北海道全島制覇のすゝめ
はじめに
2024年8月。僕は友人(以下、A君)と「北海道を一周する!!」というなんとも大学生らしいアホみたいな旅行に挑んだ。
僕もA君も超がつく旅行バカであるため(?)、今回の旅行で北海道を楽しみつくす!という強い意志があり、しまいには北海道本島一周のみならず残り5つの上陸可能な有人島すべてを制覇する事を企んだ。
今回はその上陸可能な有人島5島である
①礼文島
②利尻島
③焼尻島
④天売島
⑤奥尻島
の5つの島の旅行体験記をご紹介する。
なお、有人島とされるが船の定期便が存在しない厚岸小島と、何者かの陰謀により"なぜか"船の定期便が存在しない北方領土については除外とする。
①礼文島
まずは礼文島である。北海道の北西端に利尻島と共にどどーん!と鎮座する島であり、名前だけは知ってる!という方も多いのではないだろうか。
礼文島の特徴は何といっても「固有の植生」である。レブンアツモリソウという有名な放送事故を思い出すような名前の花に代表される多種多様な高山植物が高度を問わずに咲いており、その景観だけで観光客相手に勝負できるタイプの離島である。
とはいえ景観だけではなく、ウニや利尻昆布、ホッケなどといった海鮮もあり、食に関しても北海道本土顔負けのコンテンツ力を誇る。
我々は6:30に稚内港を出発し、8:25に香深港に到着する朝早い便で礼文島に上陸した。2等・学生20%割引込みで2640円。
実は礼文島にはレンタカー店が2店舗しかないためレンタカーの予約は困難。よりにもよって我々はお盆終わりぐらいに礼文島に上陸する計画をたてちゃったもんだから、レンタカーは借りれず。代わりに電動自転車で島を駆け回ることにした。
礼文島は割と平坦やし行けるやろ!という安易な考えでいたが、レンタカー屋を出るときに礼文島に何度か上陸したことがあるというおじさんから「電チャはきついよ~(笑)頑張ってね~」と忠告されてしまった。実際に、普通にきつすぎてA君に至ってはその後ちょっと体調崩れてたので体力が心配なら大人しくレンタカーやレンタルバイクを借りるか1日数本しか出ないバスに乗ったほうが良いと思う。
ただ景色がいいので爽快感は満点!絶対いい思い出にはなります!
我々は礼文島南部の香深港から最北端のスコトン岬にまずは向かった。道中いくつか点在する漁村と無限に広がる素晴らしい海岸線を見ながら快走を続ける。
そして大体11時前ぐらいにスコトン岬に到着する。お隣にある北海道最強の観光島・利尻島と比べるとあんまり観光客は来ない島ではあるが、それでも人は多く、特にスコトン岬はお客さんが結構いた。外国人もちらほら。
スコトン岬は三方海に囲まれ最果て感満載の岬であり、周囲の岩場に大量にいる海鳥の鳴き声が風光明媚みを増幅させる。
また岬の手前には景勝地特有のお土産兼軽食屋さんがあり、結構品ぞろえがいい。というか礼文島の中では一番お土産の種類と質が良かったのでここで買わないと後悔することとなる(1敗)。
スコトン岬に30分ほど居座ったのち、次の目的地を澄海岬(スカイ岬)に定め、自転車を漕ぐ。澄海岬に向かう道は礼文島の中でも屈指の急坂で、下ってるときは自転車にもかかわらず時速40kmぐらい出ていた。なんならその勢いで危うく道路の柵超えて断崖絶壁にダイブするところだった・・・本当に気を付けたほうが良い。というか下りは歩いたほうが良い。ブレーキえぐい音してたわマジで。効かんくなるかと思った。
澄海岬はスコトン岬とはテイストが変わりちょっと鄙びた感じの岬であり、静かな漁村から階段で上がった先に景色が広がるというような岬であった。
澄海岬を出た我々は、礼文島名物の高山植物が咲き乱れる高山植物園に向かった。高山植物園は310円で入場でき、レブンアツモリソウを中心に色々な花を見ることが出来る・・・が!肝心のレブンアツモリソウは5月下旬~6月上旬が見ごろであり、咲いている所を見る事は出来なかった。大変失礼しました、熱盛は出ませんでした。
そうして植物を楽しんだ後、我々は利尻島に向かうべく香深港に戻る。
