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飲食店未来学115:新ワンオペ飲食店のメリット⑥~運営コストがかからない

この新ワンオペ飲食店とは、新たに増えつつある飲食店の負担をことごとくそぎ落とした形で「経営者と時々パート」で繁盛を続けるラーメン店、魚専門店、ふるさと膳料理店などのお店の謎を解明す10回シリーズです。

もう飲食店経営は、ランニングコスト(運営費用)を少なくする時代です。そうしないと利益が取れません。本部費用や宣伝経費や輸送コストが大手の飲食チェーンの存在を脅かしています。(サイゼリヤのように自社で食材生産と自社加工を行う強い企業は別)

飲食店の経費構造

完全ワンオペ飲食店は、経営者以外の人件費がかからない、もしくは最低限度(延べ1人分)で済みます。したがって、人に関する経費~福利厚生費、法定福利費(社会保険料)、交通費など~がかかりません。これら全部で月商の30%~40%近くになります。

理想的な店舗の一例


パート雇用がゼロの場合の店舗構造
串打ちパートを営業時間外で雇用する場合は別途に人件費がかかります

パート1名のスタッフが必要な一例


こういう構造の店舗は最低1名の接遇担当パートさんが必要

焼鳥店の経費構造例
月商100万円を超える場合は、パートさん1名以上が必要です。
接遇サービス、串打ち作業、場合によりデリバリー業務など。


転載禁ズ (注)シンプルに説明するための図です ご了承ください

利益が出やすい要素は何か

1,食材原価率が低い(Fコスト率が低い)

もともと食材原価率の低い商売を選ぶか、調理の技術力で付加価値を高めた中~高価格で売れるしくみか、いずれにしても、原価率が低くできる商売のしくみが必要です。

2,給与支払いが最小限度で済む(Lコスト率が低い)

完全ワンオペ営業飲食店の場合は、従来通りに利益が出た分だけが経営者の取り分です。仮に生活費を24万円と決めていても、10万円しか取れない月は我慢して、30万円とれる月に24万円を引いた6万円をもらいます。しかし赤字月が続く場合もあるため、利益が多い場合でも使わずに預金して支払いにあてることが多い。

パートさんは給与がもらえなければすぐに退職しますが、経営者は退職できません。これが実は強み、当事者ですから我慢する。

パートさんがいないか、最小限度の雇用で済むため、「人件費の給与支払いが最小限度」は利益が出やすい条件なのです。

3,家賃が安い(Rコスト率が低い)

月商の高低に関係なく家賃の額は一定。(固定家賃の場合)非繁忙月には、家賃が7万円、10万円であっても重い負担になります。

可能な限り家賃は低い方が運営しやすい。ただし、重大な欠陥のある店舗は賃借してはいけません。理由があるから格安家賃というものもあります。

節約時代なので、店舗のランニングコスト(運営費用)の負担が少ないからこそ、売価を他店より高めに設定しなくても経営できる。これは有利な点です。

4,光熱費が安い(Uコスト率が低い)

★店舗が小さい
★営業時間が短い
★単一業態なので機材が少ない

これらの理由により、電気、水道、ガスのコストが最小限度で済みます。

5,その他の販売管理費がほとんどかからない

パートさんを雇用した場合は、食事の提供やユニフォームの貸与、交通費の支給、雇用労災保険の加入はしますが、他の費用はほとんどかかりません。

総合的に、ワンオペ飲食店を核にしたしくみの飲食店の方が利益が出やすい時代になってきています。

月商何百万円、何千万円と売っても、決算が赤字であれば社会から存在を認められた飲食店ではなく、経営者のやりがいもありません。

F率(フードコスト率、食材原価率)、L率(レイバーコスト率、人件費率)、R率(レント率、家賃比率)、U率(ユーティリティー率、光熱費比率)の削減が可能な店舗条件こそ、今後になすべき飲食店の原点です。

コロナ後に赤字体質化した飲食店は、現状維持よりも原点回帰を行う時期になったと考えるべきと判断しています

私が困難を解決できる知恵がいっぱいの自信をもってお勧めしたい本

私が昨年1年間かけて著作した飲食店のための本です。
開業で失敗する人を少なくしたいという希望
★飲食店の経営の指針を見失ってしまったという方に新たな方法を伝えたい

 この本は飲食店専門コンサルタントとして35年間の飲食店の実務支援を行った経験と知恵が満載。特に開業予算を少なくしたい、開業を間違いなく成功させたいという個人の開業者を対象にした記載をしています。

 本文の説明と別個に、役に立つコツや提案、チェックポイントなどを各処に織り込んでいます。初めて開業をする方にとって本当に役立つ実務ベースの総合開業本の内容です。

はじめに
第1章 開業成功の条件
第2章 店舗コンセプトを決める
第3章 創業計画書の書き方
第4章 開業スケジュールを作成する
第5章 資金調達のコツ
第6章 店舗を選ぶコツ
第7章 内装工事業者を選ぶ
第8章 厨房設備業者を選ぶ
第9章 その他の業者の種類と選び方
第10章 開業メニュー制作
第11章 従業員採用とハウスルール
第12章 開業前チェックをしよう
参考資料 料理の原価計算ノコツ

本の内容は決してあなたを裏切りません。また、ご質問等はこの投稿記事へコメントください

(了)





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オードリー7|🥕飲食店研究家
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします