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H25 大学セミナーハウスをエスキスしてみた

初めて設計製図試験を受験される方、エスキスが苦手な方に見てほしいです。

私はエスキスはもちろん、要点記述や作図も苦手だったので、同じ状況で悩んだり苦労している方の参考になればと思い書いています。

難しいことは何一つやっていない再現性のあるエスキスになっていますので、是非最後まで見ていってください。



周辺環境整理・外構計画


↓まずは周辺環境の整理からやっていきます。

↑課題文と同じようにエスキス用紙に書きます。(書き写すときに間違えないよう注意する。)

道路は幅員はもちろん横断歩道、歩道なども気にするようにしてください。(今回は歩道書いてます。)

↓次にアプローチとつながり条件を整理していきます。

↑今回の課題は。。。

  • 南側のみ接道なので駐車・駐輪スペース要検討(歩車分離、動線の交錯)

  • 食堂と一体的に利用の屋外テラス(明るく開放的な食堂希望)

  • 勾配天井指定のため敷地内もしくは建物内に設備配置を計画

  • 北側と東側の樹林は景観はあまり良くなさそう

  • 西側の企業保養所側は管理ゾーンを計画

主出入口は南側の道路からアクセスできるよう南側に計画します。また主出入口に近い場所に車いす使用者用駐車場を仮置きします。続いてサービス用駐車場は南側道路から入れ、ヘリアキの東側か西側に配置し、利用者と交錯しないように計画します。今回は企業保養所のある西側のほうが管理ゾーンに向いていそうなので第一希望は西側とします。

その他には明るく開放的な食堂を要求しているので南側に、そして厨房の管理動線を考え西側に仮置きします。さらに食堂につながり条件のある屋外テラスを配置します。

駐輪場は南東側に仮置きします。

以上、まとめヘリアキは北側2m、東側2m、南側6m、西側3mでひとまず進めます。


面積・高さ検討


次は面積関係をチェックします。

↑建築面積が課題文の条件の範囲内かどうか確認します。

建築面積はオーバーしていました。。。
このまま各階の計画を進めると1500~1800㎡にはとても入らなそうです。。。
X方向45mを守ると、Y方向は23m、
Y方向27mを守ると、X方向は38m
くらいのボリュームにしなくてはなりません。

  • X方向が仮に45mだとすると6m×7スパンあまり3m

  • X方向が仮に38mだとすると6m×6スパンあまり2m

  • Y方向が仮に27mだとすると6m×4スパンあまり3m

  • Y方向が仮に23mだとすると7m×3スパンあまり2m

つまりX方向は6スパンでも7スパンでも計画でき、Y方向は3スパンでも4スパンでも計画できることがわかりました。

面積含めチビコマでプランしてみてもろもろ調整していくこととします。


次は高さ関係の検討へ進みます。

↑課題文条件の階数、天井高さ指定、無柱空間、空調方式などなど高さに絡む部分を整理していきます。

今回は

  • アトリエ 平均天井高さ5m以上(面積的に二層分の勾配天井ということ)

  • アトリエ 無柱空間

  • 空調設備 課題文に屋外機と記載(空冷ヒートポンプパッケージユニット)

ただし、“南側の道路の先が渓流”“都市計画区域及び準都市計画区域以外”と書いてあるので道路斜線は検討しなくて大丈夫です。階高も基本の4mで進めていき、アトリエの天井は5m以上確保できるよう勾配屋根で調整すれば良さそうです。


チビコマ・スパン割


それではチビコマに入っていきます。
今回の課題も地域住民が入ってきてしまうので、1階を研修部門、2階を宿泊部門とするとプランしやすそうです。

まずは2階の宿泊部門から配置してみます。(2階建てですが基準階型と考え方は同じです。)宿泊Aが6室、Bが2室、Cが2室、浴室(男女)を入れていきます。

周辺環境を踏まえると、西側に宿泊室は配置しないほうが良さそうなので、第一候補の南側と反対側の北側に配置する方法を考えます。浴室は眺望指定があるので南側に計画します。

続いて1階は、南側中央に主出入口、西側に食堂を配置し、東側にはアトリエ、セミナーABC、和室と並べていきます。

面積を削らなければならない状況なのでY方向が4スパンだと無駄が多い感じですのでY方向を3スパンにしてみます。↓

Y方向を3スパンにするとだいぶ無駄がなくなりましたが、アトリエは2層分にしなければ面積的に納まらないため2階を圧迫しています。X方向6スパンでは足りなそうなのでX方向7スパンを検討してみます。↓

X方向を7スパンにすると2階は宿泊室関係が全て入り、アトリエの2層吹抜けも納まりそうです。1階も東側に研修部門、西側に共用管理部門と配置できまとまってきました。

ここで2階は完全にツインコリダー型のレイアウトが見えてきましたが、今のままではアトリエがじゃまして階段やエレベーターがうまく入れることができません。そこで廊下を通し、アトリエを北側へ凸に出します。


