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AMA クレイトXってどうなのよ、問題。

前回、チェコの新星AMAのカトランLについて記事を書きました。

今回はAMAのもう一つの主力モデル、KRAiT-X(クレイトエックス)についてです。

KRAiT-Xってどんなエアライフル?

こちらはチューブタンクモデル

結論を先に書くと、はっきり言って外部調整可能なエアスラッグガンとしてはトップレベルの仕上がりです。性能的には文句のつけどころがおりません。

クレイトはブルパップ式のエアライフルです。
このモデルもカトラン同様、バリエーションが多くあり、そのうち国内許可全長を満たすのは700mmバレルを採用したXのみです。
クレイトはチェコ銃の中で最も機能性が高いハイエンドモデルと言えるでしょう。そのポイントをご紹介します。

エアスラッグ専用セッティング

クレイトXは箱出しでエアスラッグ用のチューニングがされています。
最近のエアライフルによくあるペレット/エアスラッグのどっちつかずなセッティングではなく、最初からエアスラッグ専用です。
その内容は、
5.5mm:300~310m/s(26gr)
6.35mm:290~295m/s(34gr)
となっております。
ペレットに比べるとエアスラッグのセッティングはシビアであり、そのため、メーカーもなかなかエアスラッグ専用で販売しにくい、といった側面がありますが、このクレイトXは私が確認した限りでは箱出しでも十分な精度を持っています。

外部調整可能なレギュレーター/スプリング

クレイトXはチェコ銃にしては珍しくレギュレーターの外部調整が可能です。実はこのモデルの発売直後はレギュレーターの不具合があり、性能が疑問視された時期があったのですが、現在はHUMA製のレギュレーターに変更され性能もさらに向上し、現在世界中で人気が急上昇しています。
もちろん国内販売モデルはHUMAレギュレーターが搭載された最新モデルです。ハンマースプリングは次の写真に写っているネジで調整します。

調整可能なチーク/バットストック

下のネジが前後調整の固定ネジ。機関部から後ろに突き出したネジはハンマースプリング調整用

クレイトXはチークの上下調整ができるだけでなく、バットプレートが上下に加えて前後に調整可能なプレジションタイプです。
ブルパップスタイルで前後調整が可能なのは非常に珍しいといえるでしょう。前後調整は手で回せるスクリューで簡単に変更できます。

独自のハンマーシステム

クレイトXはカトラン同様のビポットレバー式のハンマーシステムを持っています。通常空気を吐出するには円筒状のウェイト(ハンマー)をスプリングで押し出してバルブを叩いています。しかしAMAはこの機構を用いず、下部に支点を持った長いアームでバルブを叩くことで空気を吐出しています。このハンマーは、ペレットを装填するプローブピンを動かすためのアームも兼ねている…というよりアームがハンマーを兼ねているという方が正しいでしょう。非常に合理的な構造を採用しています。

これにより一般的なハンマーシステムが前後にスペースを必要とするのに対し、このシステムは上下のスペースのみが必要となるため、機関部後端が短く、バットプレートの前後の自由長を稼いでいます。

キレの良い2ステージトリガー

トリガータッチは、それ自体が成績や猟果に影響するかというと微妙なところですが、撃つたびに感覚を得るものですから、私は重要視しています。
クレイトXのトリガーは調整可能な2ステージタイプです。
実はこの調整可能というのが曲者で、そう謳われていても実際に弄ってみると、ファーストの引きしろを短くすると重さが増してしまう、といった個別調整できないものが多くありますが、このクレイトXはシンプルながらなるほどと思わせる機構を用いており、ファーストの引きしろと重さが別に調整可能です。
ただし、セカンドについては引きしろは調整できますが、重さは調整できません。(そもそも軽いですが)
しかしながらこのセカンドの、つまりシアーのキレが優秀で、トリガーを引いていくとシアーが落ちる手前でにしっかり感触があり、パキッと落ちるブレークグラスタッチです。私は今まで触れたエアライフルのトリガータッチの中で最も好きです。超気持ち良いです。品の良いトリガーです。
AGNやカリバーガンのトリガーも優秀なのですが、正直ただ軽いだけ、といった印象もあり、このクレイトに比べるとややチープに感じてしまいます。

高剛性バレル

クレイトのバレル構造は基本的にカトランと同じで、14mm厚のCZバレルにデュアルポート加工を施したものです。ライフリングはポリゴナルタイプになります。
バレルの固定はポート付近の2本の芋ネジに加えて、トップレール下でさらに2本上からネジで固定しており、剛性も十分です。
シュラウドはカトラン同様機関部根元で固定し、マズル側はフリーになっています。

AMAはバレル工作精度がかなり高い印象です。エアスラッグが箱出しできちんと撃てる、と言うのはこの影響が大きいように思います。

その他

カトラン同様にコッキングレバーも軽いし、全体の工作精度も高いです。
アクセサリー用のサイドレールも気が利いてて良いですね。
グリップはARタイプですが純正グリップが非常に良くできているので交換する必要も特にないでしょう。(右利き用ですが)
カトランの項で書き忘れましたが二重装填防止機能が付いてますので、万一の時にも安心です。

クラス最軽量

この手のハイエンドPCPはどうしても重量が重くなってしまうものですが、クレイトXはなんと3.1kgとかなり軽いです(カーボンタンクモデル)
銃の厚みも薄いため、猟場での取り回しも良好でしょう。

デメリット、気になる点

これも無いっちゃ無いんですが、どうでしょうね。いや、別に忖度じゃなく、無いんですよ(笑)

うーん、工作精度が高く複雑な分、価格も少し高くなってしまところはデメリットですかねぇ。
発射音は、パワーがある分、AGNに比べると少し大きいですね。気になるほどではありませんが。

あ、マガジンはカトランと共通の薄いオープンカセットタイプなので、あまり長いペレット/スラッグは入りません。5.5mmで28gr、6.35mmで35gr程度が限界でしょうか。それ以上はシングルショットトレイを使う形になるでしょう。まああんまり重いスラッグ使っても特にメリットないですしね。


とまあ、こんなところでしょうか。

なお、このクレイトXもバリエーションがいくつか展開されています。
まずひとつはタンク。480ccカーボンタンクモデルと、アルミ製の500ccチューブモデルがあります。カーボンタンクモデルの方が軽量ですが、チューブモデルの方が重心が前に移動し据銃バランスは良い印象です。

またクレイトXにもウッド・ラミネートストックモデルがあります。

これだけで雰囲気がだいぶ変わりますね。ストック前方はUITレールになってるのでピカティニーレールを装着可能です。厚みがあるのでポジション射撃などに向いているでしょう。

以上、主だったところを説明しましたが、こちらもGuns&Shooting誌にスペックなど詳しい情報を寄稿していますのでぜひご覧ください。

何も弄らずエアスラッグを撃ちたいならバルカン3が間違い無いですが、自分でもちょっと沼ってみたい、と言う場合にはこちらのクレイトXが抜群におすすめです。

というわけで本日はここまで。

ではでは。

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