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プロデューサーとして。
記念すべき初の作詞作曲作品が、日頃より師として仰いでいる中竹竜二の著書「自分を育てる方法」がベースとなり、仕事先として日頃より大変お世話になっている日本工学院専門学校の先生方、そして学生たちが制作に携わるという、これ以上ない形で実現できたことに対し、心より感謝申し上げます。
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発信元であるYouTubeチャンネル「kanal Project 」の理念に沿い、参画してくれた学生たちを応援し、著書「自分を育てる方法」の学びを多くの人に届けるという2つのテーマ。音楽には色々な価値がある中で、私が音楽を通じて世の中に還元できるカタチがこれでした。ここでは、作曲者として、プロデューサーとして、考えを綴ってみようと思います。
本編の「ラクダのリュージ」だけでなく、歌い手や映像制作を手掛けてくれた方々(制作時は学生で、現在は卒業されました)の対談やインタビューをまとめたメイキング映像も、ぜひご覧ください。
書籍本体の魅力
この本に「キャリア」という表現はそこまで多く出てこないものの、私は本著のことを中竹節全開のキャリアの専門書だと解釈しています。
未来の自分が、あなたを励まし、助言し、見守ってくれる。そう「自らを導く」のは”未来の自分”なのです。
僕が好きな歌詞のフレーズ「未来が今を作っていく」は、上記の本文を引用しており、一般論としては「過去の積み重ねが現在を作っている」という概念が自然ですが、それだけでないキャリアの概念として、表現として新鮮に映りました。
メイキング映像にて「応援しすぎない応援歌のよう」だと、映像監督の今子さんが楽曲について話してくれたように、穏やかながらも人間の根幹に刺さるような言葉がいくつも散りばめられており、読者へ「問い」をたて、力まずに、自然と、生き方について向き合いゆくような作品となっています。ナチュラルなイラストも映え、気に入りましたが、よもやそれが3D映像化するなんて。
作曲への欲
スピッツのファンクラブ会員である私は、彼らが紡ぐ如何様にも解釈できる懐の深い歌詞に心酔しています。しかしながら、そんな歌詞描こうと思ってもなかなか描けるものではありません。
だからこそまずは、得意な言葉を並べることから挑戦しようと試みた結果として「学びをメタファーにした楽曲制作を」という運びとなりました。
どうしても音楽はやりたい。でもせっかくなら、自分の色というものが存在するなら、それを出したい。
でも、名だたるアーティストと同じ土俵で、というよりも、いかに違う形で発信できるか。考え抜いた結果でした。
結果として、自分の考え方とも通底していた書籍を元に書くことができたのは幸運で、思い及ぶ限り最も自分の色を出せたと思います。
曲をどう作ったか
主人公がラクダなので、「砂漠・オリエンタルな雰囲気・旅」といったワードが浮かび、似たテーマの曲をたくさん聴きました。
大きなヒントとなったのが、ゲーム音楽です。場面を印象的に記憶させるゲーム音楽は、本当に素晴らしい。
(本筋からはズレますが、クロノ・トリガーとクロノ・クロス、スーパードンキーコング2のサントラは当時買いました)
そこから着想を得つつ、且つ著書自体が温かく柔らかみもあるため、曲のどこかはポジティブな曲調にしようと考え、その分サビは明るめに。
砂漠っぽい焦燥感や孤独感をA〜Bメロやアウトロに入れ込んで土台を作りました。
(個人的にも、ハッピー全開な曲よりは少し影を感じるような、アンニュイな感じの方が好みです。)
歌曲としてのイメージを早く抱くため、オケだけでなく最初から初音ミクの声を入れて制作。その後、オーディションを経て枝さんに歌ってもらうのですが、キーが高いと怒られ、大急ぎで下げました。笑
メイキングで今子監督が「枝さんの声が力強かった」と言ったのは、事実そうであるに加え最初のデモがミクだったため、そことの比較だったからでしょう。
オーディションとレコーディング
そもそも今回の目玉は、ボーカルと映像制作に参画してくれた学生たち。ボーカルに関しては、8名の学生がオーディションに参加。短い準備期間の中で素晴らしいパフォーマンスを披露していただきましたが、その中でも特に言葉がしっかりと伝わってきた枝さんに、今回は歌っていただく運びとなりました。最終的には、彼女に編曲も手掛けてもらうことになります。
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またレコーディングの際に、ボーカルのサポートを行う「ボーカルディレクター」という存在を初めて知りました。今回はミュージックカレッジの先生が務めてくださいました。
「今の声の出し方GOOD!それを頭から出しちゃっていいよ!」「思ってる2段階くらい上の高さでちょうど良いくらいだから、思い切って上げよう!」等、その瞬間にGOOD & MOREを掴み、歌い手が見ている景色に合うよう言葉を選んで即座にフィードバックする。その技術の高さや存在感に中竹と二人で驚いたのを今でも覚えています。
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映像制作
そして映像。監督の今子千尋さんを中心にのべ9名の学生達が制作に携わり、その活動を複数の先生方や補助員さんにサポートしていただきました。
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写真はMVの撮影本番の様子です。今子監督が指示を出し、周りのスタッフが手際よく対応していきます。私はただ眺めるだけでしたが、本当に素晴らしい空間が広がっていました。
