農学部

 以前韓国で開催された学会に参加した際に「日本には農学係の4年制大学が50大学以上ある」と申し上げたところ「日本にはそんなに多くの農学係大学があるのか」と大変驚かれました。この反応に今度は私が大変驚き、それをきっかけになぜ日本の50 以上の大学に農学関係大学があるのかについて考えてみました。その結果、日本の国土は「気象条件と立地条件」つまり地域特性が高いため「技術の普遍化が難しいため」という当たり前の結論に至りました。
 思い起こせば江戸時代の日本には、300 余りにもおよぶ「藩」に分かれ勢力を競い合っていました。この「藩」という存在が、本質的に地域特性を共有している運命共同体であること考えると、この運命共同体の中から「特産品」という生産物が創り出されてきた事や、各々の地域に合った農業技術の開発を行うことは極めて理にかなっています。
 廃藩置県により藩は都道府県に変わりましたが、地域特性を共有するという本質に変わりはなく、地域ごとに農学係学部を設置し、各々の地域の農家が作り上げてきた生産体系の背後にある知識や技術、つまり「暗黙知」を解析し、これを「形式知」に昇華するという任務が与えられて現在に至ります。
 では、日本の大学の農学部がこの任務にどこまでで忠実であったかについて慎重に検討する必要がある様に思います。

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