最後に礼文島の感想だが、景色は下馬評通り、いやそれ以上と言っても過言ではない素晴らしさだった。どれだけ旅行に関心がない人間でも行けば感激すると思う。食もまあそれなりにそろってるし、港付近には温泉まであるので、ゆっくりできる島です。
個人的にはレブンアツモリソウの見られる5月下旬に1~2泊するのがベストなんじゃないかなと思いました。
②利尻島
続いて利尻島である。昆布だったりラーメンだったり富士だったりで知名度は抜群のこの島。今回ご紹介する5つの島の中でも一番デカく、一番旅行しやすい島だと思う。他の島と違ってアクセス手段が船だけではなく札幌・丘珠空港発着の飛行機の定期便が一日1~2便運航されており、レンタカー屋も豊富にあるので行きやすいのが良い。
香深港16:30発、鴛泊(おしどまり)港17:15のフェリーで利尻島に上陸。利尻島には鴛泊港から離れた場所に沓形港という別の港もあるが、基本は鴛泊に行く船が多い印象。2等・学生20%割引込みで1440円だった。
夕方着だったので、利尻島で一泊することにした。事前サーチの結果、利尻島森林公園キャンプ場がバンガロー1棟貸し3000円(通年!)という驚きの安さをしていることに気づき、秒速で予約した。バンガローは沓形港側にあり、鴛泊からだと若干不便な場所にある(バス3~40分+徒歩15分)が、沓形の街には出やすく、なんといっても北海道のインフラ・セイコーマートが近くにあるためそういった面では便利。バンガロー自体もベッド(のようなもの)と毛布類が必ずついており、まあデカめのフェリーの中の寝ころびスポットぐらいには寝ることが出来る。
そして翌日。また鴛泊港に戻って、レンタカーを借りる。大手レンタカー屋もあるにはあるが離島価格とかいう謎制度のせいで結構レンタカーは高くなっており、5時間で12000円ぐらいした。ええ商売や・・・。
そうして利尻島一周がスタート。鴛泊港から、鬼脇の街→仙法志の街→沓形の街を経て、鴛泊港に行くという、いわば時計回りルートで利尻島を攻めていく。
まず向かった鬼脇の街では郷土資料館に入館する。200円で入館でき、利尻島の歴史や、利尻島と切っても切り離せない漁業、特にニシン漁についての展示、植生、クマ、文化や暮らし・・・などなどこれホンマに200円でええんか?というコンテンツ力を有している素晴らしい郷土資料館。旅行先でこういう展示品を見るのが好きな人にはお勧めできる施設となっている。
郷土資料館を満喫したのち、今度は景勝地であるオタトマリ沼に向かう。しかし天候が優れずあんまし綺麗ではなかった。この沼は観光バスが何台か来るぐらいには観光地化されており、友人A君は旬のうに丼に舌鼓をうっていた。ただ今年は不漁だったのか、8000円もしたため筆者は持ち前の面の皮の厚さでA君から一口もらって終了。美味しかったですありがとう
オタトマリ沼を出た我々は、続いて仙法志の街に向かった。この地域は漁業で栄えている地域であり、漁業組合に食品加工工場、産直的なものが立地しておりお手本のような六次産業化が行われている地域であった。
利尻昆布やとろろ昆布などを購入できたり、ウニの試食をやってたりするのでまあ観光客的にはそれなりに楽しめるのではないかと思う。
仙法志の街を見終わった我々は、最後の街である沓形に向かう。この街は利尻島の中でも特別栄えている街であり、前日に泊まったキャンプ場だけでなく温泉付きホテルや飲食店、バスターミナル、港などがある、いわば観光の拠点にできるような地域である。
沓形の食や温泉を満喫した我々は鴛泊の港に戻り、稚内港へと帰還した。
利尻島の感想だが、やはり北海道の離島の中で、"観光する"という目線では最も素晴らしい島であると感じる。
個人的に、単に楽しむのが目的の旅行に必要な要素は
①景観・景勝地
②旨い飯・良質な名産品
③文化などによる付加価値
と筆者は考えているのだが、利尻島はそのすべてが高水準で揃っており、旅行先選定にお困りの皆様全員にお勧めできる島であると思う。ただ個人的には景観力は礼文島の方が凄かったかな。そういう意味では利尻島は礼文島と違ってどちらかというと活動的な旅行を志す人に向いているかもしれない。
