エアスラッグ博学審問(13)エアライフルの精度とは② 4.5mmエアスラッグがすごいぞ!
皆さんこんばんは。
私が最近ハマっているエアライフルといえばチェコのAirMaks arms(AMA)。
つい先日国内販売用のモデルがf-rangeに入荷しました。
メイン機種となるのはブルパップスタイルのエアスラッグガン、KRAiT-Xと、フォールディングストックのタクティカルライフル、KATRAN-Lです。
どちらのエアライフルも非常に良い銃で、工作精度も高く、独自の設計思想、精度も高く、本当に非の付け所がありません。
唯一欠点を挙げるとするならば、横置きの写真写りがあまり良くないことです(笑)
どちらも直線基調のデザインで、のっぺりして見えてしまうんですね。
FXのように機関部を斜めに切削したり、ストックで曲線を作ったりすると、銃は写真映えするのですが、そこはチェコのメーカー、機能美や質実剛健さを優先してるんでしょうね。
しかしながら実際手に取ると、どちらもめちゃくちゃカッコいいので、皆さんぜひf-rangeに実物を見に来てもらえればと思います。(今春よりショールームがOPENしています)
さて前置きがとても長くなってしまいましたが、このAMAのエアライフルは今年初めにすでに試験輸入を済ませており、それ以来、私がテストを続けております。
KRAiT-Xについてはまた書くとして、今回のネタはKATRAN-L、しかも狩猟用としては日本では一般的ではない4.5mm口径です。
4.5mmのPCPエアライフルとは
4.5mmのエアライフルのことをご存知ない方も多いと思いますので簡単に説明しますと、いわゆる5.5mのJSB18grペレットのような標準弾は7~8gr程度、少し重めの弾で10gr程度が一般的です。
例えば10grの弾を一般的なペレットの弾速886fpsで飛ばすとこんな感じの弾道出力です。
マズルで19ft/lbs程度、50mで11ft/lbsほどです。
一番右の列は真横からの風が5m/秒で吹いている場合のウインドドリフトです。
個人的にはヘッドショットだとして命中時の残存エネルギーは10ft/lbsくらいは必要だと考えておりますので、このデータで言うと50mが限界ラインでしょう。
狩猟とは個人の楽しみ、満足度を味わうものであり、誰かと競うものではないので、これはこれで遊びがいがあると思いますが、誰しも、どこでもおすすめ出来るかというと少し厳しいかもしれません。
さて、ここまでは『今までの4.5mmPCP』の話です。
現在、私は鳥猟に使うエアスラッグとして、5.5mm口径25gr程度を推奨しています。
これでさえ、一般的な25grペレットを使用する6.35mm以上のパワーがあり、扱いには十分注意が必要です。
個人的にはヘッドショットメインの鳥猟であれば(ごくロングレンジ以外は)5.5mmペレットの出力で十分だと考えており、エアスラッグにした時点でオーバーパワーは常々感じていました。VULCAN3の標準弾にしている25.5grも弾としての安定性や、ユーザーの用途の汎用性を取ってこの重さにしていますが、これで鳩以下の獲物は積極的に狙う気になれません。
というわけで、
それならば5.5mmペレットより軽い重量のエアスラッグを使ってやろうじゃないか、ということで現在4.5mmのカトランでテストをしているわけです。
5.5mmペレットと同じ程度の残存エネルギーで、ロングレンジの精度はそれ以上、という目標のために計算して選んだのが、
13grスラッグです。
早速出力を見てみましょう。
比較として5.5mmで18grペレットを飛ばした場合のデータを置きました。
13grスラッグは少し低めの900fpsの弾速と高めの950fpsの2つの弾速を検討しました。
4.5mmエアスラッグの弾道出力
残存エネルギー(赤/橙/桃)
銃口エネルギーは以下の通り
①5.5mm18grペレット:32ft/lbs
②4.5mm13grスラッグ(900fps):23ft/lbs
③4.5mm13grスラッグ(950fps):26ft/lbs
さすがに1.4倍近い重量を持つ5.5mmが銃口エネルギーでは勝ります。しかし50mではほぼ同等に、100mでは4.5mmの方が高いエネルギーを残すという結果になりました。
止め刺しをするわけではないので銃口エネルギーは低い方がむしろ安全と言えるでしょう。
直射性(黄緑/緑)
これは勘違いの多い話なのですが、エアスラッグだからといって必ずしも弾道の直射性が高いとは限りません。弾道の放物線に最も影響を及ぼすのは弾速で、エアスラッグはペレットより高めの弾速を好む傾向があるため、こう捉えられているに過ぎません。弾速が遅ければBC値の高いエアスラッグとはいえドロップは大きくなります。
