卒展を終えて 【パラドカプト編】
はじめに
どーも、こんにちは。
卒制の記事を書くぞ!とか言っておきながら、卒制から1年が経ちそうです。そして、もう1回、卒制の時期が来てしまいました。
いや、サボっていたわけじゃないんですが、就活がうまく行ったり、行かなかったり、いろいろあって、書くのを忘れておりました!
ま、今回は卒展を終えて、第2弾ということで、チームで制作した部分に関して書いていこうかな~と思っております。
前回の個人ブース編の続き(?)みたいな感じになります。セットでぜひ。
もう忘れていることもあるかもしれないですが……。
なぜ、あの形式になったのか?
まず、あの形式って?と思う方もいると思うので一応、軽く書いておきます。
今回の展示は 1)大学会場と学外会場の2つ同時開催 2)個人展示とチーム展示の合わせ技 みたいな、ちょっと変な?展示方法のことです。
これになったのはなぜか?って話ですね。
1)大学と学外の同時開催
結論、あれが考えられる中での最善だったわけです。
&6は結成したときから、卒業制作はでっかくやりたいよね!って話してました。で、どうせなら展示空間の隅々までこだわりたいな~と。
でも、そうなってくると、大学の教室でやるのは厳しかったんですよね。
ホールとか広い教室を確保できればその限りではなかったかもしれません。が、ゼミ生が5人(僕は休学中でカウントされないため)なのに、他の人数が多いゼミを差し置いて、大きい部屋を割り当ててもらうのは無理があります。それに、仮に大きな教室を割り当ててもらっても、空間には限りがありますし、オフィスビルのワンフロアなので、ビルのルールでできないこともあります。
そういった理由で、外部会場を借りて卒展をやることは、ゼミが始まったくらいのタイミングでほぼ確定してました。
で、じゃあ、その外部展示をいつやるのが最適なのか?という問題があるんですが、作品の準備・保管とか、プロモーションの関係とか、そういった事情で同じ時期がいいよね~となりました。
でも、デジハリの卒展だから学内にも何か置いとかないと、いろいろな事情でマズいのでは?となりまして、同時開催という形を取りました。
ちなみに、6人では人手が足りな過ぎて、3期生の皆さんにたくさん手伝っていただきました。手伝っていただいた、みなさん、ありがとうございます。
2)個人展示とチーム展示の合わせ技
特に町屋会場の話になりますが、今回はチームで作るエントランス(全体ブース)に7個の扉が配置されていて、その扉の中にメンバーそれぞれの部屋(個人ブース)があるという展示にしました。
これは、チーム内で個人展示派とチーム展示派がいて、どちらの主張もめっちゃ分かる!ってことで、なんとかどっちも実現できないか考えた結果、たどり着いた形です。
もっと展示ギリギリまで悩めれば変わってたかもしれませんが、支援金の応募の際に決めきる必要があった(展示の半年前くらい)ので、強引に合わせ技に持っていきました。みんな巻き込んでごめんよ!
一応、それぞれの主張としては…
みたいな感じです。どっちもめっちゃ分かる。
これを上手く両立させるには…って考えて、思いついたのがチームで作る「へそ展」みたいなチーム制作部分があって、そこにある扉から個人のブースにつながっているという展示空間です。
で、参考になりそうなものをアレコレ探していると、運よく、パノプティコンという刑務所の構想を見つけました。中央に監視塔があって、周囲に独房が放射状に配置されているような形のことを言うらしいです。たぶん。
というわけで、パノプティコンのような? 展示にしようね!ってなりました。
正方形の会場がないとか、丸って壁作るのむずいとかで、最終的にはパノプティコンにはなりませんでしたが、まあモチーフなので。
テーマ『囚われ』
そんなこんなでチーム展示であり、個人展示になったわけですが、一応はチーム展示なので共通のテーマが必要です。
ですが、共通のテーマを狭めすぎると個人ブースの表現が限られてしまい、個人制作をしたい!という思いが踏みにじられてしまいます。
困りました。
でも、なんとラッキーなことにモチーフはパノプティコン ≒ 監獄です。当時の僕は冴えてたので連想ゲームが上手くいき、「囚われ」という言葉が思い浮かびました。
囚われと聞くと、ネガティブなイメージが強いと思います。自分が苦手なこと、怖いこととか。
でも、広くとらえてみれば好きなこと、こだわっていることも囚われていると捉えられます。
そう、つまり、怖いこと・好きなこと・やってみたいこと、割となんでもOKになる。表現が狭くならないぞ!うおお!!って思い、テーマは「囚われ」になりました。ラッキーだね。
で、メンバーはそれぞれ、「変」「情報」「承認欲求」「ファンタジー・接客業」「落ちる」「家」と、割と広く表現できたから、個人的には最善の選択だったかなって思います。
