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バトン

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今村くんと出会ったのは蝉がうるさいくらいに鳴いていた高2の夏。 近所の神社で毎年やってる夏祭り。神事の日に事件が起きた。 僕は何に巻き込まれていくんだろう。 青春小説第一弾。 …
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【短編再編集】バトン 〜僕と今村くん〜 約25000文字

【短編再編集】バトン 〜僕と今村くん〜 約25000文字

【1】
僕が、今村くんと出会ったのは、3年前の高2の夏で蝉がジリジリ鳴いてる時だった。

今村くんは自転車で僕の目の前を横切って、2メートル先で転んだ。

半ズボンを履いていて、膝がパカって割れて血が湧いて出るようだった。

「おい!ボサっと突っ立ってないでなんとかしろ!!」

自業自得な怪我なのに目が合っただけの僕にえらい上から目線で助けを求めてきた。

僕はその姿があまりにもおかしくて目の前で

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【短編】バトン12 【完結】

【短編】バトン12 【完結】

第十一話はこちらから

今村くんも亜島さんも、こんな今を望んだだろうか。僕には全くわからないと思った。

亜島さんに病院に行くべきだと言った。普通なら生きていない状態だけど、治療をすれば、少しは良くなるんじゃないかって。でも、亜島さんはその前にやるべきことがあるって言って。

今村くんには、由紀恵さんの家に行こうって言った。家族の元に今は戻れなくてもいつか戻れる日が来るからって。でも、今村くんは、

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【短編】バトン③

【短編】バトン③

第二話はこちらから

起きるのが苦手。
夜眠りについても、昼寝でも。なんで起きなきゃいけないのって眠くて眠くてぼーっとする。

「おはよう」
朝はまず、カーテンを開けるから眩しいし、次には頭をくしゃくしゃにしながら枕に押し付けられる。ここに泊まるといつも。
「ほら、起きな。」
無理やり体を起こされる。抵抗して目を閉じたままにしていても。
「起きてるんでしょ?」
体をくすぐられるからたまらない。

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