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エアライフル猟の狙点はどこが最適か?

(2024.11.11Rewrite)

エアライフルハンターの皆さんは、鳥を狙う時、どこを狙って撃っていますか?

私は数年前から基本的にヘッドショット※のみに狙点を絞りました。
※ネックも含む

何を大それたことを、と思う方もいるかもしれませんが、これは綺麗事を言いたいわけでもカッコつけたいわけでもなく、単純にこの方が猟果が良かったからです。
これで1シーズンで30羽程度のキジを仕留めています。

なぜか、というのを私がメインで遊猟している『キジ猟』5.5mmのPCPライフルの例で解説します。

キジの頭部は縦3cmほど

いきなりグロテスクな画像ですが…
鳥の頭部はボディに比べると羽の体積が小さくほぼ頭骨で肉もついてません。標的サイズは縦3cmほど。羽毛がついたシルエットで4cm弱です。前後長は5cmほどでしょうか。

ヘッドショットは、当たればその衝撃で脳震盪を起こし行動不能になる。暴れることは多いが少なくとも正常な逃走は困難になります。

ただし稀に致命傷ではない場合もあります(弾が左目→右目を貫通し失神、回収し帰宅後に元気に復活したことがある)が、猟場でゆっくり回収するくらいのダメージはあるでしょう。

一方、ボディショットはどうでしょう。シルエット自体は大きいですが、羽毛の中の体の構造は見た目で判断するにはかなり困難です。
そして、果たしてその中のバイタル(致命傷)ゾーンはどれだけの面積でしょうか。

いつかは死ぬ、という意味では厳密にはバイタルゾーンは広いのかもしれません。ただし、ハンターが回収できるほどの即倒率の高いバイタルショットはなかなか出せません。キジは羽や胸を損傷すれば走って逃げ、脚を損傷すれば飛んで逃げてしまいます。なおかつ、出現場所は身を隠すボサ周りが多い…そのため逃げられずにボディで止めるとなると、

1)正面から鎖骨中央付近に当て心臓を抜く
2)横から脇の下あたりに当て心臓を抜く
3)角度によらず背骨に当て神経を麻痺させる

といった感じになるでしょう。

1)と2)については3cmほど、
3)については太さ1cm長さ15cmほどはありますが、背骨の下の方に当てて半身不随で飛ばれた経験もあるので有効範囲は決して広くありません。

にも関わらず

正確な狙点を目視で判断しにくいのがボディショット。着弾点がズレても獲物に当たる確率は高いが、バイタルではないので半矢になり逃げられる確率も上がる。

にも関わらず半矢のキジはいずれ死ぬか、生存率は極端に下がるでしょう。
つまり半矢で逃すほど猟場のキジは減っていくのです。

ではヘッドショットはどうでしょうか。着弾はほぼゼロから100かなので、当たらなければ二の矢が掛けられる確率がそれなりにあります。(ただし静かな銃に限る、笑)そして当たればクリーンキル。

ヘッドショットは、もし当たらず逃げられても、半矢にはならず警戒心が高まるだけで個体数が減るわけではない。


また、5.5mmはパワーが無いから6.35mmをといった選択は、上記を考えると私はあまりメリットを感じていません。ヘッド狙いであれば当然差は出ないでしょうし、ボディショットならばダメージは多少増えるものの肉の損傷の確率も上げてしまうでしょう。ただ6.35がダメというわけではなく、精度が高いならどっちでも良いとも思っています。私は5.5mmで満足していますが。

※ちなみにもっと詳しく言うとヘッドショットとネックショット、どちらが止まるかといった議論もあります。
ネック派の人は首に当てた方が暴れない、と仰います。
確かに私もそうした経験はあるのですが、ネックの場合、弾は当たったものの首が折れたまま飛んで逃げた、というケースが過去何回かあり、現在は両方狙える場合は頭を狙ってます。

