介護職員の本当の離職理由
介護業界では恒常的な介護職員の人手不足に悩まされており、2025年に必要とされる介護従事者は約250万人と推計されています。(現状140~150万人)
人手不足の最大原因は定着率の低さです。
なぜ定着しないのでしょうか。
一言でいえば「精神的にも肉体的にもきつい」からでしょう。
もう少していねいな離職理由の調査アンケートによれば、「職場の人間関係が上手くいかない」「賃金や処遇に不満」といった理由が上位にランクされています。
現状、介護職員といっても過半が非常勤であり、なおかつ高齢の方が転職して介護職に就いているケースが圧倒的に多いのです。
つまり介護職は社会の厳しい雇用機会の最終的な受け皿となっているのです。
非常勤は条件がよければ他の業界に流れるであろうし、高齢の職員はやがてリタイアします。
経営者側は人手不足を補うため、介護に不向きな人であってもとりあえず働ける人材を雇用し駒を揃えて配置するといった悪循環を招いています。
こうした構造を打破するためにはIT化の推進や職員のスキルアップが急務なのです。
介護業界のIT化の遅れは深刻です。業務報告書などをいまだに、手書きのノートに書いていたりします。
SNSを普通に使いこなしている若者にとって、この状況を見ただけでも辟易として介護業界から去っていくでしょう。
またスキルアップというと「うちは研修している時間も費用もない」といった経営者サイドからの反論があります。
しかし先ほどのアンケートをよく見てください。「職場の人間関係が上手くいかない」といっているではありませんか。
スキルアップに時間も費用も必要ありません。
経営者に求められていることは職場環境の整備なのです。
良好な職場環境で介護職員が気分よく働ければ、勝手にスキルアップします。
介護は技術的なスキルもさることながら、要介護者へのデリケートな心のケアが要求される仕事です。嫌々やっていては要介護者に寄り添う心の余裕などできるはずがありません。
介護職員やスタッフの気分が良ければ定着率は改善され、人間関係も良好に向かいやすくなり、結果的に質の高いケアが率先して行われるのです。
介護職員は決して報酬だけの問題で離職しているのではありません。