見出し画像

映画感想文『シリアル・ママ』 〜もう悪いことはできない〜

「シリアル」と聞くと、私なんかはカルシウムたっぷりの朝食を思い浮かべてしまうのですが、今回の話は全然違います(笑)。
『シリアル・ママ』の「シリアル」は、連続殺人の「シリアル」なのです。

主人公のべヴァリー・サトフィンは、歯科医の夫と2人の子供を持つ主婦。


べヴァリーは、普段は模範的な良妻賢母ですが、家族を傷つける者や社会のルールを守らない者を見つけると殺人鬼へと豹変し、容赦なく制裁を加えます。


息子を精神異常だと詰った教師や、娘をフッて別の女に乗り換えた青年、レンタルビデオを巻き戻さずに返却した婦人など計6人を殺害したベヴァリーは、「シリアル(連続殺人)・ママ」と名付けられ、凶悪殺人犯として裁判にかけられます。


しかし、なぜか社会は「シリアル・ママ」を恐れるどころかスター的に祭り上げ、擁護するのです(笑)。


そしてベヴァリーは担当弁護士を解雇して自己弁護を始め、とっさの機転と詭弁でなんと無罪を勝ち取ってしまうのです(笑)。


世間が「シリアル・ママ」の無罪で歓喜に沸く中、ベヴァリーは陪審員の1人が秋なのに白い靴を履いていること(ファッション界のルール違反らしい?)に腹を立て、その陪審員を殺害してしまいます...。

この通り、本作は凄まじいブラック・ジョークに固められた「サスペンス・コメディ」的映画だと思います(笑)。


「そんなことで殺すなよ!」とか、「そんなことで裁判ひっくり返らないだろ!」という素朴なツッコミを思わず押し殺させるような、独特の空気感があります。


正直、ブラックがきつめなので、体調が良い日じゃないと笑えないんじゃないか感は否めません(笑)。
体調が良いけど暇だなという日が訪れた方にそっとおすすめしたい映画といえるでしょう。


個人的な見所は、サトフィン夫妻の夜の営みが異様に激しいというシーンです(笑)。
尾崎豊も真っ青なベッドのきしみっぷりでありました。