R4 事務所ビルをエスキスしてみた
初めて設計製図試験を受験される方、エスキスが苦手な方に見てほしいです。
私はエスキスはもちろん、要点記述や作図も苦手だったので、同じ状況で悩んだり苦労している方の参考になればと思い書いています。
難しいことは何もしていないエスキスなので、是非最後まで見て何かつかんでもらえればと思います。
周辺環境整理・外構計画
まずは周辺環境の整理からやっていきます。
課題文と同じようにエスキス用紙に書きます。(書き写すときに間違えないよう注意しましょう。)
道路は幅員はもちろん横断歩道、歩道なども気にするようにしてください。
次に屋外施設を整理します。
今回の課題は。。。
利用者用駐車場2台(車椅子使用者用駐車場1台)
レストラン用サービス駐車場1台
レストラン客用駐輪場10台
レストラン屋外テラス席50㎡以上
以上を絵にかいて整理していきます。
まずは駐車場、駐輪場を配置していきます。
2面道路を活かした計画となるように駅からの通りの南側道路に利用者駐車場を、北側にサービス駐車場を配置します。
南側道路の東側が駅に続いているので、東側に駐輪場、西側を駐車場で仮配置します。
次に屋外テラスを配置しますが、課題文にはレストランと行き来ができるようにとあるので、レストランも含めどこに配置するか考えます。
駅からの人の流れがある南側道路と公園のある東側が条件が良さそうなのでレストランは南東の角付近へ仮置きします。
すみません、屋外テラス書き忘れてますね。。。
面積検討
次は面積関係をチェックします。が今回の課題は営業時間についても少しかいてあるので、ちょっとだけ追記しておきます。
時間外の出入りは通用口からと書いてあるので、北側にも駐車場が必要になる可能性だけを忘れないようにしておきます。
※北側のヘリアキに影響します。
サービス駐車場だけであれば3mでよいところを車椅子使用者用駐車場が入るよう4mとっておきます。
ヘリアキは北側4m、東側2m、南側6m、西側2mとなりましたので建築面積、各階床面積を算出します。
建築面積はクリア、各階床面積もクリアで次のことがわかりました。
基準階はしぼらなくてよい(総〇階建)
MAX7階建てまで建てられる
高さ検討
次は高さ関係の検討へ進みます。
まず今回?階建てのイメージをまとめていきます。
レストランは屋外テラスとつながり条件のあるので1階
シェアオフィス・屋上庭園が最上階指定
貸事務室は基準階(必要面積次第で何層か決定)
基準階の階高を整理していきます。
プレストレストコンクリート梁 1.2m
空調指定ナシ 0.2m
指定天井高さ 2.8m
OAフロア 0.2m
空調は特に指定がないので、空冷ヒートポンプパッケージユニット
床はレイアウトのフレキシビリティを考慮してOAフロアでみました。
基準階の階高が4.3m、1階と最上階は4mで想定します。
今回の用途地域は近隣商業地域と書いてあるので道路斜線勾配は1.5です。
北側と南側は道路幅員が同じなのでヘリアキ4mの北側と6mの南側の両方計算しておきます。
(斜線検討省略しても良いですが条件を複数だすために計算しています。)
次に基準階を何層か想定して仮の高さを出しておきます。
まずは床面積MAXまで使える7階建てにした場合の基準階5層パターン
そして1フロア968㎡なのでプランによっては必要面積を満たしそうな基準階4層パターンが考えられます。
よって基準階4層と5層で想定した高さを書いておきます。
複数候補を書いておくことがポイントです。
何階建てにするとヘリアキがいくつ必要かわかってきたところで次のステップへ進みます。
チビコマ・スパン割
それではチビコマに入っていきます。
X方向は44mなので、7m×6スパンあまり2、6m×7スパンあまり2
Y方向は22mなので、7m×3スパンあまり1
ここも複数スパンの候補を出しておきます。
基準階タイプなので、まずは基準階から進めていきます。
最初はX方向6スパン×Y方向3スパンで様子見ます。
貸事務室を置くパターンは南北の道路へ向けるセンターコア型か
貸事務室を南側へ向ける片コア型にするパターンを両方書いてみます。