頭部でも目の後ろあたりに当てると脳を直接破壊できるので、あまり暴れない気がしてます。


ここで今期(R3年)最後の出猟のお話しです。
いつもの猟場を回り、午前中でサクッと2羽仕留めたのですが…

1羽目のキジは50m強でのヘッドショットだったのですが、解体してみると…なんと

私ではない損傷が

この通り、右足に生々しい弾痕がありました。
狙う時からわずかに右足を引き摺っていたのですが、それでも一所懸命に落ち穂をついばんでました。

ふくらはぎから脛に抜けている

恐らく誰かが撃って、足だけ貫通し逃げ延びたようです。ケンの数本が切れていました。
皮膚は毛の塊が膿になりかけていましたが、写真のように身は治癒しておらず、鬱血も治ってないので恐らく半矢になって数日だと思われます。
この手の傷は3週間もあれば傷は塞がりますし、なによりその頃には腿の筋肉が細く衰えているはずです。

これを見て正直少し胸が痛みました。
過去には私もこういった半矢をたくさんしてきましたし、今後も少なからず、する可能性があるからです。

ちなみにその日の2羽目がこちら

肩の上、右から左に背骨を抜いて止まった

はい、この通りボディショットです(笑)
1羽目のすぐ後にまた落穂を啄むキジを見つけて、銃を構えた途端、急に右に走り出したところを撃った結果です。偶然背骨入り止めることはできましたが、1羽目のキジと違い、これは『当てた』のではなく『当たった』だけです。

居鳥を正確に狙う、エアライフル猟はこれに尽きますが、相手は自然です。必ずしもそうしたシュチュエーションで出会うとは限りません。

その時に、見逃すのか、撃つのか、これは人それぞれでしょう。
私はこの時は撃ちましたが、それが正解だったのかということは、しばらく考えてしまいました。

そしてこの2羽が猟期最後のキジであることが深く印象に残ったのでした。

私は獲ったキジの皮を、コンプリートスキン(毛鉤釣りの材料)に加工し干しているので、これから着弾点の集計を取りますが、恐らくBSで獲ってしまったのは2〜3羽、全体の5〜10%くらいでしょうか。
猟期中で確実に当てたものの半矢で逃した数は…5羽程度、うち3羽は飛んで逃げたものの藪に落ちロスト…という結果でした。


とここまで書きましたが、狙点は狩猟対象によるところも大きいです。小鳥系のボディならどこでもほぼ止まるということもあるでしょうし、小鳥のヘッドショットの難易度たるや…

また水辺のカモなどは、水面を叩いて飛ばれ、二の矢が撃てないケースがほとんどです。しかも胸が隠れてることが多いので、肩口の半矢が多くなりますね。そもそも水面は距離が正確に獲れないことも多く、どうしてもボディが増えてしまいます。

そんな訳で私はヘッド狙いを基本に猟をしていますが、撃ち方を切り替えてからはむしろ猟果が上がっているくらいです。これは自身の習熟や道具の変更、猟場の開拓などもあるので、一概に狙点のおかげだとは言えませんが…

これからエアライフル猟を始める方へ

私も狩猟を始めたての頃は猟欲も高く、射撃欲も強かったので、とりあえず当てようとボディで引き金を引いてました。しかし…

どこに当てるかちゃんと決めてないボディショットは『どこに当たっても言い訳ができる』撃ち方であり、腕の上達に繋がらない、と気付いたのは割と最近です。

エアライフル猟を始めたばかりの方は、実際に発砲するだけでドキドキすると思います。
あーだーこーだ考えている暇はないと思いますし、私もそうでした。

しかしながら、いつかそのドキドキが落ち着いて来た頃に、こうした狩猟の方法も試してもらえたら嬉しいです。
きっと成長の近道になると思います。

弾道計算アプリとミルドットスコープがあれば、本当にその通り当たります。それらは別の記事で紹介してます。

かくいう私も、いつまでも『下手に獲物に手を掛けてしてしまった』その後ろめたさを忘れずに、狩猟を続けていきたいものです。

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ではでは。

※以上は、獲って食べる、を前提とした趣味の狩猟の話です。個体数を減らすことが目的の『駆除』には必ずしも当てはまりません。


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