町田プレイハウスの思い出

一度しかライブを見ていないのに、もう何年も前なのに未だに記憶に残り続けるバンドがいる。

高校生の時、神宮橋で名刺交換した1歳下のROUAGEファンの女の子から
「自分の好きなバンドがプレハでライブやるから一緒に見に行かないか」とお誘いを受けた。
その子はとてもクオリティの高い利華コスをしている子で、年下だけど憧れの存在だったので
どちらかというとライブそのものより「人気のあるコスさんと一緒にライブに行く」ことに魅力を感じてほいほいOKしたと思う。
町田駅で待ち合わせに現れた彼女は金髪の巻髪、体のラインがくっきり出るタイトな黒いワンピ姿でコス以外の服装を見るのは初めてだったけどとっても綺麗だった。

私以外にも何人かライブに誘われて来ている子がいたのでみんなで移転前のラブホ街にあったプレハに向かう。

ファンが少ないバンドだから最前を埋めて、とりあえず暴れる感じの曲が始まったらヘドバンしてほしいと頼まれそれに従った。
利華コスさんには申し訳ないけど、割とよくいるヴィジュアル系バンドという感じでさほど印象には残らず今となってはバンド名も思い出せない。

その日の対バンはジャンルがバラバラで統一感がなく、コテコテのヴィジュアル系もいればテクノっぽいバンドもいたりと
今思えば謎のブッキングだった。

その中で10年以上経った今でもライブの光景を思い出せる、とても印象に残ったバンドがいる。
DUSTというバンドだ。

上手の2柵より少し後ろの壁に寄りかかってdrinkを飲みながらステージを眺めていると、
テルミンを使った演奏が始まった。
なんて表現するのが適切か今でも分からない。
とくに盛り上がる曲調な訳でも演出が派手な訳でもないそのバンド。
とにかく独特の世界観でステージから目が離せなかった。
思ったことをどう文章にすればよいのか分からなかったけど、アンケートにその日の感想を書いて提出、当時のアンケートは住所や電話番号を書く欄があり、今では信じられないけど普通に記入していたので後日ライブ案内のDMと一緒にデモテが送られてきた。
アインシュタインの写真が使われたジャケット。

そのデモテをしばらくヘビロテしていたと思う。
本命のライブに行くだけでも金銭的に精いっぱいだったのと、いろんなバンドを追うのはミーハーで良くないという風潮が当時はあったので
頑張ってDUSTのライブに行こうとはしなかったけど、プレハで見た光景はずっと脳裏に残り続けた。

何回対バンで見てもさほど印象に残らないバンドが多い中で、たった1回しか見たことないのに
何年たっても鮮明に思い出せるバンドもいる。
あの頃、ちょっと無理してでもライブを見に行けばよかったとか後悔しても遅いのだけれど、
こういう一期一会で記憶に残り続けるバンドに出会えるというのも対バンライブの醍醐味なのかなと思う。