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【考察】FX DRS(とTJO SP-M30B)ってどうなのよ、問題。

先日記事を書いたように↑↑↑日本ではこれから最新エアライフル、FX パンテーラ/ダイナミックシリーズがデリバリーとなりますが、
海外では現在FX Airgunsの最新エアライフル、DRSが話題を呼んでいます。

その話題の大きな理由はこちら。

DRS Pro 600、見た目はまるで装薬銃、銃検の時説明大変そう(笑)

高圧空気をシュラウドに内蔵したシュラウドエアチューブ(FX名:オーバーザバレルエアチューブ)を採用したためです。

FXはその前のパンテーラモジュールで、シュラウドの根本一部を二次気室(プレナム)として利用する構造を採用しましたが、今回はシュラウド全体をエアチューブとして利用しています。

さらに、プレナムを銃床側に装薬ライフルのマガジンボックスを模したブロックで追加しています。

シュラウドエアチューブのメリットデメリット

DRS Classic 600

さてシュラウドエアチューブ採用のエアライフルについては以前もパンテーラの記事で触れましたが、アルタロスM24やアルテミス(スノーピーク)M30Bが以前より採用している構造で、そのメリットデメリットを考えてみましょう。

デメリット

タンク容量

先にデメリットについて。この構造の欠点は、一つはタンク容量です。シュラウド構造のエアチューブですから、今までの別体ボトルのような容量は稼げません。またバレル長にも依存してしまいます。DRSは500mmバレルモデルで208cc、600mmバレルで260cc、700mmバレルで307ccとなっております。

分解整備の複雑化

2つめは、バレルを外すには空気を抜く必要があることです。
恐らくですが、このDRSもパンテーラと同様の保持構造と考えると、エアチューブの内壁をバレルが兼ねており、その両端の気密はOリングで維持する構造となっているはずです。つまりバレルを外すとエアチューブが構造を保持できないわけです。

射撃音

3つめは音量です。今までのシュラウドはマズルでストリップした空気を逃すことで、音程を調節し精度を上げる狙いがありました。
しかしながらDRSではこれは全てエアチューブとして機能するため、射撃音は大きめのようです。海外では基本的にモデレーターを装着して射撃をしていますね。

メリット

バレルの高剛性化

さてこのDRSのシュラウドエアチューブの利点も上げましょう。
ひとつはバレルの高剛性化です。近年エアスラッグの台頭により、バレル剛性が注目されるようになってきました。しかしFXは以前より独自の薄いバレルを採用しており、エアスラッグ用に高剛性スリーブなどを発売していましたが、その評価は厳しいものがありました。そこでこのシュラウドエアチューブの採用というわけです。空気といえど、200bar程度の圧力ですので、確実に剛性はアップするでしょう。
※2024.11月追記_これについては構造の詳細が判明し、剛性の恩恵は一部に留まるということが分かりました。詳しくは文末のリンクへ。

余談ですが、エアライフルを扱う際に、バレルを持って動かすのは御法度、という話がありますが、それらは一部のエアライフルだけの問題で、例えばチェコのエアライフル(AGN、AMA、カリバーガン)などはどのモデルもバレルをがっちり固定しているので、バレル(シュラウド)を持って動かした程度でまず精度が狂ったりはしません。(特にプルパップ)
だからと言ってバレルを持って動かすべき、ということにはなりませんが。

軽量化

次に軽量化です。今までシュラウドとして機能していたパーツをエアチューブに置き換えたのですからその分軽くなります。さらにFXの場合は元々薄い自社バレルを使用していますから、さらに拍車をかけて軽量です。
500バレルモデルで2.2kg、700mmバレルモデルでも2.5kgとかなり驚きの重量です。

低重心化

そして最後は低重心&マスの集中化です。今までは比較的コンパクトなチューブタイプのエアタンクでも、バレルの下に配置すればそれなりのスペースを取っていました。特にエアボトルの接続はバレルの下に機関部を伸ばす必要がありました。
しかしながらDRSはそのスペースを省略することができ、ハンマーとバルブのスペースさえうまく作れば無理をせずともバレル直下にトリガーを配置できるようになりました。

そのほかの特徴

DRSのバリエーションですが、バレル長で500,600,700の3種類があり、
ストックはウッド2種類とシンセ、そして700バレルのMDTシャーシモデルがあります。

恐らくグレード2のストック、すごいしましま!!(語彙力

まずウッド2種類って何?という話ですが、このDRSはイタリアのMinelli社のウッドストックを採用しているのですが、そのウッドの品質で2グレードに分けられています。FXさん、なんかコンプレックスでもあったんでしょうか(笑)何にせよグレード2のウッドはとても素晴らしい仕上げです。

DRS Pro 700、すごいかっこいい(語彙力

それと、シンセは省くとして、コンペ向けにMDTシャーシを搭載したDRS PROというモデルもあります。海外の価格で50万ほどします。

ちなみにレギュレーターメーターはこのサイドに付く

次にDRSのデザインを特徴的にしているのが、このボックスマガジン風のプレナムです。この下側にプレナムボックスを出すアイデアは、海外のギークスたちが古いエアライフルを魔改造するのによく用いられていた技です。このプレナムは3種類あり、モデルにより最適なものを装着していますが、交換も可能です。長方形の空間では歪みを防ぐのが難しいでしょうから、アルミブロックの内側に円筒状のスペースを2つ設けてプレナムエリアを作っているみたいですね。