ツインコリダー型をきれいに計画することで、階段やエレベーター、吹抜けなどを計画できそうです。またアトリエは北側でなく南側に凸にする方が建物の顔になってくれそうなので、南側へ変更します。


倍コマ・スパン調整


↓まずはチビコマで決めたように室数を確保していきます。

1階は南東の角にアトリエ、北東の角にセミナーAという感じで大きな室を置くから置いていきます。あとは順番に並べていき、東側は研修部門(ピンクマーカー部分)でまとまりました。中央は主出入口含めエントランスホールと階段・エレベーターが十字に配置、南西の角に食堂、北西の角に設備スペースとしました。

2階は眺望指定のある浴室を南側に、あとはバランスよく宿泊室を配置(オレンジマーカー部分)し、北東の角2室をB、中央北側と南側に3室ずつA、北西側を浴室関係の設備室、残りはCという感じでかなりまとまってきました。
談話スペースはエレベーターホールと吹抜けの間に配置しました。

ここで柱ピッチを決めていきます。
ツインコリダーなので2階のY方向は7・8・7の基本パターンから仮で決めていき、各室の面積を検討しながらX方向を6mで仮決めしていきます。

建築面積、各階床面積を再計算していきます。
結果は建築面積はクリアでき、各階床面積が12㎡オーバーしている状況。。。これくらいなら1/400エスキスでポーチやバルコニーなどで調整できそうなのでこのまま進みます。


1/400エスキス


↓最後エスキスにしてまとめていきます。

↑作図の配置と合わせるように書きましょう。これをミスすると作図時に混乱したり不整合になりやすくなるので注意です。(左上:2階、左下:1階、右上:伏せ図、右下:断面)

(私はこの時、配置を間違えて書いているので、実際作図した時は、やはり混乱しました。これを教訓にやはり配置位置は作図と同じが良いと改めて感じました。)

1階は敷地範囲を書き、各階柱芯を書いていきます。

↓まずは倍コマと同じように部屋を下書きします。

↓次には外構から書いていきます。続いて階段、エレベーター、吹抜け、部屋と書いていきます。

今回は勾配屋根なので、屋上に設備スペースを設けられません。。。(敷地内や建物内に検討することも忘れずに)


↓断面も書きながら検討していきます。

二段梁屋根とすることでハイサイドライトからの採光と勾配天井の天井高さで明るく開放的な空間を目指します。
南側の軒先は建築面積に余裕があれば伸ばします。夏は日射遮蔽でき、冬は日照をとれます。


↓室名を入れながら、欠落していないかチェックしていきます。寸法が見えてきたところで各階床面積を再度計算してみます。

一通りチェックしていくと、エントランスホールのラウンジは自然景観を取り入れ、明るく開放的~ということが要求事項に書いてあることに気が付きました。

北側中央にあるエントランスホールのラウンジを南側へ、そして元々南側にあった和室を北側へ交換することで、南側の眺望と日照が確保できそうです。開放的な~という要求は吹抜けで対応します。2階は南側A5の部屋を吹抜けに変更すると、1室分調整しなければなりません。南西の角2スパンの浴室をいじめ北西の角にある設備室をねじ込みます。設備室のあった北西の角はC1、C2を入れ、残りの北側へA1~A6を配置します。残りの南側はB1、B2を配置しまとまりました。


主出入口から利用者エレベーター・利用者階段が遠い感じがするので修正してみます。

アトリエ準備室を南側から1スパン北側へずらし、東側の奥へ移動します。利用者階段、利用者エレベーターは西側へ1スパンずらし、主出入口へ寄せることができました。それに合わせて吹抜けも調整します。また先程引っ越ししたラウンジを更に東側へ1スパンずらし吹抜けも東側へずらします。そうすることで宿泊Bが2室並びまとまります。


完成


↓最終的にこうなりました。

廊下を通し要求室をしっかりとグリットの中に納めることで、シンプルなプランになりました。

これなら記述も書きやすいはず。。。

  • 研修部門の計画・・・東側にまとめて配置

  • エントランスホール・・・ラウンジに吹抜けとハイサイドライトで眺望と日照

  • 勾配屋根・・・天井の高くなる部分に吹抜けと回廊廊下

普段のエスキスから、あまり小さいことにこだわらずに、大枠間違ってなければOKという精神でドンドン進めるのが重要です。
完成度が低くても時間内にまとまるようにしていきましょう。

そして見直しで改善点が見つかれば、室を入替えたり調整することで、より良いプランにしていきましょう。

(私はチビコマのあたりでは大まかなゾーニングやつながり条件をつくっていき、スパン数を決めます。
倍コマでは面積調整を含むスパン調整をします。
1/400エスキスでは細かな部屋の配置、作図前の微調整や要点記述を書いた後の修正などを行っています。)


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