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野外で使うクッカー選びとスタッキング
皆さんこんにちは。
前回、野外で使える携帯火器としてシングルバーナーを紹介しました。
今回は、それらに合わせて使うクッカーについてです。
クッカーとは
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クッカーとは、アウトドア用の鍋やフライパン、といった調理器具を指します。また小型のものはそのまま、料理を食べたり、飲んだりするための器としても使い、これらはカップと呼びますが、大きな枠では全てクッカーです。
このクッカー選びで一番重要なのは、まず自分がクッカーを使ってどんな料理を作るのか、です。これにより形状や大きさが決まってきます。
例えばお湯を沸かして一人でコーヒーを飲む、といった用途に、大きなクッカーは要りません。500cc以下のクッカーで十分です。逆にパスタを茹でる、とか、何か手を加えた料理を作る、といった場合は余裕を持ったサイズのクッカーの方が使い勝手が良いでしょう。
クッカーの形
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クッカーはザックへの収まりの良さもあり、丸型が主流です。鍋型のクッカーを基本に、内側に同形状のクッカーが収まるもの、また薄いフライパン型のクッカーを重ねるものなどがあり、メーカーではこれらをスタッキングするセットとして売られていたりします。
一方、私が現在メインで使用しているのは四角いクッカー(ユニフレーム山クッカー角型)です。その長所は、なんといってもインスタントの袋麺がそのまま入ることです。便利すぎて家庭でも使ってます。
デメリットは、そのまま口をつけて汁物を啜るのが難しいところと、スポンジで洗いにくい上に水がめちゃくちゃ飛んできます(使ったことがある人にはわかるw)
クッカーの素材
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クッカーの素材には主にステンレス、アルミ、チタンといった金属が使われます。アルミやチタンは軽く、ステンレスは重い、といった特徴があります。
よくアルミよりチタンの方が軽いと思われる方がいますが、同体積であればアルミの方が軽量です。しかしながらチタンはアルミより強度が高いため、チタン製品は肉薄で作られることが多く、結果として軽量になります。
さて、このクッカーの素材は、軽さや強度の他にも気をつけたい素材選びのポイントがあります。それが熱伝導率です。
この3素材であれば、熱伝導率が高い順に、アルミ、ステンレス、チタン、となります。つまり調理において熱効率を考えた場合、アルミが一番有利になります。(誤差レベルですけどw)
しかしカップとして使うクッカーは、調理用クッカーと同じように考えると危険です。
というのも、熱伝導率が高いほど、容器全体に内容物の熱が伝わってしまうためです。アルミクッカーにコーヒーや熱い料理を入れてみたら、容器のフチが熱くなりすぎて唇を付けられない、なんてことがよくあります。
そのため、私は口を直接つけるクッカーにはチタン素材を選ぶことがほとんどです。アルミに比べると明らかに口をつけやすいです。また、火にかける可能性が無いならば樹脂製のカップを組み合わせるというのもアリでしょう。
クッカーとスタッキング
スタッキングとは、クッカーなどを重ねて収納することを言います。
メーカーではスタッキングされたセットを売っていたりもしますが、自分の使いやすいクッカーなどを組み合わせて綺麗にスタッキングできた時の喜びはひとしおです。
スタッキング例は前回も少し触れましたが、私の場合は大体下記2パターンです。
車への積載、オートキャンプ、流し猟
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・ユニフレーム 山クッカー角型セット
・ベルモント チタンシェラカップ深型フォールドハンドル 250/350
+ SOTO ST-310バーナー
・CB缶
・カトラリー各種
この組み合わせは、何があっても良いように車に積むセットです。キャンプや自然ロケに呼ばれたときは何も考えずこれを持ち出します。
基本は山クッカーのセットで、内側にベルモントの深型シェラを2つスタッキングしています。山クッカーで袋麺を茹でたり、ご飯を炊いて、レトルトカレーを温めてなんてこともできますし、追加した深型シェラでコーヒーも淹れられます。車への積載は重量はほぼ無視できますので、手持ちのスチールケースに収まるセットをいつも積んでいます。
バーナーはCB缶を使うSOTO のST-310で、CB缶を使うバーナーの中では抜群の安定性で、もしガスが切れてもコンビニなどで調達可能なので、とりあえず積んでおくのには最適です。
ただしここでちょっと気をつけておきたいのは、パワーの小さいCB缶と言えどガス容器です。車に積む時は、事故などに遭った時に爆発などのリスクを減らすため、頑丈な容器に入れたり、収納場所をなるべく車体の中心に持ってくるなど配慮しましょう。
登山、野営、四つ足猟
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・ユニフレーム 山クッカー角型(小)/蓋