この真鍮パーツがレギュレーター

レギュレーターはシュラウド下に外部調整式のものを搭載しています。
ハンマースプリングは一般的な機関部後部からネジで調整するものです。
これらはストックを外して弄る必要がありますので、パンテーラなどのように、頻繁に弄って遊ぼうとすると手間がかかるでしょう。

とまあこんなところですが、このDRS、実はお値段もかなり抑えています。
バリエーションがいくつもありますが日本円換算で15〜23万円ほどです。(MDTシャーシのPRO除く)
あ、ちなみにMDTシャーシがM700のものにそっくりなのでM700ストックが使えるのでは?と話題になりましたが、恐らく使えません。

というわけでこのDRSは、恐らく今後のFXのドリームラインシリーズに変わる主力モデルになるのではないでしょうか。
いつか軽量ブルパップモデルなんてのも出るかもしれませんね。

TJO M30B について

TJOさんのM30B。ハンドポンプ付きで199千円はかなりお買い得

さて海外でDRSが話題を呼んでいる中、トウキョウジュウホウさんがウェブサイトにそっとこんなエアライフルを載せていました。

それがTJO SP-M30Bです。
実はこのエアライフルもシュラウドエアチューブを採用しています。

長年ギークをやっているとこの商品写真でアレのOEMね、と分かっていても、それをわざわざこちらから指摘しないのが大人ってもんですので(笑)、
黙っておりましたが、久しぶりにサイトを見たらスノーピークと書いておりますし、豊和精機佐藤さんのXのポストにも写っていたので良いのでしょう。

さてそんなM30Bですが、元スペックはこんな感じです。

全長:1160mm重量:3.0kg
バレル長:615mm
エアキャパシティ:230cc
出力:(最大1000fps)
アジャスタブルトリガー/外部調整レギュレーター/ピカティニートップレール

M30B外観
メーターは残圧とレギュレーター、真ん中のネジはレギュレーターアジャスター
クラシカルなコッキングボルト、機関部まで円筒にデザインしたAAのような外観
メーカーにはバリエーションとしてタクティカルモデル?も掲載されています。

おおよそのスペック、構造はFX DRSにも近いものですが、重量は流石に薄いライナーバレルを使用するFXに軍配が上がります。それでも3kgは十分に健闘してる数値でしょう。
またM30Bのシュラウドエアチューブは先端がシュラウドスペースとして確保しており、音量も割と静かだということです。
ちなみにこのモデルは2018年ごろの発売ですからDRSよりだいぶ先発です。
気になる出力はスノーピークの同モデルでは〜1000fpsという数値しか見つけられませんでした。また前モデルのM30は250mpsと少し控えめなパワー設定となっておりました。

ただし国内においてはTJOさんが自社ブランドで扱うわけですから、国内適法化や出力や精度などをチューニングして発売するものと見て良いでしょう。
この辺りの情報が待ち遠しいですね。

お値段も控えめですから、そうしたデータが出揃った上で、検討してみても良いかも知れませんね。

最後に
買いかどうか、という観点で個人的な感想です。
M30Bは、エアライフルは欲しいけど中古の第二世代くらいまでしか予算が出ない、といった方や、これから狩猟を始める、という方にはちょうど良いのではないでしょうか。

DRSは国内販売されるのか、価格はどうなのか、によりますが、より品質の高いものを、軽量なものをといったM30Bの上位互換として、または1挺を長く楽しみたい、といった要望を叶えてくれそうです。

どちらにせよ触ってみないとなんともですけどね。

とまあ、今回はこんな感じで。
この記事の続編を書きました。こちらもどうぞ♪


※余談〜最近の外部調整機能について


最近のエアライフルは色々調整できる機能が搭載されていますが、むやみやたらに弄っても正しいセッティングは出ません。
特に、この弾はこの弾速が良い!と聞いてハンマースプリング(HS)を調整して希望の弾速にした、とか、弾速が足りないからレギュレーター圧を上げてみた!といった、ことをしてもトータルで良い結果が出ることは少ないでしょう。

例えば、レギュレーター圧を変えずに、HSのテンションを調整すれば弾速が変化します。ここまでは皆さんも分かるかと思います。しかしながらひとつのレギュレーター圧には最適なHSテンション(弾速)があり、その正しいHS=弾速の調整幅は概ね6mps(20fps)ほどです。

もちろんスプリングテンションを弄れば、これ以上速い弾速も遅い弾速も出すことができるでしょう。
しかしながらこのレギュレーター圧に対する正しいスプリングテンション域を外れた状態でセッティングを取ると、1発ごとの弾速が安定しなかったり、高圧時と低圧時で弾速が変わってしまったり、そもそもグルーピングが悪くなったりします。こうした症状をセッティングがずれていることが原因と考えずに、銃の故障だと考える方もいらっしゃいます。

そうした遊び(沼)を楽しみたい、というわけじゃなければ個人的には外部調整機能はいらないですし、触るべきじゃないと思います。

それでももし最新の銃の完璧なセッティングを体験してみたい、という方は、きちんとセッティングができるお店に依頼しましょうね。 

皆様の挑戦、楽しみにお待ちしています(笑)

※最後にスキ!ボタンを押して頂けたら嬉しいです。コメントもドシドシお待ちしております♪

謎おじさんのM30Bレビュー

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