと思いました。何が良いって、内容がポジティブですよね。
ここで出てきた理想像を元に、スポーツをやることの他に何が必要なのかを考え、取り組んでみるのはいかがでしょうか。そして、今回は「選手像」でしたが、「人間像・人物像」にスケールアップして聞いてみるのも良いですね。
ちなみに僕も、就活相談や転職相談の場においてよくこの質問をします。そして全然答えられません。笑
大人になればなるほど、将来の夢って聞いてもらえなくなるんですよね。←
これをずっと問いかけることが、実は最強のキャリア支援かもしれないと最近思うのです。
【取り組み②:人生に役立つおすすめの一冊、おすすめの一本(映画)の紹介】
これも素晴らしい取り組みだと思いました。現場では、コーチなど大人が子供たちに対して本や映画をチョイスして観てもらっているようです。
重要なポイントは、全然スポーツと関係ないものもチョイスしているという点。まさに人生のオプションを増やす具体的なアクションだと思いました。
そしてもう一つ重要なのが、読書や映画鑑賞は自分の理想像を描く材料にもなるという点。後述しますが、「そのオプションを選択する理由」は、なりたい理想像に近づくことができるから(仮決定で構いません)であることが基本です。マンガやアニメですら、「こうなりたい」につながる部分も多いので、幅を広げるという観点からも、キャリア的に非常に有効だと思います。
SNSでも「ブックカバーチャレンジ」など、読書を啓蒙する動きがありますね。この機会に、色々読み進めてみるのも良いかもしれません。僕はキャリコンの教材を読み直しています。大分忘れていて喧々諤々です。。。
【まとめ:目指すべき方向のイメージがあれば、オプションが描きやすくなる】
上記のように、人生の選択は、その先にある「理想像」につながっていることが、まさに理想です。コーチング現場におけるゴール設定と、その過程(プロセス)の関係と同じです。
一方で人生のゴールほど唯一解の無いものは他には無いでしょうし、超長期スパンで設定するものなので、なかなか描けないのも当たり前の話です。
「計画的偶発性理論」でも書きましたが、人生のゴール設定は曖昧で良いと僕は思います。「ゴールというより、目指すべき方向感」の話です。
はっきりくっきりでなくとも、ぼんやりでもいいので描くことによって、今どんな行動を起こせば良いか、どのオプションを行使するかが見えてくるのだと思います。
ここまでの流れを問いかけ形式で整理すると、以下のようになりました。
1.「読書など知見を広げる行動によって、ゴール設定の要素集めをしましょう。」
⇨むしろそれを考えるために読書をする、目的にしてしまうのも素晴らしいですよね。
2.「君はどんな方向に向かいたいの?(将来の夢や人物像など)」
⇨言語化してもらうよう促し、実際にゴールを設定してみます。
3.「そのために何をしようか。特に今は、ずっとやってきたスポーツができないけれど、どうする?」
⇨まさにオプションの話。こう考えると、スポーツは人生における自己実現の一つの手段であることがわかると思います。
トップにあるこの図。人生出たとこ勝負が上です。下は、方向感を決めつつ行動する図です。
大前提、上の出たとこ勝負人生を否定するつもりは毛頭ありません。この動きで、誰もが羨むような人生を送っている人もいます。しかし、それは全員が全員できるものではないと思います。結構天才だと思います。
だからこそ下の考え方が必要ではないかと思います。下はまさに理想像(黄色いモクモク)、方向感(グレーの部分)、スポーツ含めたアクションやオプション(青い矢印)になっています。
そして今、僕たちは赤い×印に直面しました。スポーツが思うようにできなくなったのです。
そんな時こそ、改めて自分たちは何を目指しどの方向へ向かい、その中で今何をすべきなのか、どのオプションを行使すべきなのかを考える必要があるのだと実感しました。
と、ここまでが今回書きたかった内容です。以下は、僕の理想像や方向感、アクションについて備忘録もかねて書きます。
僕は、人の心に火をつけられる人間になりたい。
その要素として、スポーツ、音楽(エンタメ)、キャリア(ここでは敢えて仕事と位置付けています)、この三つを軸としています。
スポーツコーチングJapanでの活動は、僕の目指す方向感とリンクしている部分が多くあります。スポーツど真ん中なのはもちろん、スポーツならでは面白さを波及させていく(切り口が指導者の育成やコーチングなだけ)視点で見ればエンタメですし、スポーツを生業にしたい人、スポーツで培った経験を社会と紐づけたい人の支援や育成は、まさにキャリアの領分です。
音楽に関しては作曲も行い、キャリアに関しても、今まで関わらなかった人材紹介の仕事も視野に入れて考えるように動いています。
そして特にキャリアに関しては、やはり海外での研究が盛んな分野です。英語が必須になるので、勉強を始めました。
では。
亘
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