そういった、様々な経緯があり、6人の囚われを巡る一つの展示空間を作り、それぞれの部屋は自分なりのテーマで制作する展示を、学内・学外で同時開催するという流れになったわけです。
文字で書くよりも修羅の道ではあるので、卒制をする人は同時開催はあんまりおすすめしません。直前にやるとか、直後にやるとかのほうがいいのかも。まあ、どっちも大変だと思うけど。
制作物
せっかくなので、全体の制作物もちょこっとご紹介しておきます。
ドア×7
前回の記事を読んでいただいていたら、ご存知かもしれませんが、見出しの通り、ドアを7個作りました。
実を言うと、最初は「7個つくっちゃおっか!」「いや、やばすぎwwwww」くらいのテンションで考えていました。でも、パノプティコンのような展示空間を作るってなると、部屋と部屋を区切る「なにか」が必要だったんですよね。
……そりゃ、もう、ドアしかないだろ。
ってことで、7個作りました。メンバーそれぞれのドアを6個。そして、&6にとって、展示を完成させてくれるのは、いつも体験してくれる人なので、体験者のための7個目の部屋につながるドア。ということで、計7個です。
装飾はそれぞれの部屋の個性に合わせて、個人にお任せして、ドア担当(実質、みんなで作ったけど)が装飾がしやすいシンプルなドアを作る方針で2023年12月上旬ころから作りはじめました。
重視したのは軽量化と効率化、あと安全性です。業者が気にすることですね。
実は、初代ドアはめっちゃ重かったんです。ベニヤを2x4の木材で挟むというアホ設計だったんです。まあ、初めてだからしゃーない。
なので、今回はドアの作り方を再度、勉強するところからはじめ、フラッシュ式という軽量かつ作りやすい設計にしました。
結果、かなり軽くなりましたよ!(誰も気づいてないと思うけど……)
で、他にもドアの枠を調整して、建付けを改善したり、安定性を強化したり、細かい修正をして、1月末くらいにドアが完成しました。ギリギリでしたね。
もう、本当にドアだけで1万文字くらいかけるので、この辺でやめときます。
ダンボール壁
これが結構、大変でした。
壁を作りたい、というか作る必要があるのはずっと分かっていたんですが、安全な壁を、どうやって7部屋分も準備するのかってところが非常に難しかったです。
パーテーションにすると装飾が制約されるし、ダサいからヤダ。けど、木材で作ろうとなると、搬入がもっと大変になるし、やったことないから安全性がどのくらい確保できるか分からない。業者に頼めばいいけど、それはコストがかかってしまう……。
そんな議論を8年(正確には数十時間)くらいしてました。
で、最終的には毎年メディアアートで提案だけされているけど、誰も頼んだことがないで有名(?)な避難所用のダンボールパーテーションを採用しました。
👆これっす。
これをたくさん注文しました。コストはややかかりましたが、安全性と搬入の手間を考えると、一番安い選択だったと思います。
まあ、そのまま使うとダンボールすぎるので、全面にペンキを塗るというクソハードワークが待っていたんですが……。結果、塗るのだけで1カ月くらいかかったので、&6の卒制は壁塗りとドアづくりで9割が終わりました。
しかも、ダンボールなので、ペンキを塗ると曲がるっていうね。
本当に大変だったので、思い出したくないです。
とはいえ、良い感じの壁になったので、大変助かりました。
あと、これ、めっちゃ重かったです。2人じゃないと持てない。
まあ、配達してくれた佐川のお兄さんは、エレベーターなしの事務所の5階まで、一人で4箱も持ってきてくれたんですけど……。
本当に、あの時の佐川のお兄さん、ありがとうございます! あなたなしでは展示できてませんでした! 本当に!!
みなさん、佐川急便に課金しましょう。
7個目の部屋
やばい、ドアと壁で文字数を使いすぎた。まあ、いいや。今日も長編です。
で、7個目の部屋。これが体験のキモです。
6人の囚われを体験したお客さんが、自分の囚われと向き合うための一番大事な仕掛け。
これを考えるのは非常に苦労しました。もう、本当にギリギリまでこれを考えてました。途中の議論を抜粋して書いても、ハチャメチャ長くなりそうなので、省きますが、最終的には「体験者にも自分の囚われを表現してもらおう!」という方向になりました。
なんか、作ってもらうのはハードルが高いんじゃないか?とか、だから、文字だけでもいいようにしよう!とか、いきなり部屋に入れられても分からないから、説明できるシステムを作ろう!とか、いろいろ走り回った気がします。
でも、想像以上にお客さんが楽しんでくれて、予想していたよりも自由な発想で囚われを表現してくださったので、大変見ごたえのある7個目の部屋になりました。
Webシステムのおかげもありますね。めっちゃ3期生に手伝っていただきました。システム設計とかイラストとか。
本当に、本当に皆さんありがとうございます!!
