エアスラッグ博学審問⑩エアライフルの【口径と弾道、パワー】とは・・・
(2024.11.11リライト)
※初めてのエアライフル選びでお悩みの方はこちらもご参考ください。
エアライフルの弾道とは(ペレット)
さてこの記事では、世の中に多く出回っている口径と弾道の関係性を正したいと考えております。
まず、上記表は270m/s (886fps)の初速に揃えた場合の各口径、標準ペレットによる弾道変化です。Absolute dropはバレル直線上から目標距離(この場合50m)でどれだけドロップしているかと言う数値です。
各口径の50m Absolute dropは
4.5mm 8.5gr:19.3cm
5.5mm 18gr:19.5cm
6.35mm 25gr:19.3cm
7.62mm 45gr:19.1cm
となっており、50mでのドロップはどれも20cm弱で、
実用範囲での各口径の弾道差はほぼありません。
大口径の弾道は直線的/ドロップが大きくて…といった話をたまに見かけますが、実際は同じ弾速であれば口径差で語るほどの弾道変化はないと言えるでしょう。そうした間違いを書く記事は信じないでください。
4.5mmと7.62mmの重量に5倍以上の開きがあっても弾道は変わらないのです。
150mでの口径とドロップが比例していないのは、BC値と重量の関係性が比例していないためですが、これを持って弾道差があると説明するのは的確では無いでしょう。
一方、パワー=残存エネルギーは大きく変わり、弾の重量が増すごとに飛翔中の残存エネルギーが大きくなっているのがわかります。
ではエアライフルのパワーとは
このエアライフルのパワーという表現ですが、カタログに書いてある○○ft/lbsという数字を思い浮かべるでしょう。
まずこの数字は、弾がバレルを離れた瞬間のエネルギー値です。
これは単純に弾の重量×弾速
(弾頭重量(gr) x 弾速の二乗(fps) ÷ 450400 = エナジー(ft-lbs))
で決まります。
弾速はペレットであれば270mps付近に調整しているものが一般的です。
弾の重さは5.5mmであればJSBディアボロ18gr、6.35mmであればJSBキング25grを標準ペレットとして計算されている場合がほとんどです。
これにより5.5mm口径では30ft/lbs 、6.35mmで45ft/lbs程度が標準的なPCPのパワーになります。
この表は各口径の一般的なペレットと一般的な弾速とその前後、パワーを一覧にしたものです。
先に述べた通り、パワーは重量×弾速です。
例えば5.5mmでも18grではなく、25grのJSBモンスターを同じ弾速で撃ち出せば、6.35mmのJSBイグザクトキング25grと同じパワー、弾道になります。
端的に言えば、そもそもエアライフルの出力や弾道において【口径】という概念はないのです。実際、弾道アプリの設定画面にも口径の選択肢はありません。(弾の外径入力欄はあります、欄は)
じゃあ5.5mmペレットで7.62mmペレット相当のパワーが出せるかというと、それは難しいでしょう。
なぜかというとパワーそのものは表を見れば分かる通り重量に大きく依存しており、ペレット弾は形状が複雑なため重くしたり軽くするのに限界があるためです。
それなら、大口径の方がパワーがあるってことでしょ?
と言うのは、ペレットであればあながち間違いではないのですが、
エアスラッグの場合は、少々話が変わります。
エアスラッグの口径とパワー
エアスラッグの場合はというと、まずBC値がペレットの倍以上あり、ペレットに比べて僅かに高弾速のセッティングで精度が出ることから、直射性が上がります。これはエアスラッグの特性というより高弾速の特性です。
またペレットと違い形状はシンプルで、重量の自由度がとても高くなります。軽くするには安定性を得る胴長に限界がありますが、重くしたければ胴長を伸ばせば良いだけです。
そのため、例えばZANスラッグの5.5mmでは20gr~40grまでラインナップがあります。これはペレットでは実現できない重量幅です。
一方6.35mmエアスラッグは25gr~43grまでとなります。
つまり、どちらも同じ重量が選択できる以上、口径で出力特性を語ることはできません。
上のグラフはZANスラッグの製品ラインナップを色で表したものですが、見ての通り、5.5mmと6.35mmは重量幅が大きく被っているのがわかると思います。逆に軽いスラッグは4.5mmでないと実現できず、重いスラッグは7.62mmの独壇場となります。以下簡単な各口径の特徴です。
・4.5mm:5.5mmにはない10gr前後の軽量弾が使えます。ペレットに比べてBC値が高いため、13gr程度でも、5.5mm18grペレット相当の残存エネルギーを発揮します。
・5.5mm:6.35mmより軽い弾が使え、需要も多いため弾の選択肢が豊富です。
・6.35mm:軽量弾は25gr前後からで、最大重量は40gr程度と5.5mmとそう変わりはありません(市場の選択肢もそうありません)
・7.62mm:最低45gr程度からとなり、弾も高価になります。ヘビースラッグとなるとReg圧も200bar程度となるようで、その場合はコンプレッサーを使わないと、弾代+空気(ボンベ充填)代で、1発50円程度とかなりコスパが悪くなります。
弾自体も、口径が小さいほど安価になる傾向があり、
大口径で軽い弾を使うより、小口径で重い弾を使う方がコストも抑えられます。
そして口径差による弾道の違いはないと初めに書きましたが、同じ重さなら口径が小さい方がごく僅かにBC値が高くなります。さらに各口径の最軽量弾は精度が出るギリギリの胴長であるため、その重量を使いたいなら口径を落としたほうが精度に繋がります。
つまり無理に大きい口径を選ぶ必要はない、というのが私見です。
エアスラッグガンをご検討されている方は、射撃場での的当てでしたら大口径ハイパワーでも楽しめると思いますが(コストはかかりますが)、狩猟 に使う場合は5.5mm口径を選ぶのがおすすめです。
ペレットガンで言われているような、止め刺しもするから6.35mm、と言うような選択肢はエアスラッグの場合は当てはまりません。
さらに言えば5.5mmのエアスラッグを、6.35mmのペレットと同じマズルエネルギーで撃ち出したとしても、残存エネルギーはエアスラッグの方がずっと残ります。
パワーを見る時に一番大事なのはマズルエネルギーではなく対象距離での残存エネルギーです。
エアスラッグの利点は弾道よりも、高いBC値によるロングレンジでの精度(風損の減少)と残存エネルギーです!!
BC値が高いほど残存エネルギーは高く、風の影響も少なくなります(←ここ大事)
逆に100mまでの精度、パワーを求めるなら大口径ペレットでも大差ない、というより扱いやすいとも思います。ただし、安全性、という観点では慎重に考える必要があります。
というのも、上のグラフで言うと、5.5mm25.5grのエアスラッグと7.62mm44grのペレットを比べると150mでの残存エネルギーはほぼ同一ですが、銃口エネルギーは7.62mmの方が遥かに大きくなります。
狩猟に出た時に射撃距離を決めるのは獲物次第ですから、近距離のオーバーパワーは、私だったら避けたいと考えます。
…なんだか乱文になってしまったので今回はこの辺で。
ではでは。
バルカン3に興味を持った方は、ぜひこちらもご覧ください♪
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