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龍と鏡餅、しめ縄にまつわるお話

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年は辰年のお正月ですので、龍と鏡餅、しめ縄にまつわるお話をしたいと思います。


鏡餅の由来

雪だるまのような鏡餅の形、なぜあの形になったのでしょうか。
吉野裕子女史によるとあの形は蛇がとぐろを巻いている模倣だと言います。
古代の言葉では、蛇は「カカ」「カガ」と呼ばれていました。
蛇は瞼がなく、じっと眼光鋭くしている様子から恐れられ畏怖の対象として崇められていました。また、蛇は脱皮をするので、再生の象徴と捉えられており、その力が信仰の対象でした。

中国から鏡が日本へやってくると、その光と輝きが蛇の眼光に似ていることから、「カガメ」と呼ばれ、転訛し「カガミ」と現在の呼び方になったと言われています。つまり鏡餅は「蛇の餅」という事です。

鏡餅と年神様(大歳様)

年神様をお迎えしましょうと聞いたことはありませんか?年神様は鏡餅を依り代(神霊が依り憑く対象物のこと)にして、一寝入りして休まれるそうです。そして鏡餅で休まれた年神様は、新年の幸福や恵みとともに魂を分けてくださり、一年分の力を授けてくださるそうです。

年神様とは誰なのか

大年神(オオトシノカミ)とは、豊穣を司る神道の神とされ、正月に各家にやってくる来方神として知られています。

『古事記』によると
・父・須佐之男命(スサノオ)
・母・神大市比売(カムオオイチヒメ)
だそうです。また詳しい記述は省略しますが、

大歳様=大物主
との説があります。(「古代日本正史」原田常治)

また、大物主大神は大国主神の「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」であると名乗られたとの記載があるので、

大物主=大国主
であるとも言えます。
つまり、

年神様(大歳様)=大物主=大国主

と理解することができるのです。ここで重要なのは、大歳様の依り代は鏡餅(蛇の形の餅)であり、大物主は蛇神と知られていて、大国主も蛇神だという事です。全員が蛇神様なのです。

龍蛇神は神の中でも最も古い神の一つです。古代日本人は、蛇の毒での攻撃力を畏怖し、脱皮から死と再生を崇め、蛇を祖先神として崇拝していました。むかしは母のことを「カカさま」と呼んでいたのも、母は生命を産む蛇神そのものであり、日本人は「龍蛇族」としての信仰をもっていたのでしょう。

初詣の際に必ず目にするしめ縄は蛇の交尾の光景を模していると言います。
もしご興味があれば、画像検索をしてみて下さい。驚くほど酷似した形状をしています。
お正月は、暮らしの中に残された龍蛇信仰の形跡をたくさん目にすることが出来るのです。

まとめ

- 餅の形は「トグロを巻いた蛇」を表す。
- 古代の言葉では、蛇は「カカ」「カガ」と呼ばれていた。
- 古代の人々は蛇の目が常に輝いているように感じて畏れていた。
- 中国から伝わった鏡を怖れ、「カガメ:カガ眼=蛇の眼」と呼ぶようになった。
- 鏡餅は年神そのものを表していると著者は説いている。
- 「眼からウロコが落ちた」というのは、そんな意味かもしれない。
- 蛇は今でも「カカシ」「カガシ」「カガチ」呼ばれている地域があり、「ヤマカガシ」という蛇も存在する。
- 「かがむ」「かかる」「かがやく」などの言葉は蛇に由来する可能性がある。
- 神社の注連縄は交尾する蛇を表しているとされる。
- 禊(みそぎ)は蛇の脱皮による生まれ変わりを表すのではないかと推測されている。

- 古代の人々は蛇の脱皮や毒での攻撃力を畏怖し、蛇を祖先神として崇拝した。
- 縄文時代の土偶には、蛇を頭に載せた巫女が形作られているものがある。
- 蛇を祖先神とする文明は古代エジプト、インド、中国、南米など世界中に存在した。
- 龍蛇神は神の中でも最も古い神の一つである。
- 時代が進むにつれて蛇を直接的に表現することは少なくなり、抽象化されシンボリックな存在として残った。
- 鏡餅やしめ縄はその象徴であり、著者は日本各地の祭りや行事から蛇神信仰を取り出そうとしている。

最後に

身の回りのシンボルとして残る龍蛇信仰をお正月の機会に見渡してみませんか。今までと違った古代日本人の姿が浮かび上がってくるかもしれません。

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