上記写真で分かるように、映像の中には中竹本人と、今子監督の妹さんが出演されています。
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この2枚は私のお気に入りの写真です。1枚目は監督がカメラを合わせつつ、後ろで照明の調整を行っている場面ですが、なんかめちゃカッコ良い。笑
2枚目は、演者である今子監督の妹さんが「ラクダのリュージ」のタイトルイラストをその場で描いてくれている様子です。これが本当にめっちゃ良くて、この時点でサムネもこれでいくと決めていた程でした。
この撮影の前にも、当然多くの行程が組まれていました。その細かい工程については改めてお伝えすることとします。
なぜこれが「キャリアに関する活動」なのか
キャリア支援を一つの生業とする私にとって、ここも本題です。
このプロジェクトには「学びや気づきを広めたい」のと、「制作者を支援したい」という2つの側面が存在します。前者は「中村亘個人の特性やパーパス」に近く、後者がまさに「キャリア開発支援」だと捉えています。
日本工学院様にてキャリアの授業を担当するようになり、クリエイターを目指す学生と多く接する中で見えた課題が「社会と接しながら作品を作る機会が少なすぎる」ことです。ここでいう社会とは「学校外の利害関係者」と定義します。
少ないがゆえに
「"自分の好きなものを作る"以上に目が向かない」→「お客様とのやりとりに必要性を感じない」→「興味ドンピシャの企業以外を検討できない」→「企業とやりとりするために必要なスキルに関心が湧かない」→「力がつかないため志望企業の選考を突破できない」
というサイクルから抜け出せなくなります。
どうにかできないか。考えた結果が「社会との接点そのものを作る」ことでした。
私がキャリアの講師であると同時にプロデューサーとしてクライアントとなりリクエストを出して、それに応えゆく制作プロセスそのものをキャリアのトレーニングとする。そんな座組を具現化したのが、本プロジェクトというわけです。
「リアルと3Dを共存させたかったが、一本の映像としてまとめるのに苦労した」
「思ったよりも歌声が力強かったため、エフェクトを追加して負けないようにした」
「題材が紙芝居のような温かい感じのため、エフェクトもそのように揃えた。普段作るものとは全く違ったが、楽しめた」
「イラストだけでは把握できない部分は、自分で想定して作った。自立しないといけないため、バランスが難しかった」
このように、想定と違うことが次々と起こる中でどう対処するかが求められ、それを乗り越えて作品が完成したのですが、個人制作ではこの訓練ができない。
グループ制作の授業もあるのですが、「作品を外に出す」というプレッシャーの中で取り組むことが、学習においてさらに有効だと感じ、このプロジェクトの価値を再認識しました。
また、幾度となく企業の人事担当者の方が説明会のため学校へ訪問くださり、求める人物像について何度もお話しいただくのですが、ほぼ100%、コミュニケーションの必要性について言及されています。
なぜか。
クライアントの求める作品に仕上げ、対価をもらうためには、作品が作れるだけでは足りないから。
クライアントやチームメンバーとこまめに話し合い、その中で作品を作っていくから。
だから必要なのです。
この背景をすっ飛ばして、学生の皆さんに「コミュニケーションが大事」と伝えても、刺さり方はまばらだと思います。
友人同士における「コミュ力」が高い低いの話ではない。ここは座学だけでは届けきれない。
だからこそ実体験として、社会との接点の中で作品を作る体験をして欲しかった。
自己満だけではダメなんだと。
社会へ出る準備が必要なんだと。
今回のプロジェクトメンバーは、この点において本当に素晴らしかったです。2024年3月で卒業し、企業で、あるいはすでにフリーで活躍している方もいます。
何か仕事をお願いするなら、ぜひ彼らや彼女らに。
そうなりますよね。
こう感じるのも、また社会であり、こうなるんだと知ることも、またキャリアの勉強だと捉えています。
今後
参考となるものを探そうにも似た事例がほとんどない取り組みだったため、とにかく試行錯誤の連続でした。
大変だった分、今まで感じたことの無い喜びや感動ばかりでした。
挙げるとキリがありませんが、挑戦したかった作詞作曲(表現者としてのデビュー)、生業としているキャリアの支援、大事にしている学びの波及といった、私を形成する要素が重なった活動だということが、これを変え難いものとしてくれています。
初回にして、理想に近い形で公開することができましたが、今後はそう上手くはいかないことも想定せねばなりません。
曲の題材がない。歌い手の目処がつかない。曲ができても映像化するためのリソースが揃わない。スケジュールが合わない。パッケージ化できてもクオリティが上がってこない。
軽く想定するだけでも、これだけのリスクが浮かびます。
が、チャレンジあるのみだと捉えています。
何かが欠けた分は、他で補う。うまく補完しながら作品を次々と外に出していく。そうすることで、伝えたい学びやメッセージが外に出て、制作に携わった人の実績やスキルが上がり、キャリアのプラスになる。
プロデューサーとして、旗振り役として、そしてキャリアの支援家として、さらに邁進していきます。
改めまして、本プロジェクトに関わってくださったすべての方々に対し、心より感謝申し上げます。
株式会社kanal 代表取締役
kanal Project プロデューサー
中村 亘