個人的には旬の食材が多い8月ぐらいに2泊3日で行くのが一番楽しいのではないかと思いました。
③焼尻島
さあここからは誰も知らない未知の島々が続きます!まずは焼尻島。
北海道の中でもかなり人が少ない札幌~稚内間の日本海側、留萌地方にある羽幌町という小っちゃいけど産業は結構整ってる町から一日2~4便出るフェリーで日本海側に進むと突然現れる島で、隣の天売島と共に知る人ぞ知る離島となっている。
8:30羽幌発9:30焼尻着の羽幌沿海フェリーに乗船。学割20%引きで1390円。
焼尻島は「自転車だとちょっときついけどレンタカー借りるほどでもない」絶妙な面積であり、どのように観光するか?を決めるのが大変難しかった。最終的に出した結論として、我々は観光ハイヤー(ガイド付きデカタクシーみたいなやつ)を用いて島を一周してもらう大作戦を決行することにした。
フェリーを降りて観光案内所兼フェリーターミナルみたいなところでしばらく待っていると、大変陽気なおじ様が大きなワゴンから降りてきて、「キミらハイヤー乗るの?」と聞かれたので、首を縦に振り乗車する。
そうして「焼尻島ハイヤー珍道中」がスタートした。ワゴンは10人ぐらい乗れそうではあるが、そもそもこの島に観光目的で来る人間が少ない上に、あいにくの雨であった事も災いして、この日のハイヤーの乗客は我々大学生2名のみ。ちょっと寂しい車内ではあるが、それでもおじ様が若干特徴的な声で様々な島のスポットを陽気に解説する。
「これは島で唯一の旅館!他は全部人来なさ過ぎて潰れちまった!」
「ここは昔散髪屋だったもの!でも店やめちまった!今は島の奴は全員羽幌で髪切っとる!」
「これは2000万かけて町が作ったキャンプ場!でも人は誰も来ねえ!」
・・・ツッコミに困る。まあ真実を伝えてくれてはいるのだろう。何にせよこの島の最大の特徴は「人が全然居ない」という事である。車は全然来ないし、島民も全然見当たらない。
この島にはアイコンとなるような観光地が無く、なおかつコンビニも無い、高校も無いという不便すぎる島であるため、人口流失がとどまらないようである。
「俺は将来この島は監獄にしたらいいと思っとる!絶対逃げられんし、島も活気に溢れるわ!(笑)」
ハイヤーのおじ様の鋭いブラックジョークである。いや、でもこの島を見てると本当にそう思っててもおかしくない・・・。
とはいえ、この島には何もないわけではない。ハイヤーのおじ様が車を降りる。「傘持ってついてきて」こうして我々は焼尻の密林へと歩を進める。
「よっしゃ!これはオンコ!この島にたくさんある大きな木!別の地域ではイチイとも言う!」
前を向くともじゃもじゃとした木々が生い茂っていた。
雨に濡れたオンコの木は(画像だと分かりにくいけど)神秘的であり、その先に続く遥かなる水平線が孤島の旅情を演出する。
この木々の最大の見どころは、「高さ」である。とはいってもアホみたいに高いとかいう訳ではなく、寧ろめちゃくちゃ低いのである。よく考えると原生林を眺めているはずなのに、奥の景色が見えるとかいう良く分からない状態になっている。しかも奥尻島は平坦な島なので景色が大変開けており、尚更特異な景色となるのだ。
なぜ低いのか、これは「冬の大雪」と「島の形状」が影響しているという事なのだが、長くなるので続きは焼尻島でおじ様に聞いて頂きたい。(ここまで長ったらしい文章を読めている賢い皆様ならある程度分かると思うけど)
「そしたらケータイ貸してくれ!写真撮ろう」
おじ様に何枚か記念写真を撮って頂き、密林探索を終了、一路港へ向けて走り出す。
「島のいいところは飯がウマい事!ウニとかの海鮮はとれるし、何と言ってもめん羊が名物!都会の高級フレンチでも出てくる焼尻サーフォークのラム肉は全く臭みがない!港の食堂でBBQ出来るから、是非食うてくれ!」
こうして一時間近くに及ぶ「焼尻島ハイヤー珍道中」が終了した。気になるお値段だが、一人1400円!島のことも色々知れて一通り観光できる場所も回れるので超お得です、是非焼尻島に来たときはハイヤーに乗りましょう!
