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恋を知らないその頬に-幼なじみ編-(ショートショート)【短編集:創作1000ピース,34】

【はじめに】
これはオリジナル短編小説です。創作1000ピース 第34作品目。

 お前はいつも自覚がない。
 そんな顔向けるなって。

「……怒ってる?」
「別に……」

 無意識に俺を煽ってくるのもムカつく。
 その行動、その表情で俺がどんな気持ちになるのか、お前は意識したことがあるのか。
 ……その様子じゃ、ないんだろうな。
 ほら、やっぱり。自覚がなさ過ぎる。
 男が付け入る隙だらけなんだよ。その横顔。
 俺は頤をつかまえ、無防備な頬に唇を寄せた。

「えっ……」

 あいつは目を丸くしてやがる。鼻を中心にみるみる顔が赤くなっていく。
 さすがにこんなことすれば思い知るだろ。

「子供みたいなこと、やめてよ」

 は? 子供みたいなこと? 何言ってんだこいつ。

「幼稚園生の時にしてたみたいなこと」

 ああ、アレね。よく隠れてほっぺにちゅーとかしてたね。だから子供みたいだって?
 お前そもそも勘違いしてるけど。あの頃から俺、そういうこと考えていたからな。

「……そうだな。もう俺たち子供じゃないから、こういうことしてるんだけど。意味わかってる?」
「意味ってなに?」

 顔真っ赤にして小動物みたいにうろたえてる。まだわかってないって態度してるな、これ。
 かくなる上は……。
 俺は頤をつかまえたまま親指で唇に触れる。

「今度はこっちにしたら、わかってくれるよな」

 言い終わるのを待てず、俺は唇を重ねた。

 なぁ? 自覚した? 俺に愛されちゃってるってこと。
 さすがにこれでわかってくれなきゃ、次は押し倒してやるからな。

 初回投稿の内容を加筆修正し、pixivに投稿しました。
 pixivの『3セリフで沼らせる マンガ原作ストーリー』フリー部門に参加しています!


*** 創作1000ピース ***

 たくさん書いて書く練習をするためにまずは1000の物語を書く目標を立てました。形式は問わず、質も問わず、とにかく書いて書いて、自信と力をつけるための取り組みです。

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さわなのバックヤード[創作RooM7号室]
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