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バルカン3〜キングオブ エアスラグガン
2024.May_Rewrite
※はじめに、今回紹介する銃は私が日本国内の保安基準にすべて適合させたものを輸入、許可を受けて所持しているものです。そのため本国カタログスペックとは仕様が異なります。
※f-range取扱のバルカン3は市販化にあたり上記私物とは若干仕様が異なります。
さて、タイトルを大袈裟に書きましたが、現時点であながち間違いない表現ではないと考えています。
これは私が現在所有しているエアガンテクノロジー社のVULCAN3-700(5.5mm)のことです。
エアガンテクノロジー社(以下AGN)はチェコの新進気鋭のエアガンメーカーで、出自は同じくチェコのカリバーガン社から派生したと言われています。AGNのエアライフルラインナップは決して多いとは言えませんが、どれも人気のモデルで、日本ではエフレンジが正規取扱をしているウラガンが有名ですね。
その他には私の所有するバルカンシリーズと、ライトウェイトなビクセンというモデルなどあり、特にこの3機種が人気です。
ウラガンについては過去に記事にしていますが、とてもバランスに優れた良いエアライフルです。
ビクセンもなかなか良い銃なのですが、書き出したら止まらないので今回は割愛します(笑)
さてバルカンシリーズは以前からブルパップスタイルが特徴でしたが、新しく発売されたウラガンというコンパクトなブルパップエアガンが世界で人気になったことにより、バルカンはより頑丈で強力なモデルとして昨年末に刷新、バルカン3と名前を改め発売されました。
バルカン3には500mmバレルと700mmバレルの2モデルがあるのですが、今回取り扱うのは700mmモデルで、予定スペックは下記となります。
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近年のエアスラグ弾の流行は誰もが知るところですが、実は現在箱出しでエアスラグを撃てるように造られてる銃はほとんどありません。
FXの最新機種ですら、ハンマーやスプリング、バレルなどをカスタムしないと本領を発揮できません。
その中でバルカン3は、箱出しの状態で特別なカスタム、チューニングを必要とせずエアスラグを正確に撃つことができるのが特徴で、発売以来、世界のエアガンナーから圧倒的な支持を得ています。
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ではどのあたりがエアスラグ向けなのか、説明します。
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①700mmノンチョークバレル
近年、ロングバレルのエアライフルが増えてきています。
長い銃身は精度に繋がると思われる方もいるかもしれませんが、実際はバレル長は精度に比例しません。
ではなぜロングバレルが増えてきたかというと、エアを効率的に使うためです。
エアスラグ弾はペレットに比べてバレルとの摩擦が大きく、また重量も重くなるため、弾速を保つためにはエアの吐出量が必要となります。
また、一般的にエアライフルは弾速が上がり切る前に弾がバレルを抜けるため、長いバレルほど弾を加速させることが可能です。
エアスラッグという重い弾を高い弾速で撃ち出すには、
長いバレルの方が高燃費で有利になります。
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また、エアスラッグはペレットのように簡単に変形しないため、ペレットガンに広く普及しているチョークドバレルとは相性が良くないと言われています。(特にヘビースラッグの場合)
そのため現在エアスラッグバレルと言われるものはノンチョークが人気です。
ポリゴナルバレルは、今まで大口径では用いられることがありましたが、
5.5mm径で評価を得たのはバルカン3が初めてで、現在は各社それを追従している状況です。
ポリバレルの特徴は、ライフリング=溝が刻まれていないことで汚れが溜まりにくく、またクリーニングも簡単にできます。
エアスラッグで高い精度を保つには、バレルの状態も非常に重要です。
②大容量プレナム
プレナムとはレギュレーターを通過して一定圧に調整されたエアチャンバーのことを指します。今までのエアライフルは10〜20ccほどのプレナム室を持つものがほとんどで、ペレットを撃つ分にはこれで事足りるボリュームでした。
しかしエアスラグを撃つには多くの空気が必要であるため、このプレナムの大型化が進んでいます。プレナムが大きいほどバルブ解放時間内の圧力減少が起きないため、より多くの空気を吐出することができます。
ではバルカン3はというと、なんと135ccのプレナムを備えています。FXエアガンの大きなプレナムモデルでも70ccほどですから、これは驚異的なサイズです。
例として、エアスラッグチューンでは25.5gr、つまり6.35mmペレット相当の重量を持つ弾をペレット以上の弾速で撃つにも関わらず、レギュレーター圧はわずか120barほどです。
