依頼台本の苦悩〜制作中とその後のこと〜
言葉はナマモノだし、自分の考えも時間と共に移り変わっていく。ふと感じたことを形にしていかないと大事なメモだって紙くずになってしまうなぁと思い、この感情を忘れないうちに記事にすることにした。
今回は依頼台本の苦悩について。書く際の苦悩についても触れるが、その後の話が主だ。
書く際の苦悩
台本執筆依頼で苦労するのが、相手の要望を汲み取る力。依頼主さんには3タイプいると思う。
要望を形にして表現するのはどれも変わらないんだけど、①は作者に完全お任せで、責任重大。どう書けばいいのか正解もない。②はニュアンスから要望を具体的に汲み取る能力が必要。③は細かい対応力が求められ、構成段階から完成イメージのすり合わせが欠かせない。互いのイメージに乖離があると書き終わってから「このキャラクターじゃない」「このシーン不要」とバッサリカットされることも。
私の感触としては個人の声活動者さんに①や②のタイプが多く、同人音声サークル主催者さん(企画者、シナリオライターまたは声優も兼ねる企画者)に③のタイプが多い気がする。音声サークルに属している方は音声を販売することもあり、制作コンセプトがしっかり決まっている。自身で台本を書くため、台本添削して修正指示を返す場合もある。
どれも大変なのだが、特に③が時間も労力もかなりかかる。提出した台本に下線引かれコメントを添えて、文章校正され返却される。修正したものを返す。このやりとりを3回程度繰り返す。台本は初校では提出できず、3校正でOKをもらえることがほとんど。書く前にも設定や構成の確認で何度か連絡を取り、最終的な納品まで20通以上やりとりをする。
自分が良かれと思って書いたものに指摘が入るのは正直しんどい。普段の仕事と変わらない。しかし、指摘箇所や指摘内容は妥当で、修正指示で書き直すと見違えるくらい良くなる。本当に、依頼主さんの文章校正力と俯瞰でみる能力はすごいと思った。そして、共通認識を持ってひとつのものが出来上がった後の達成感がものすごい。振り返るとでかい山を登ったなぁと思う。
出来上がったら楽しいんだけど、ただ書いている最中はしんどいです。まぁ、物書きってこういうものかもしれない。自分で勝手に楽しいと思って書き始めても、うまく書けなくて苦悩するくらいなのだから。
▶︎依頼台本が完成するまでに労力がかかっているって言う話。
書いた後の苦悩
書き終わり納品。依頼主さんにも喜んでもらい、これでめでたしめでたし。
…ではないのである。
依頼台本のその後を作者としては見届けたいのだ。音声を聴きたいし、視聴者からの感想欄も拝見したい。
音声化されていなかったら、音声化した作品をみつけられなかったら、例え報酬として対価をいただいていたとしても割りに合わない。依頼主さんに喜ばれ、台本の中身評価され、労いの言葉をもらったとしても同じだ。
もともと音声作品については作者に直接コメントが届くことは少ない。音声作品に対する感想はその作品につくもの。黙っていても私の元には届かないので直接見に行かないとわかららない。
音声化の際に連絡をお願いするのだが、残念なことにその後連絡をくださらない方もいる。お手数おかけするが、是非その後の連絡はお願いしたい。
▶︎依頼台本が音声化した際は連絡欲しいですよって言う話。
その後どうなった?
納品後どうなったか行方不明の作品がある。この案件のことをふと思い出したことがきっかけて記事を書いた。
連絡をくださるようにお願いをしたのだが、残念に思っている。まだ制作段階なのかもしれないし、様子を見ることにする。
依頼に対する私の姿勢
依頼台本を制作するにあたって労力がかかっていることはご理解いただけたと思う。書きたくて書いて投稿するフリー台本とは違う。雑に扱われると割に合わないと思うのである。(フリー台本についても雑に扱われるのは嫌だが)
無償で台本制作を引き受けていた時、その後音声化しないこともざらにあった。
この状況はもうしんどいと思い、依頼は基本有償とさせていただくことにした。フリー台本化の条件付きなら無償で引き受けていることにしている。ご理解お願いしたい。
*
(余談)感想が欲しいなら発信者になるしかない
裏方には声が届いていかないと実感している。それなら自分が発信者になれば良いと思った。
自分で制作すればそこにコメントが集まるわけで、ユーザーに一番近いところでものを作る人になるしかない。…とは言いつつ、リアルの兼ね合いもあり自分が主催者・企画者側に回れない現状なので、「まぁ、いつか…」と思っている。
今はできる範囲でやりたいことをやるだけだ。
*
繰り返しになるが、直接作者の元に感想が届くことは少ない。だからこそ、感想・反応を知りたい。依頼という形で労力をかけたからこそ、報酬の有無関係なしに、その後の反応を見届けたい。
台本作者は台本のその後を巣立った我が子のようにすごく気にしているのですよという話でした。
〜最後まで読んで頂き、ありがとうございました〜
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