直射性が高い場合のメリットのひとつは、1次〜2次ゼロイン間(30m~程度)のリフトの低さです。リフトが少なければ咄嗟の射撃でも読みはずしを減らすことができます。
もうひとつはロングレンジのドロップです。ドロップが大きければ距離の読み違いで獲物を外すリスクが上がります。
この100mでのドロップを見ると、5.5mmペレットの43cmに対し、弾速の遅い900fpsの4.5mmエアスラッグでも34cm、これはエアスラッグが圧倒的に有利と言えるでしょう。
風の影響(水色/青)
エアスラッグのメリットは何かと聞かれて、一言で言うならロングレンジでの性能、と答えますが、その中身はこの風損の少なさが大きな割合を占めています。
上記データは真横の風5m/sで計算しています。
今回のデータで言えば
ペレットとエアスラッグでは風の影響がおよそ倍違います。
ペレットを7.62mmの44grで計算しても、100m
のドリフトは34cmほどあります。
この風損の少なさこそがエアスラッグの最大のメリットです。
ちなみに風の影響は886fps付近が一番小さくそれ以上遅くても、逆に音速に近づけてもドリフトは悪化します。
このデータでも900fpsより950fpsの方が僅かに影響を強く受けています。
さてそんなわけで、この計算結果をもって、現在はどういうセッティングにしようかと悩んでいるわけです。
弾速域は900~950fpsほどで考えております。
そうそう、精度がみなさん気になるところだと思いますが、
既に900fpsのセッティングは既に出ており、グルーピングはこんな感じです。
十分過ぎます(笑)
4.5mmですので、反動もほぼ皆無で、カトランの軽いトリガーの影響もあり、24倍スコープで覗きながらサクサク撃っても大体このようなグルーピングになります。
一応このセッティングはメモし、現在は他の弾速も確認しています。
950fpsくらいまで調整しながら撃った的紙がこちら。
どれも悪くありません。(POIがそれぞれズレているのは弾速を変えているためです。×をつけているのは機械的問題を抱えた状態で気付かず撃ってしまったもの)
エアスラッグのセッティングと聞くと、最適な弾速を探す、といったイメージを持つ方は多いと思うのですが、
実際は弾自体が要求する弾速というのは結構幅が広く、素性がちゃんとした銃できちんとセッティングを取れば、900fps〜1000fps程度の範囲のうち任意の弾速で50m15mmくらいのグルーピングが取れます。
じゃあ何で最適弾速が…と言われるのかというと、弾速(セッティング)によりエアの吐出に伴うバレルハーモニクス(銃身の微振動)が変化し、これが僅かにグルーピングに悪影響を与える場合があるからです。
また銃の構造的にその弾速(エア吐出量)が安定しない、というケースもあるでしょう。
しかし今回KATRAN-L4.5mmを撃ち込んで気付いたのは、4.5mmはそもそもエアの吐出量が非常に小さいためバレルハーモニクスは非常に小さく、どの弾速でも、慎重に撃たずとも、良好なグルーピングが生成可能です。
そのため、設定する弾速に意味を見出さないと、いまいち判断し切れません(笑)
これは完全に好みですが、私はどの銃でもエアスラッグでセッティングを取る際は950fps程度を目安にしています。それは直射性が高く、かつ風損も大きくなりすぎない速度であるためです。
今回のKATRANも950fpsでいこうと思っていたのですが、900fpsでもこの精度で、その分レギュレーター圧も低いので、これでもいいんじゃないかと悩んでいるわけです。
ちなみにどちらにせよ、4.5mmの燃費はめちゃくちゃ良いです。280ccチューブタンクでも、5.5mmで500ccボトルを使っている感覚で撃てます。
さらにここはとても大事なことですが、
4.5mmエアスラッグは弾代が5.5mmペレットと変わりません。
4.5mm13grのZANスラッグは400発入りで4,770円です。
まとめ
このように4.5mmエアスラッグチューンは、
・銃口エネルギーは優しく
・残存エネルギーは5.5mmペレット並み
・風損はペレットの半分で
・燃費がとても良く
・弾代は5.5mmペレット並み
という良いことづくめのエアライフルと言えるのではないでしょうか。
これは飛び付かずにはいられないぜ!!
というチャレンジング魂のあるシューターさんがいらっしゃいましたら…ひとまずf-rangeまでご相談くださいませ(笑)カトランといえどそのままではこの重さのエアスラッグは撃てませんので😅
本日はこれまで。
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