*ボブキャットMK25.5mmの場合、18grジャンボヘビーを使用して300mps/150barほどです。
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③大容量カーボンタンク
エアスラグを撃つためには多くの空気が必要となるため、タンク容量は重要です。
カーボンボトルタイプは容量が稼げるだけでなく耐圧300barなので耐圧200bar程度のチューブタイプよりかなりエアが入ります。
※もちろん日本で使用する場合は高圧ガス法に合わせた仕様が必要です。
f-range仕様ではCZ-Armotech製の480ccの専用タンクを使用します。
バルカン3は300barの高圧で大容量タンク、そして低いレギュレーター圧の組み合わせにより、ハイパワーながら120発程度は安定した射撃が可能です。
④重いハンマーと強いスプリング
いくらプレナム量が大きくても、重いエアスラグを撃とうとすれば、どうしても高いReg圧でたくさん空気を出さなければなりません。
高圧プレナムをきちんと解放するためには強い力が必要となるため、一般的な解決策として重いハンマーと強いスプリングが用いられます。
FX社などではオプションパーツとしてスラグ用のハンマーやスプリングを出していますが、バルカン3は最初からインストールされています。(正確には、プレナムサイズの恩恵で極端に強く重くする必要がありません=そのためペレットでもパワー過剰にならず十分に高いアキュラシーを保てます)
⑤20MoA傾斜レール
スコープレールにあらかじめ傾斜が付いているます。これによりエレベーション調整範囲が広がり、長距離射撃に向いています。
これらをすべて備えたエアスラグガンがバルカン3です。
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ちなみに今までのペレットは形状の自由度が低く、重量に制限がありましたが、エアスラグは自由度が高く、全長を伸ばせば理論上いくらでも重くできます。実際に22LR相当の弾頭(スラグ)を同等の速度で飛ばせる銃も出始めています。
とはいえ、個人的にはエアライフルのハイパワー化はあまり歓迎していません。エフレンジで取り扱うバルカン3も25.5grという比較的軽量なエアスラッグでセッティングをしています。
エアスラッグは高いBC値が魅力です。
BC値とは弾道係数のことで、その数値が高いほど弾の直射性が向上し、残存エネルギーが高まります。直射性が良ければ、遠距離のドロップもそうですが、30m前後のリフトアップも減ります。
ただドロップはBC値より弾速の影響が大きく、直射性がエアスラッグの最大の利点かというとそうではありません。
最も有利なのは長距離での残存エネルギーの高さです。
飛翔中のエネルギーは高いほど安定性が増します。
そのため、エアスラッグは高いマズルエネルギーで撃たなくとも、着弾エネルギーはペレットより高くなります。日本の狩猟シーンでエアスラッグを運用するならば5.5mm25gr程度まででも6.35mmペレット以上の十分なエネルギーがあります。
精度もきちんとセッティングが取れていれば、ペレット相当、遠距離ではそれ以上の能力があります。
とはいえくれぐれも、今後こうしたエアスラッグを使用される皆様におかれましては、運用には今まで以上に注意して欲しいと思います。
最後に、エアライフルには装薬銃とは違った趣味の楽しみがあります。
同じ.22ならライフルの方が当たる!と言われたらそうなんでしょうけど、私はこの進化を続けるエアライフルの世界がとても好きだし、各メーカー特色があって知識を得るのもとても楽しいです。車やバイクにハマってた時と同じ気持ちです。
もちろん、エアライフルの構造なんて知らなくても獲物に当たるよ、と言われればそうなのかもしれません。
しかし、構造を理解しているのとしていないのでは、安全・危機管理の面では大きく変わってくると考えています。
皆様もどうぞご安全に、楽しいエアライフルライフをお過ごしください。
※ちなみにこのバルカンのデメリットは、長さと重さでしょうか。
とはいえ全長970mmなのでブルパップにしては長い程度ですし、重さもボブキャットと同じくらいですけどね。
ちなみにVULCAN3が欲しいという方はこちらからどうぞ。
ここまで読んでくれた方限定の情報ですが、初回ロットの入荷数はかなり少なめです。
なぜかというと、私が1丁ずつセッティングをするため、キャパの限界があるからです(笑)
それでも、お店とだいぶ話し合い(笑)を設けまして、なんとか採算が合うレベルの販売価格に抑えてもらいました。
再組み立て、チューニング、弾痕証明付きでこの価格は安いのではないでしょうか。
次回入荷は初回ロット売り切り後に発注となりますので、反響次第ではありますが今猟期には間に合わない可能性が高いです。
初回は間違いなく、チューナーの私に気合が入っておりますので(笑)興味のある方はぜひご予約ください。
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