センターコアより片コアがプランしやすいので、まずは片コアから進めてみます。
X方向6スパンから7スパンにするとコアをコンパクトにでき、レンタブル比があがりそうです。
レンタブル比があがるということは、1層あたりの貸事務室の面積が稼げるので、建物の高さも抑えることができると考え、X方向7スパンで進めてみます。
倍コマ・スパン調整
まずはチビコマで決めたスパン割りで進めます。
そして1階と最上階の要求室が少ない為、チビコマ兼用倍コマで書いています。
1階は東側をレストラン、西側をコミュニティホール、中央はエントランスホールと配置していき、北側を管理系の室で構成すると何となく形になりました。
最上階は屋上庭園を条件の良い公園側へ向け、残りはシェアオフィスのレイアウトをざっくり行います。
室面積を確認しながら柱スパンを確定していきます。
まずは貸事務室の面積から計算していきます。
1フロア835㎡になるので基準階4層あれば足りそうです。
高さ制限もだいぶ楽になりますね。
その他、1階は受水槽の50㎡以上を注意すれば面積確保はできそうなのでこのまま進めます。
1/400エスキス
次にエスキスにしてまとめていきます。
作図の配置と合わせるように書きましょう。これをミスすると作図時に混乱したり不整合になりやすくなるので注意です。(左上:1階、左下:断面、右上:基準階、右下:最上階)
今回エスキス時に間違えていて、作図時にちょっと混乱しました。。。(1/400書く前に作図の配置を確認する作業はやはり大事だと感じました。)
敷地図、柱の通り、外構計画の順で書いていきます。
次に要求室を書いていきます。
倍コマの計画をまずはトレースし、主要な室を入れていきます。
利用者階段のX方向を7mで計画するか迷いましたが、エレベーター横にくっつけてはね出し階段にすることで、6m×3スパンの中に階段とエレベーターを納めました。(コレ覚えておくと使い勝手が良かったです。)
最上階のシェアオフィスは貸室を無窓にしないよう外壁側で計画しています。
建物中央側になってしまった貸室は光庭を持ってくることで、無窓回避しています。
廊下もスッキリ回廊でき動線も良さそうです。
続いて細かな室を入れていきます。
1階はレストランのサービス系の室や事務所ビルのサービス系の室を配置します。
コミュニティホールの倉庫を見落としていたので、受水槽への通路がなくなってしまいましたが、受水槽室や防災備蓄倉庫は外側からのみ入れる計画として、室内からのアクセスはあきらめました。。。
基準階は会議室やトイレなどを入れていき、光が届きにくい建物中央は光庭にすることにしました。※フォード財団本部ビルのようなイメージです。
最上階はラウンジに隣接して事務所と受付、空いているスペースにトイレをいれました。
最後にチェックしていきます。
道路高さ制限
貸事務室の床面積の合計
(この2点以外はクリアできていたので、チェックは省略しています。)
道路高さ制限は基準階の高さを4.2mに変更し、最終的に25.9m→25.5mとしました。別の方法として、パラペット0.6m→0.3mとしてもよいと思います。
貸事務室の床面積の合計もやっておきましょう。
プランが途中で変更になったときなど意外と不足していたということも考えられます。
完成
最終的にこうなりました。
1階と基準階はほぼ左右対称のシンプルなプランにまとまり
シェアオフィスは廊下の通ったプランにまとまりました。
問題を解いた感想は。。。
2面道路の考え方、スパン割り、スパン調整、各階無柱空間の重ね方などなど基本的なところができているか?
利用者と管理者の動線・営業時間外の動線など複雑に混じる場合に捌けるか?
斜線制限と貸事務室の合計床面積を調整しながら計画をまとめられるか?
などなど色々考えさせられる、とても良い課題だと思いました。
あまり細かいところは気にせず、プラン全体をそこそこにまとめていくことが大切です。
※見出し画像は「フォード財団ビル」より引用させていただきました。photo_Simon Luethi / Ford Foundation