創作に役立っている文章作成術〜本論:学術・ビジネス文書で培った技術を台本執筆に活かす〜
私は音声作品向けの台本(シナリオ)を書いて今年で6年になります。
今回は、創作の文章作成術について話していきます。
台本の書き方に主眼を置いていますが、小説やエッセイなど文章作品全般にも当てはまると思いますので、気になる方は最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
創作の文書作成術
この記事には序章があります。
▼創作に役立っている文章作成術〜序章:私の土台は学術・ビジネス文書だった〜
私の文書作成経験(大学時代の学術文書と会社のビジネス文書)が創作に役立っている。
ということを書いています。
今回はその下地を台本創作に活かした場合の文書作成術となります。
序章の記事では、ビジネス文書を書く際の重要ポイントとして以下の7つを挙げています。
①書く目的は何か?
②タイトルの付け方
③対象は誰か?
④結論は何か?何を伝えたいのか?
⑤目次から書き始め、要旨(abstract)を書く
⑥話の筋が通っているか
⑦必ず推敲する
台本を書く際もそれに沿っていますが、台本執筆バージョンに7項目を書き換えると以下のようになります。多少順番も変わり、4つの行程に統合されます。
1,動機
書くモチベーションを感じる。きっかけを再確認する(①)
2,コンセプトを明確にする
視聴者対象は誰か?(③)
ねらいを明確にする(④)
3,執筆
タイトルをつける(②)
台詞本文とログライン(概要欄のあらすじや概略)を書く(⑤)
4,推敲
話の筋が通っているか(⑥)
言葉の誤記・見直し(⑦)
ひとつずつ見ていきましょう。
1,動機
書くモチベーションを感じる。
「書きたい!」と湧き上がる気持ちを再認識、意識するんです。
何事も「やりたい」と思ったときにグワーっとエネルギーが湧き、気づいた時にはもう行動しているものです。
その時の感情やインスピレーションを大事にしましょう。やる前に「やるぞー!」っとパワーをためるように。
そしたら、次に書く目的を確認しましょう。
きっかけを再確認する。
自分マターの場合)
自分の書きたい気持ちに従い、素直に思うままに書きましょう。依頼主はいない(むしろ自分?)ので、納期や期待に添えるかと言うプレッシャーを感じることはありません。
「書きたい」と湧き上がった気持ちを原点にして、書く事を楽しむ。
自分の中で湧き上がったアイディア、自分の感情、モチベーションを大切にする。
他者マターの場合)
この台本にはお客さんがいるんだ。と意識します。自分勝手には書けません。書いてはいけません。依頼主さんのことを常に意識しましょう。
以下は厳守しましょう。
・納期は絶対守る。
・指示された通りに作成する。
・要望を取り入れる。
・指示が理解できないときは相手と何度も話し合って折り合いをつける。
・自分の考えばかりを押しつけてはいけない。
2,コンセプトを明確にする
対象は誰か?
ねらいを明確にする
この点は関わり合っているので一緒に解説します。
台本を書く時に、視聴者を意識するとより効果的です。視聴者が喜ぶ台詞を考えてキャラクター(アクター)の台詞に落とし込むのです。
対象=主人公(視聴者)のキャラクターと思ってもよいでしょう。主人公の人物像が固まらないと、語りかけるキャラクター(アクター)の人物像も固まりません。
ねらいを明確にしておけば、視聴者が喜ぶ台詞を考えていくの中で、台本のキーワードとなる台詞(キラー台詞)も浮かんでくるでしょう。
この時点では、台本のジャンルやテイスト、どんな話なのか明確になっていれば良いと思います。
骨子や人物像を構成していくのは次の項目で!
3,執筆
タイトルをつける
私はタイトルつけるのは苦手です。
でもタイトルはすごく大事で、中身の代名詞だと思います。
でも言葉の力は強くて、タイトルをバシッと決めてから書くと、その目標に沿った物語が書ける気がします。
書き終わった後で、タイトルを書き直すのもあり。最初にタイトルを決めると方向性が決まります。
台詞本文とログラインを書く
ログラインとは概要欄のあらすじや概略のことです。
肉付けする項目は次の3点です。
・設定:場所、シチュエーション
・人物像:どんな主人公(視聴者)、どんなキャラクター(アクター)?
・あらすじ:はじまりとオチは明確にしておくと迷子にならない
上記を意識して書く! とにかく、書く!! 以上。
台本にとっては「2,コンセプトを明確にする」の時点で骨子は完成しているようなものです。あとはコンセプトにしたがって書くだけですから!
コンセプトを決めたら、白紙の状態から最後まで一気に書き上げる方も多いのではないでしょうか。
物語の構成と言えば、起承転結や序破急などがあります。それらはテクニックのひとつで、台本執筆としては「2,コンセプトを明確にする」が一番大事かと思います。
人物像や設定に応じて台詞(言葉)のバリエーションが変わりますので、台詞を書きやすくなります。
4,推敲
推敲は「①:話の筋が通っているか」→「②:言葉の見直し」の二段階でやりましょう。①で修正があった場合に②もやり直しになってしまいます。
特に推敲で注意したいのは、部分的に修正したときに前後関係がおかしくなっていないか確認しましょう。
①話の筋が通っているか
場面については以下を見ます。
場面が繋がっていない
キャラクターの動きが繋がっていない
体勢や距離感がおかしい
場面転換やキャラクターの動きがある場合は、空間が繋がっていること、空間が変わった、キャラクターが動いたことが台詞やト書きでわかるようになっているか。キャラクターに動きがある場合は、人間工学的におかしい体勢になっていないないか、現実的なアクションか(ファンタジーなら問わないが、日常ならよく考える)…などなど見ていきます。
感情については以下を見ます。
キャラクターの感情と台詞が合っているか
キャラクターの感情の変化を裏付ける演出があるか
キャラクターの感情を想像した時に台詞に違和感がないか。怒っている、泣いている、喜んでいる。感情の変化の要因がわかるエピソード(台詞)があるか。
②言葉の見直し
このままの通りなので割愛します。
台本の書き方についてはこちらでも取り上げていますので、合わせて参考にしてみてください。(似たようなことが書いていると思いますが)
ビジネス文書→台本創作に活きた文章作成術
創作に役立っている文書作成術は「コンセプトを明確にする」と「推敲」です。
もちろん、「好きだから」「書きたいから」書くのも必要です。深く考えずに自由に書くのもありだし、そういう創作も大事かと思います。
ただ、「誰かに伝えたい」「誰かにとどけたい」なら、読者や視聴者を意識して書くことで、そうしなかった場合よりも良い作品になると思うのです。
ふたつ目の推敲は、学術文書、ビジネス文書と10数年向き合ってきた自分だからこそ得られた緻密さのおかげかと思います。
*
そのうち、自分が書いた台本を題材にして物語の構成に関するお話をしようかなと思っています。
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