監視ルーム
そんで、大学側はどうなってたのか?というと、町屋会場の様子が見れる「監視ルーム」をイメージした空間にしました。
町屋のそれぞれの部屋をカメラで映して中継しています。外部会場にも来てね~!っていうアピールもしなくちゃいけなかったのでね。
モチーフがパノプティコンだったので、看守室をイメージして、監視ルームに仕上げました。
仕上げたとか言ってるけど、レイアウトを考えてくれたのは、ほぼかごちゃんだし、設営してくれたのは3期生の皆さんだったので、僕は大学側の撤収日に初めて見ました。
もう、本当に全部お任せしちゃって、ごめんね!
へそ展の「なるへそ」ボタンが置いてあったり、それぞれの囚われを紹介したポスターが飾ってあったり、等身大パネルが置いてあったりしましたね。いい部屋でした。
等身大パネルは、大学撤収後、町屋の会場に運搬しました。自分の等身大パネルを持ったまま、千代田線にのったのは、人類で&6が初めてじゃないでしょうか。(めっちゃ恥ずかしかったです)
はい。まあ、他にもいろいろ制作物はあったんですが、全部は紹介できないので、大事そうなところを紹介しました。いっぱい作りましたね。
これにプラスで、みんな個人の制作物を作っていたので、本当にたくさん作ってたと思います。頑張った。
あと、何回も言ってるけど、3期生がいなかったら、完成してないので、本当に感謝しています。ありがとう。今年は一緒に制作がんばろうね!
囚われの楽園 「Paradkapto(パラドカプト)」
最後にちょっとだけ、展示会の設定について書こうと思います。
僕たちの展示は体験する人の手が加わって完成するので、展示会の世界観に、お客さんをちゃんと引き込むことが大事だと考えています。で、僕が勝手に設定を書いたりして、展示の世界に入ってもらう工夫を考えたりしてます。
それが「正解」ではない気はしているけど、今できる中では、よい方法だと思っているので。
で、今回は「Paradkapto(パラドカプト)」という囚われを収容する施設という設定にしました。
なんか、囚われの牢獄とかでもよかったんだけど、そうすると、お客さんがそれぞれの部屋をまわるの変じゃない? 看守ってこと?みたいな、議論になりまして、囚われを収容する施設という設定にしました。
ただ、収容という言葉が強い&ネガティブを含むので、「囚われの楽園」というテーマパークっぽいノリに仕上げました。
最初のトークでは、お客さんに「展示会を通して、どういった体験をしてほしいのか」をやんわりと伝えられるようにしました。
いきなり、ドアだけ置いてあっても入りづらいからね。けど、あ~、ドアなんです~って言うだけだともったいないし。間を取って、こういう世界観なんで、ドアに入ってくださいね!って言うような感じにしてます。
ちなみに、Paradkaptoは「囚われの楽園」をエスペラント語に翻訳して、文字を組み替えたりしました。Chat GPT翻訳なので、どこまで正確か分からないですが「Kaptita Paradizo(カプティタ パラディーゾ)」を組み替えて、「Paradkapto(パラドカプト)」です。
まあ、そんな感じで設定を考えたよ~って話です。
お客さんを自然に&6の世界に引き込む、良い仕掛けをもっと考えたいですが、好き勝手に設定を考えるのも好きなので、もっとやりたいっすね。
さいごに
うん。めっちゃ長くなりましたね。
最後まで読んでくださったかた、いつも、ありがとうございます!!
思い立った日に、バーッと書くので、ちゃんと整理できていない気もしますが、書きたいことは一通り書き切った気がします。
卒業制作攻略編みたいなのも書きたいけど、その前にもう一回卒制が来そうだな。
ま、また、思い立った日に書き加えたり、新しいの書いたりします。
もしも、ファンがいるのであれば、気長にお待ちくださいませ。
ってな感じで、2023年度(?)の&6の卒業制作展に関連する記事は一旦、完結です。なんか、もっと、こういう話聞きたかったんだけどぉ!!ってリクエストがあれば、DMください。(ここまで読んでいる人は読み疲れてて、そんな元気も残ってないかもしれないですが)
また、次の展示でお会いしましょう!(がんばります)
体調にお気をつけください。
では🖐️