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【初心者向け】狩猟用エアライフルの選び方〜①知識編【2024年 最新版】

皆さんこんにちは。
突然ですが先日、私は今までに80ほどnoteに記事を書いているのに、こうした超ビッグワードの記事を今まで書いたことがない、という驚愕の事実に気づきました(笑)

いやホントそれでよくこんなにアクセスがあるものでありがとうございます、と皆様に感謝の意をお伝えしつつ、
初心に帰りまして、改めて初心者向けの狩猟用エアライフルの選び方を書いてみたいと思います。

実のところ初心者にどんなエアライフルをおすすめするか、というのは、どんな狩猟スタイルで、何を狙って、どんな猟場なのか、によっても大分変わってきます。

ただし、初心者がとっつきやすい、腕を磨くのに向いているエアライフルということであれば、おすすめできるエアライフルはいくつか候補を挙げることができます。

さて今回は、全2部構成として、まずは購入の検討材料となる、エアライフルの知識の説明からです。

狩猟用エアライフルの種類

現在のエアライフルの主流は、銃本体に高圧空気を貯蔵し、それを少しずつ吐出し弾を飛ばす、PCPエアライフルと呼ばれるものです。
その他には、銃についたポンプレバーを複数回動かすことで空気を圧縮し、それを一気に解放することで弾を飛ばすマルチポンプ式、大きく長いバネの力を使ってピストンを押しシリンジの空気を押し出す要領で弾を飛ばすスプリングピストン式などがあります。

今回は主流のPCPエアライフルに絞って説明します。

PCPエアライフルの種類

狩猟用のPCPエアライフルは、登場から現在に至るまでにいくつかの大きな技術革新がありました。私はそれらを大きく3つの世代に分けています。
第1世代は、空気の圧力を一定に保つレギュレーターを持たない、シンプルなエアライフルです。銃の蓄圧タンクに溜めた空気をそのまま使用します。
第2世代は第1世代をベースにレギュレーターを搭載したモデルです。レギュレーターで減圧した空気を使用します。
第3世代は、構造を刷新し、レギュレーターで減圧した空気を溜める二次気室(プレナム)を大型化し、ハイパワー、低燃費を実現したモデルです。

初めての方は理解するのが難しいかもしれませんが、エアライフル選びには重要なポイントですので、こちらの記事もご参照ください。

新銃or中古銃

まず多くの初心者の第一印象として、狩猟用エアライフルは高い!と感じるでしょう。装薬銃に比べると部品点数が多いため、銃本体の価格が高いのは確かです。その代わりにランニングコストが安いのがエアライフルの魅力です。

価格で悩んだ時に選択肢に上がるのが新銃で買うか、中古銃にするか、という2択でしょう。これについては予算に合わせてどちらでも良いと思うのですが、注意していただきたいポイントもあります。

銃に限らず安心なのは保証がある新品で、中古には少なからずのリスクがあります。古さが理由で安くなっている銃は、きちんとメンテナンス、修理がされているものか確認する必要があります。

また世の中の銃砲店の多くは装薬銃のお店です。エアライフルは構造が全く異なるため、必ずしもお店に知識があるわけではありません。そのためトラブルの発生確率が高い中古銃を買うならばある程度エアライフルに詳しいお店で直接買う方が安心です。

逆に新銃であれば品質は保証されているため、お付き合いのある銃砲店で買わなければならない、お付き合いをしたい最寄りのお店がエアライフルには詳しくない、という場合はできれば新銃を選ぶのが良いでしょう。

どうしても中古銃を買う必要がある場合は、あらかじめ専門店でオーバーホールをしてもらった上で買いましょう。
『最近メンテしたばかり』『前オーナーが渡す時まで調子が良かった』『いつ撃ってもワンホール』
これらの体感には個人差があります(笑)いや本当に。
万一購入後すぐに故障やエア漏れをしたら、お店との信頼関係もギクシャクしかねないですからね。

価格

エアライフルの新銃価格はピンキリです。最近は中国製やトルコ製などの新銃でも安価なモデルが流通し始めました。
ではどれを選ぶべきか、というのを価格別に簡単に説明します。

新銃では、まず50万円オーバーのエアライフルは第3世代を中心としたメーカーのハイエンド機種であることが多く、外部調整機能が付いていたり、エアスラッグ弾仕様であったりと、付加価値が付いています。最初からこれらを選んでも問題はありませんが、こうした機能は知識があってこそメリットとなるもので、初心者がその恩恵を最初から得られるかというと難しいかもしれません。

30~40万円台はメーカーの主力機種が多いでしょう。複雑な機能は持たせず、きちんとペレット弾を精度良く当てられる、という意味ではどれも一緒だと思います。その中でもストックの種類やタンク容量、といった違いがありますが、予算に合わせて好きなものを選んで間違いはないでしょう。

最近、20万円程度のトルコ製、中国製のエアライフルが流通し始めました。中古銃と比較しても、手を出しやすい価格ですね。
これらも精度という点では、人気メーカーのエアライフルと大きな違いはないものが多いでしょう。ただし、価格が安い、というのは品質や仕上げのクオリティなどそれなりの理由はあります。
道具として割り切るならば十分に選ぶ価値があると思います。

用途は?