・ベルモント チタンシェラカップ深型フォールドハンドル 250/350
・風防五徳
+トランギア アルコールストーブ
これは、登山、徒歩旅、野営の時の軽量スタッキングです。
バックパックに詰める前提なのでコンパクトにしており、そうした遊びは食事のことを事前に計画、計算していますので、クッカーは用途に応じた収まりの良い最小単位だけ持ち運べば十分です。
例えば、コーヒーを飲むだけの場合のクッカーはベルモントの250/350シェラカップの2つで済みます。350でお湯を沸かして、250で飲む、といった感じです。
お昼に袋麺を食べる場合は角クッカーの小を、カップラーメンを食べる場合は先のベルモントのシェラに一つ大きいサイズ=480に変えてスタッキングしたりもします。※ちなみにカップラーメンの湯量は大体300 mlくらい、袋麺は500mlくらいです。
バーナーはトランギアのアルストで、蓋付なので必要分の燃料を入れて持ち運べます(絶対漏れないわけではないので、推奨はしません)
※余談:コーヒードリップについて
キャンプやアウトドアというとコーヒを飲みたいという方が多いと思うのでちょっと書いておきます。というか↑の撮影で写し忘れました(笑)
私が使っているアウトドア用のコーヒードリッパーはユニフレームのコーヒーバネットで、恐らく15年以上、20年近く使っています。これはワイヤー式で軽量、展開もワンタッチ、そして収納ケースも気が効いてます。
実は昔取った杵柄なんですが、私は国内大手のコーヒー焙煎企業で勤めてた時代があり、その頃に色々試した結果(そもそもそんなにキャンプ用ドリッパーなんて無かった)これが一番と落ち着いた商品です。
といっても、実際のキャンプや自然遊びでは、かなりの確率でドリッパーではなくドリップバッグ(一杯ごとの使い捨てドリッパー+コーヒー粉)を使いますけどね(笑)
別にハンドリップとたいした違いがあるわけじゃないですし。
最近はドリップバッグだけも売っており(ダイソーなどにもある)、コーヒーは自分で挽きたい、用意したい、という方はこれもおすすめです。
とはいえ、まあこんなものは自分でどう楽しむかなので、好きなのを選べば良いと思います。嵩張るけどかっこいいドリッパーやミルを使ったって誰も文句を言いやしません。
ちなみに、今アウトドアドリッパーを選ぶならどれにするかなーとざっとAmazonで調べてみましたが、強いて言うなら円錐ハリオタイプの折り畳みシリコンですかねぇ。シリコンはコーヒーの温度を下げにくいし、ハリオ式の抽出穴は誰でも失敗しにくい形状です。
折り畳み時でもちょっと厚みがあるのが気になりますけど、その辺はクッカーとのスタッキングで圧縮可能でしょう。ま
というわけで、つらつら書いた割には、私はこの形が決まってからというもの、もう何年もスタッキングメンバーは更新されていません。ネタとしても面白みがなくてすみません(笑)
もちろん私はアウトドアライターやワークショップなどの仕事をしていますから、他にもたくさんクッカーは持っています(いました)し、散々使ってはきたのですが…実際、映えやら何やらを気にしなければ自分用ではこれで十分なんですよね。
ちなみに直接口をつけるカップとしては、シェラカップが有名ですが、あれはスタッキングには不向きですし、どうにも使い勝手が良くないので使用してません。たくさん持ってますけど(笑)今や撮影の時などに出すくらいです・・・
追加スタッキングに便利なクッカー
今回のようなベースクッカーに追加でスタッキングする小型クッカー(カップ)でオススメなのは、ベルモント、もしくはエバニューのチタンカップです。ベルモントのカップはロッキーカップ形状を基本としており、側面に僅かに傾斜がついています。エバニューは真っ直ぐ筒型で、ハンドルにゴムが巻いてあるので火傷しづらい特徴があります。
この辺は好みですが、どちらも細かくサイズ展開してますので、メインクッカーを決めてから、中に入るこれらのカップを選んでも良いでしょう。
ベルモントの深型シェラは開口部と底で厚みが違うので注意しましょう。メーカーではスタッキングを想定して、こんなに丁寧にサイズを公表しています。さすがベルモント!
というわけで、クッカーとスタッキングについて説明しましたが、
これはあくまで私の例です。正解なんてないですし、最終的に自分で良し悪しを決めるしかありません。
あとはこれらを上手く収める袋を用意したり、狩猟ならカチャカチャ鳴らないようにスタッキングに工夫も必要でしょう。
最後に、たぶん初心者の方に役立つアドバイスをお伝えして、本稿を締めようと思います。
最初のバーナーやクッカー選びは、まず自分が使い自分が楽しむことだけ考えて選びましょう。
ギアを持っていない友達の分も料理を、とかコーヒーを、といった考え出すとキリがないですし、多分そうした行為はいつか疲れちゃいます。
ちゃんと自然を楽しめる仲間なら、いずれ各々用意するでしょう。だからまずは自分のことだけを考えて選んでください。
自然遊びとはそういうもんです。
なんかめちゃくちゃ久しぶりにアウトドアギアの話を書いた気がします(笑)今回はここまで。
一応、私はビーパルさんやら大手アウトドアギアメーカーさんやらアウトドア系の仕事もたくさんしてきてるので、こうしたキャンプギアでお悩みがあったらお気軽にコメントくださいね。
最後にスキ!ボタンを押して応援をよろしくお願いいたします。
ではでは。