最後にハイヤーのおじ様に言われためん羊(サーフォーク種)に興味を持ったはらぺこの我々は、言われたとおりに港の食堂で食事とすることにした。
「すいません、もうラムは無くて…マトンならあるんですけど…」
ご飯屋さんで言われたら落胆する言葉ランキング第二位「売り切れ」を言われてしまったが、せっかくなのでマトンを食う事にする。(ちなみに一位は「もう今日は終わりなんです~」)
羊肉の中で、ラムより比較的固いために好みが分かれるとされるマトンであるが、この島のマトンは言うほど固すぎず、そして何と言っても全く臭みがない。確かにフレンチで出てきてもおかしくないクオリティの肉であり、大変美味しく頂くことが出来た。次はラムを食べてみたい・・・!
焼尻島の感想であるが、確かに見どころがそんなにあるわけでもなく知名度も無いため、あんまり優先して観光するようなところではないというのが正直なところではある。とはいえ、自然豊かな中で数少ない人々は朗らか、そして飯は旨いという、まさしく都会の人が絵にかいたような"離島"を一番体験できるのはこの島であると思う。
(逆に観光がっつりしたい!という人には退屈に感じちゃうかも・・・。)
個人的には暖かい時期に日帰りか、1泊だけするか、あるいは1週間以上滞在して島時間を楽しむのがいいと思いました。
④天売島
続いては天売島である。先ほど紹介した焼尻島から見える距離にあり、焼尻島同様、羽幌町からのフェリーのみでしか到達できない島である。
天売島の最大の特徴は「海鳥」である。比較的平べったい焼尻島とは違い、天売島は断崖絶壁という言葉が似合う島であり、その急峻な地形に日本海中の海鳥が魅了され、棲家を作り上げるのである。その光景は絶景であり、すべての人間を惹きつけるポテンシャルを持っている。
焼尻島から、今回は時間の都合上フェリーではなく高速船で向かう。12:25焼尻発、12:40天売着。わずか15分で到達できる。料金は急行料金込み、学割20%引きで1130円。
天売島は帰りのフェリーが15:50最終な上、夜までに125km先の稚内に行き、翌日は宗谷岬→日没までにサロマ湖(約300km超)という超強行軍の旅程が待ち受けており、滞在時間は3時間という大変厳しい旅程になっていた為、何とかしてレンタカーを借りて1時間で回れるだけ回ろう大作戦を計画した。
そんな雑に回れるんか!?という話ではあるが、天売島は一周約12km。北海道本土で言うと隣町すら行けんどころか場合によっては隣の家すらない位の距離感である。余裕よ余裕。
(ほな電動自転車で…と考えた方もいるだろう。しかしここは断崖絶壁の島。自転車で行くのは賢明ではないだろう。)
元気なおばあちゃんが運営している島唯一のレンタカーで車を借り、この島最大の観光地である海鳥観察舎に向かう。
そうして海鳥観察舎に到着。あれ…?
海鳥おらんやんけ!!!調べてみると…
当時8月下旬。そら海鳥おらんし、人もおらんわ。
我々が見れたのは、崖に不自然に空きまくっている穴(巣)と鳥のフンのみ。僕は海鳥が天売島にたくさんいる動画を見てから来たので非常にショックでした。動物植物系は時期を過ぎると見れないからよく調べとけと分かってはいたのですが、それ以外の見どころが多い礼文島(アツモリ)ならまだしも、それ以外の見どころがあんまりない天売島で島のアイコンを見れないまま帰るという残念なことに…つくづく詰めの甘い男である。また一つ勉強をしました。
このままではなんだこの島!?となるので補足。この島では「ウトウ」「ウミネコ」そしてこの島どころか留萌地域全体で名物となっている「オロロン(ウミガラス)」が卵を産み倒し、そこらじゅうで鳥が飛びまくっているという、島全体が「鳥の動物園」かのような状況になります。鳥が苦手ではなく、高所恐怖症でない方は絶対楽しめるはずなので是非天売島へ。
失意のまま野鳥観覧舎を後にする。
そうしてレンタカーを返却し、フェリーターミナルへ。ここ天売島、なんとフェリーターミナル付近でやっている店がほぼない。飲食店は2時前ぐらいには閉まっており、商店はフェリーターミナルから遠い。オフシーズンであるという事もあるが、それにしてもあまり観光地化されていないので注意されたし(1敗)
最後に天売島の感想だが、まだこの島の本領を見ていないので何とも言えないというのが正直な所である。とはいえ、個人的には礼文島に引けを取らない景観の良さを感じ、後は簡単に食べられる飯さえあれば…という感じであった。焼き鳥とか売ればいいのに。(サイコパス)
実はこの島にはまた違った感想を抱いたのだが、これはちょっと長くなるのでおまけ編としてお話することとする。
5~7月頃に1泊2日で行くのが一番いいと思いました。