これも最初にきちんと考えておいてください。とはいえこれから始める方の多くは、明確なイメージを持てないでしょう。
しかしながら、鳥猟に使うのか、止め刺しに使うか、熱心に標的射撃をやりそうか、といったところはある程度イメージしておいてください。

残念ながら、全ての用途が満点で叶うもの、というものはありません。
これはエアライフルに限らず全ての趣味の道具に共通することです。

口径 とランニングコスト

狩猟用途の場合、鳥猟のみであれば5.5mmで十分です。有害駆除に使うなどボディショットでも確実に仕留めたい、100m程度まで狙いたいという場合は6.35mmも候補に入れると良いでしょう。有害駆除と鳥猟両方に使いたいという場合もこちらです。

7.62mmはかなりハイパワーで止め刺し用途がメインです、鳥猟だけを目的にこの口径を選ぶのはやめましょう。
大口径、ハイパワーは半矢が減る、というのは間違いではありませんが、半矢=バイタル以外へのHITですので、可食部位がダメになることも多くなります。
バイタルに正確に当てる、というのがエアライフル猟の基本スタイルで、それにはパワーはさほど必要ありません。

ちなみに口径とエアの消費量は比例しています。
ある同じ銃の5.5mmモデルが満充填から60発撃てるなら、6.35mmなら30発、7.62mmは15発と、発射可能数は1/2程度ずつ減ると思ってください。

空気もエアタンクを使うなら消費が大きくなりますし、ハンドポンプなら手間が倍倍で増えていくことになります。
つまり口径を上げると弾代も含めランニングコストが倍増していくということです。

そのため、最初はコストも安い5.5mm口径をたくさん撃って練習して欲しい、と言う願いもあります。

出力 と精度

銃のカタログなどに載っている出力/パワーとは、銃口での弾のエネルギーです。一般的にはft/lbs(フィートパーポンド:フットポンドと呼称します)で表ます。
これは、弾の重量と弾速から計算されます。

同じ口径であればハイパワーの方が良い、と思うかもしれませんが、それは間違いです。

なぜかというと、精密射撃を目的としたエアライフルの弾は、精度が出る最適な弾速というものがあり、パワーを上げる目的で弾速を上げた場合、精度を犠牲にしている可能性があるからです。

一般的にはJSBの標準ペレットで出力計算をしている場合が多く、その場合の精度が出る最適な出力は以下の通りです。

5.5mm:18grペレット   30ft/lbs
6.35mm:25.4grペレット 45ft/lbs
7.62mm:44grペレット  80ft/lbs

標準ペレットを使用した場合のこの出力値を逆算すると弾速が270m/s(890fps)程度となり、ペレットでは一番精度が出る弾速範囲になります。
ただし稀に、これらの標準ペレット以外を基準にセッティングを取っているエアライフルも存在します。
例えばエアスラッグ弾を標準とする銃ではこれらの数値とはかけ離れます。
標準出力からかけ離れたパワーを謳うものは、その理由をよく確認しましょう。

全長 と据銃安定性

エアライフルの国内許可全長は800mm以上です。短いものではこの数値ギリギリのモデルもあります。
短かければ当然取り回しも良く、流し猟では車からの出し入れが多いので、便利ではありますが、デメリット、というか留意したい点もあります。

まず、基本的に銃は全長が長いほど据銃姿勢が安定します。
小学生の頃、掃除の時間にほうきを縦にして柄の先端を掌に乗せ、バランスを取って遊んだことがあると思います。その際に、長いほうきほどバランスを取りやすく、短いものはコントロールが難しかったはずです。

これと同じで、銃も安定した姿勢を作るにはある程度の長さがあった方がコントロールが容易になります。もちろん腕が上達してくればどんな銃でも精度良く扱えますが、最初のうちはこうした銃の扱いやすさもポイントとして検討しておきましょう。

バレル長 と燃費

バレル長(銃身長)は、銃によってさまざまです。
なぜ色々あるのかというと、バレルが長い方がバレル内で空気が弾を押す時間が増えるので、パワーや燃費に貢献できるためです。
バレルは長い方がハイパワーもしくは低燃費だと覚えておきましょう。(どちらに振っているかは銃によります)

