台本創作メイキング:『君と僕の愛憎劇~殺したいほど愛してる~』より
こんにちは。さわなです。
今回のテーマは『台本メイキング』
台本が完成するまでの制作過程を見せる試みです。
イラストメイキングはよく見かけますけど、文章作品メイキングってあまり見ないな…。台本ができるまでのメイキングをわかりやすく見せられたら面白いかな…。と思いやってみました。
題材として、自作『君と僕の愛憎劇~殺したいほど愛してる~』を使います。pixivに投稿した台本はこちら↓
台本メイキング
今回の作品は発想から台本になるまで実質3日間でした。下書きから完成形まで3段階の原稿があり、それぞれ保存しておき比較・考察しました。
制作過程に沿ってお話ししていきます。
①アイディア~下書き(原稿Ver.1)
②ストーリーの流れを作って肉付け(原稿Ver.2)
③推敲して完成形へ(原稿Ver.3)
ちなみに、台本完成までの3原稿の差分を視覚的にお見せすると次のようになります。(差分比較ツールWinMargeを使用)
差がないところは白、差分は黄色や赤のハイライトで示されます。文頭から文章、順番が同じか1文字レベルで比較するため、センテンスを入れ替えると別物と認識されてしまいます。微修正の差分表示向きなので、文章を入れ替えているVer.1→Ver.2は見づらいです。推敲段階のVer.2→Ver.3では黄色部分が少なくなっています。
原稿Ver.1からVer.2
原稿Ver.2からVer.3
これだと、何が何やらわからないので、以降の章で変更内容の図解をしていきます。
①アイディア~下書き(原稿Ver.1)
書き方はその時々で異なりますが、今回はストーリーの骨子(メインとなる物語の流れ、簡単な起承転結や序破急)を作らずに、思いついたまま台詞を書き、そこから物語の流れを作って台詞を当て込んで整える形で作ってくパターンでした。
「僕のこと、殺したいくらい憎いんだよね」って強烈な台詞がふと浮かび、憎悪って愛情と正反対だけど似ているな…という発想から愛憎劇というキーワードが浮かびました。
とっかかりとなる台詞から、キャラの人物像を掘り下げていき、「この子(読み手)だったらこう思う」、「この子だったらこんなこと言う」とキャラに喋らせて台詞をポンポン書いていきます。
それが下書きの原稿Ver.1でした。
この時点では時系列もめちゃめちゃでオチもよくわかりません。台詞を書き出すのが目的なので変でも気にしない!
次はストーリーとして形を成すのを目的にしたのが次の段階です。
②ストーリーの流れを作って肉付け(原稿Ver.2)
どんなストーリーなのか、これら台詞はどんな場面で発せられたものかを考えていき、背景となる部分を作っていきます。
主人公の女の子は、彼(読み手)に嫉妬していた。彼は自分に向けられた憎しみを愛情と受け取って、「僕のこと好きなんでしょ?」と彼女を煽る。彼女も憎悪か愛情かわからなくなる。
背景ができれば、それに沿った言葉か見直せば良いのです。重みや背景が感じられる言葉に書き換えていきます。
もう一つ、この段階で私が気にしていることは『キーワードとなる言葉を抑える』です。
Ver.1で台詞を書き出した時に繰り返し出てくる台詞があります。
彼(読み手)は「憎いんでしょ?」「殺したいんでしょ?」と繰り返します。それは「僕のこと愛しているからなんでしょ」自論を主張・強調したい。「好き」「愛してる」これらに重みを与えたいからかなとキャラを深掘りして実感しました。
繰り返しの言葉はくどいから消そうかと思うところですが、何度も出てくる言葉こそ、一番パワーワードだし、強く伝えるべき言葉だと思うのです。
繰り返されてくどいのはむしろ策略でも良いのではないかと。
Ver.1からVer.2の変更点を図解するとこのようになります。
台詞を入れ替えたところを囲み、追加・変更したところをピンク・黄色でハイライトしています。Ver.1で囲みもハイライトもない部分はVer.2で削除した部分です。ご覧の通り、全面的に修正をしています。
主にVer.1で書き出した台詞を生かし、順番を入れ替えてストーリーを作っていきました。その上で、導入や繋がりが悪いところなど足りない点を追加しました。
③推敲して完成形へ(原稿Ver.3)
この段階で「はてにをは」や語尾、単語の見直しをして、文章として妥当か、伝わる台詞かチェックして精度を上げる作業をします。
流れが悪いところの台詞を入れ替えたり、追加したりします。
図解はこちら。囲みもハイライトもないものは変更なし。②に比べて変更点は少なく、微修正であることは明らかです。
こんな感じで、②よりも修正部分が少ないです。
オチのところが弱く感じたので、最後の部分は見直して大幅に追加しています。強烈な印象を与えるラストになるように、笑い声や煽る台詞を追加。
中間部分も繋がりを意識し、彼(読み手)の性格が表れるように煽るような台詞を加えています。
以上、3段階3日間で台本が完成しました。
作中のうちの子について
今回の作品の彼、結構まどろっこしいです。脇道に逸れつつも、「憎いんでしょ?」「それって好きなんでしょ? 僕のこと」とネチネチ言ってきます。
このキャラ、好きだなあ。(自画自賛)
自分の理論を展開し、論破するキャラは好きです。
自分の好きなキャラクターや世界を作り出せるのが創作の魅力ですよね。本当に!
最後に
さて。台本ができるまでの様子はいかがだったでしょうか?
好評であれば別の台本でも完成までの様子をお見せできればと思います。
実は視覚的に差分がわかるようにするため、変更した分だけファイルを残しておく労力がありますが、変更履歴をとっておかないとわからないのでね。興味がある人は新旧のファイルをとっておいて差分を見るツールで見てみてください。
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〜最後まで読んで頂き、ありがとうございました〜
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