⑤奥尻島
最後に奥尻島である。他の4島と違い道南にあり、どちらかというと札幌よりも函館の方が近い島である。面積も大きく、人口もだいたい礼文島と利尻島を足して2で割ったぐらいの人口であるが、知名度の面においてはその2島に劣る。まあ利尻強すぎるからしょうがないね…。
我々は道南西部の港町・江差町から17:40発、奥尻19:50着という比較的遅めの便で奥尻島に向かった。2等・学生20%割引込みで2680円。
この奥尻島、旅行当時は観光客や建設関係者が多く来ていて、旅館・民宿がどこも取れず。そのためレンタカー内で車中泊する予定で考えていたのだが、この件レンタカー屋のお姉さまに言ってみた所、なんと無理くり民宿にねじ込んで頂いた。大変感謝。恐らく当日キャンセルがあったという事だと思う(思いたい)のだが、それにしてもこの島の人々の距離感の近さ・団結力は凄い。ちょっと恐ろしいぐらいである。
そうして寝床があることに感謝しながら、レンタカーを走らせ奥尻最大の景勝地である「鍋釣岩」に向かう。
港からだいたい10分ぐらいで到着。夜ではあるが、岩全体がライトアップされており、非常に見ごたえがある。
そしてこれを見た後、セコマで暖かいホットスナックなどを買い込んで星を見に行った。残念ながら自分の持っているスマホでは何一つ星が映らなかったため皆様にお見せすることは出来ないが、場所によっては全く人里の灯りがない孤島なのでめちゃくちゃ星が見える。やっぱり離島の景色はいいね・・・(しみじみ)
翌朝、宿の朝飯を食べた我々は、例によって島内一周を敢行する。
しばらく海岸線を走り、風景を楽しむ。
しばらくすると山道に入る。ここから急に一方通行でもないのに一車線となったうえ、道路が未舗装の部分もあって、事故ったら即死みたいな空間となり、僻地感を演出する。この奥尻島はその後もこういった道が多く見受けられたので、帰りはかなり疲れがたまったのであった。
山道を進んでいくと、球島山展望台に到着。
ある程度景色を見終わったぐらいで雨が降り出した。今回の旅行、北海道本土で雨が降る日はあんまり無かったのだが、離島に行く日だけ雨が降りまくるという謎天候であった。まあ一応すべての離島が日本海側なので、太平洋側と比較すると降りやすい気候にはなっているのかもしれない。
雨の中危険な道を猛進し、西側の海岸線に出る。道中、疲れを癒すため島唯一の銭湯である神威脇温泉に入ったのだが、なぜか銭湯で人に話しかけられることに定評のある僕はここでも例によっておじ様に話しかけられた。おじ様はウニ漁師の方で、奥尻島もまたウニが旨いとの事であった。不漁でウニが高く、学生である自分には手が出なかったが、また北海道に来た時にはどこかの島でウニをたらふく食べたいものである。
銭湯を出て、奥尻ワイナリーなる所でワイン味のアイスを食べた(画像無)後、また海岸線を進む。そうして島西側の景勝地である北追岬に到着。この岬は謎に芸術推しの岬であり、よくわからんモニュメントがたくさんあった。
よくわからんモニュメントを後にし、海岸線を走り続ける。
奥尻島、というより道南全域に言える事なのだが、ここら一帯はめちゃくちゃ奇岩が多い。走ってて飽きる事がない。
こうして島を一周し、港に向かう。道中、佐藤義則博物館という、野球選手の博物館があったため、そこそこ野球好きな我々は見に行くことに。阪急、オリックスなどで活躍した佐藤選手は、プロ通算21年という野球界では非常に長い現役生活を送り、その後はコーチとしてダルビッシュ有などの名選手を育て上げている。
そうして我々は港に帰り、江差へ向かうのであった。
奥尻島の感想だが、もちろん景色の良さは特筆するべきものがあるが、何よりも人々の距離の近さというのが印象に残る島であった。比較的知名度はない島ではあるが、そこそこ見る所もあって、人も温かいとなると、根強いリピーターが発生しそうな島なのかなと感じた。ご飯屋さんがちょっと少ないという難点もあるが、充分観光するにはお勧めできる島であると言える。
正直他の島と違っていつでも楽しめる島ではあると思いますが、強いて言うなら夏場に1~2泊するのが一番楽しいんじゃないかなと思います。
おわりに
いかがだっただろうか。今回ご紹介した島は5者5様であり、それぞれ違った姿を我々に見せてくれた。今回我々はただただ島を回る事だけを目的に全島を制覇したため、ここでは紹介していない島の楽しみ方もある(釣り、マリンレジャー、ものづくり体験など)。が、そういった他の楽しみ方を抜きにしても、この全島制覇は今後記憶に残る素晴らしい経験となった。
ここまで読んで頂いた皆様にこの離島制覇の経験と、その面白さが共有できていれば幸いである。
読んで頂きありがとうございました!
