僕はずっとずっと雨の中(ショートショート)【短編集:創作1000ピース,40】
【はじめに】
これはオリジナル短編小説です。創作1000ピース 第40作品目。
*
雨は嫌いだ。
嫌なことばかり思い出す。
―ひとつやふたつじゃない。もう、たくさんだ。
布団を被った。
それでも雨音が耳にまとわりついて離れない。
誰かの心ない声やどうしようもない文句の嵐に、僕の心が痛んだ。
雨のように浴びせられ、自分の中で処理できず、あふれかえってくる。
行き場のない感情はたまっていくばっかり。
―嫌だなぁ。もう昔のことなのに。
反射的に記憶が引き出されてしまう。
君に告げられた言葉が心の奥深くに突き刺さっているみたいだ。
―とっくに忘れていたと思っていたのに。
頭が痛い。君の声が反響している。
―好きだったのにな。なんでダメだったんだろう。
それの繰り返し。
―いい加減もういいだろ。
自分がやめようとしても止まらない。
雨に打たれ、ずぶ濡れになっていく。
ふと見た手のひらにはうっすら汗が滲んでいた。
やっぱり錯覚だ。僕の体は今、布団に包まれている。
雨音は僕を世界から切り離し、孤独にさせる。
あの頃からずっと、ずっと雨の中だ。
*** 創作1000ピース ***
たくさん書いて書く練習をするためにまずは1000の物語を書く目標を立てました。形式は問わず、質も問わず、とにかく書いて書いて、自信と力をつけるための取り組みです。
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当方の音声作品向け台本(シナリオ)の派生作品です。
台本の登場人物、トラウマを抱える彼氏の心情をイメージした文章作品です。よろしければ台本の方もどうぞ。
梅雨あけちゃいましたね。梅雨時期に出せれば良かったんでしょうけど、こんなに早く夏が来るとは思わなかった。
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