また余談ですが、許可証記載の銃身長は、都道府県により、銃身を覆うシュラウドごと記載する場合と、実際のバレル長を記載する場合があります。

ライフルタイプorブルパップタイプ

最近は第3世代のエアライフルが増えたことで、ブルパップタイプのモデルが増えてきました。ブルパップは銃身を銃床後端まで下げることで、全長が短くなり、取り回しが良いのが特徴です。
ただし、ネガティブな側面もないわけではなく、先の全長で説明したように短い銃は前後バランスが手元に来るため、据銃姿勢を安定させるのにコツが要ります。
また、据銃時に、ほおが直接銃の機関部に乗る構造になることが多く、こうした面でもコントロールがややシビアになりがちです。
なんでも慣れてしまえば問題になるほどではありませんが、単純な扱いやすさ、とっつき易さという意味では通常のライフルタイプをお薦めします。

重量

エアライフルの重量は軽いもので2kg強、重いものは4kgほどです。
これに光学機器を載せたりして+1.5kgくらい見れば実際の運用重量になります。
はっきりいって車の流し猟がメインであれば重量は全く気にしなくて問題ありません。スリングで抱えて数時間野山を歩き回る、ということでしたらある程度は軽い方が良いでしょう。またその場合は、銃に簡単にスリングが装着可能かも調べておきましょう。

フォールディングストック

折り畳みストックを備えたモデルはまだそんなに多くないのですが、これから増えてくると思うので記載しておきます。
折り畳みストックは、折り畳んだ際に発射機構が機能する場合は、その状態で銃の全長が800mm以上ある必要があります。
それではフォールディングできても意味がないように思うかもしれませんが、実際は取り回しの良さと、据銃の安定性が両立できるという良いとこ取りの構造です。

タンク容量

第1世代のPCPはチューブ型のタンクを搭載したモデルが多く、最新の第3世代モデルではカーボンボトルを搭載したモデルが大半です。
チューブ型では200~300cc程度、カーボンボトルでは〜500cc程度です。
(ちなみにエアライフルのタンク容量はガス法で500cc以下と定められています)
当然、容量が多ければ一度の充填あたりの発射可能数が増えます。

しかし例えば充填をハンドポンプで行おうと思うと、容量が大きくなるほど、充填労力も大きくなります。
第1世代のPCPは容量も小さく、最大充填圧力も低かったためハンドポンプでも十分実用可能でしたが、最近のモデルは500ccボトルで最大充填圧300barといったモデルもあります。これらをハンドポンプで運用するのは難しい、もしくはその利点がスポイルされるということは知っておきましょう。

音量

射撃音はエアライフルによって異なります。
見た目でシュラウドが大型のモデルは大抵静かです。
音は吐出された空気ですので、ハイパワーにすれば大きくなりますし、これは口径によっても異なります。
狩猟においては静かであるに越したことは無いのですが、狩猟環境によっては多少うるさくても問題ないケースもあるでしょう。
最新のエアライフルはどれもかなり音量が抑えられていますが、古いエアライフルには音量がなかなか元気なモデルも多くあります。

マガジン

最後に、見落とされがちなポイントをお伝えしておきます。それがマガジンの使いやすさです。
狩猟を始めるとわかるのですが、獲物を見つけてから撃つまでは時間との勝負です。この時にマガジンの装填がもたつくと大きなロスになります。
このマガジンの作りはメーカーにより考え方が異なります。
検討する銃がどんなマガジンなのかよく確認しましょう。

クローズドカセットマガジン
このタイプで有名なFXの一般的なマガジンはふた付きで、弾がこぼれ落ちたりゴミが混入することを防いでくれますが、マガジンに弾を装填する際に手間がかかります。

オープンカセットマガジン
AGNやAMAが採用するマガジンは弾の給弾も簡単で、銃への装着もワンタッチなので、とても使い勝手が良いです。反面、そのままポケットに入れると弾が抜けてしまったり、ゴミが混入したりしますので、ケースに入れておくなどの対策が必要です。

ロータスマガジン
レンコンマガジンと呼ばれる円盤に穴が空いたタイプのマガジンは、弾を込めるのは簡単ですが、銃に装着する際に位置合わせをしたり固定ピンを止めたりと、手間がかかります。このタイプのマガジンは本来マガジンの全周に穴が開いているからこそ使いやすい構造で、国内の5発規制だと位置合わせの手間が増えてしまいます。
ただし突き詰めた先では、このタイプのマガジンが一番弾に負荷がかからず精度が出る、という理論上の良さがあります(笑)


ひとまず銃本体について知っておいて欲しい情報はこんなところでしょうか。(また思い出したら追記します)

銃砲初心者には理解が難しい話もあるかもしれませんが、不明点、疑問などあればコメントでご質問ください。

以上の知識をもとに、次回は具体的に『おすすめのエアライフル』をご紹介します。
ぜひうちのエアライフルを紹介して欲しい!という国内輸入代理店様におかれましては、急ぎ十分な額の袖の下をわたしのスイス銀行の口座にお振り込みください。
忖度なしで、もし私が初心者に戻ったなら何を選ぶかを書いてみたいと思います。
お楽しみに。

最後に、タメになったよと感じて下さった方は、スキ!ボタンを押してページを閉じていただければ幸いです♪

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