Y.T
おまけ・天売島でのお話
ここからは(も?)僕の趣味全開の文章なので人生に無駄な時間は要らないという人は見ないでください。
フェリーターミナルで時間を持て余した僕は、ターミナル内のある書籍に目が行った。
何を隠そう、僕は「旅行先でその地に沿った書籍を読む」という行動がめちゃくちゃ好きすぎるのである。その地域の文化や風習、歴史を書籍を通じて知ることで、旅行先で疑問に思ったことや、考えていたことがパッと晴れたり、あるいは更に考え込んだりさせる、「脳の導火線」のような役割をしたりするし、また何よりもわざわざその地に出向いて観光要素に目もくれずわざわざ本を読むという行為にちょっとだけ背徳感を感じるのだ。地域のお爺お婆がたくさんいる公民館みたいな図書館、あるいは金掛ける所なさ過ぎてなぜか異常に現代的かつ綺麗な市営/町営/村営図書館だとなお罪深い。まあさすがに申し訳ないし普通にそれで1日潰すことになるので複数人で旅行するときはあんまりやらないのだが…
別にここはフェリーターミナルなのであんまり罪深くは感じないし、なんならA君ガン無視で本を読んでいる事の方がまた違った意味で罪深い(本人は旅程の調べものしてくれてたり将棋したりしてた)のだが、読んで2か月以上たった後の記憶の中で覚えている限りこの本の内容を超ざっくりお話しすると、
・天売島の歴史文化(導入の導入)
・植樹について(これが8割)
というものであった。読める時間が小1時間だけだったので、歴史文化と植樹の触り部分しか読めていない。つまり読書した(読んでない)という事である。また来た時にちゃんと後で読破しなければ…
とはいえ得た学びもあり、第一にこの天売島、過去にニシン漁の資材繰り&鳥見物の観光客過多で木が減少、最終的にはげ山になり、断水が長期間続く厳しい状況となっていたらしいのである。それを50年以上かけて森林再生を行って、そして現在はこの本のメインである「保全する」という作業を行い続けているのだが、思い返すとこの島は、やけに島東部に木々が生い茂っていて、レンタカー屋でもらった地図にはやけに森の中に行く道が描かれていたような。我々は軽い気持ちでその道に入り、特になんもないけど自然やなあ~って感じで写真も撮らずその道を抜けていってたが、あれも全て50年近くかけてできた涙ぐましい人間の努力の結晶なのか。そう考えると不自然な部分にはちゃんと歴史があり、そうした事実を知るだけで物の見方が変化するという、まあ別に当たり前のことではあるのだが大切な事を思い知らされる。
また、天売島は「教育」を非常に重視する島だという記述があった。確かにこの島には道立天売高校という高校があった。人口200人ちょっとのこの島で、同じぐらいの規模の島である焼尻になく、十数倍の人口を有する礼文、利尻、奥尻にも一つしかない高校があるというのは、島の人々にとっては島の生命線のような役割を担っているらしく、特に本土から赴任してきた先生や、島外から入学してきた学生が非常にありがたい存在となっているのだそう。そして高校も島に密着した教育を行っているようで、学祭や運動会は島民全員で実施する形式をとっており、他にも普通科なのに水産の授業があったり、天売の歴史文化を学ぶ独自授業を展開するなど、島をすべて味わいつくす素晴らしい教育を行っているそうである。
そしてこのようになったのは隣の島・焼尻が高校を無くしてから一気に活気がなくなった事を目の当たりにしたことが一因としてあるようで、そう考えると焼尻のハイヤーのおじ様も、こんな活発な高校があればあんなブラックジョークを飛ばさなかったのかもな・・・と思うのであった。
以上