【19-20シーズンEL決勝】~セビージャvsインテル~マッチレビュー[2/2]
まだ読まれていない方には前編から読んでいただくことをオススメします。
【3】インテルの守備の穴を突くセビージャの見事な崩し
前半12分の1-1にした同点弾までの一連の流れが、"インテルの守備の穴を綺麗に突いた"完璧な崩しで、自分はセビージャのスカウティングのすばらしさに感動した。
その凄さを是非沢山の人に知ってもらいたいのでワンシーンを詳しく解説します。
<工程>
⓪:相手の守備ブロックのスライドでサイドに圧縮されたら、無理に打開しようとせず、一度サイドチェンジをして、ブロックを横に広げる。
①:ブロゾビッチはアンカーを抑えにDFラインにまで出てくることを利用し、ダウンスリーによってブロゾビッチを引っ張り出す。
⇒一時的に5-2-3の形になるため、ダブルボランチの脇が空く。
そのスペースをSBが使っていた。
ボランチの脇に侵入したSBにうまく楔が入れば、相手WBに対して数的優位を作ることが出来る。
しかし、インテルもこの状況が生まれることは想定済みで、サイドで数的優位を作るられることを阻止するために、ワイドのCBが持ち場を離れ、出てきて対応することがルールになっている。
②:そのルールも利用する。CBが出てくることによって空く"CB裏のスペース"にIHが飛び出して行って侵入する。
しかし、インテルはこのことも想定済みで、逆サイドのWBもボックス内へ絞って、スライドして対応する。
実際に、CB裏のスペースに侵入したフェルナンドにはデフライが対応していた。
ただ、IHが対応されたとしても、中央に侵入した以上、相手を一斉に中央に引き寄せられるため、サイドの選手はフリーになる。
③:中央で受けたIHは、相手を引き付けてから、フリーになったサイドの選手に(ワンタッチでもクロスを上げられるように)丁寧にパスする。
④:クロスにボックス内の選手(主にCF)が合わせる
ここにデヨングを先発に抜擢した意図があらわれている。
デヨングは、マンチェスターU戦の決勝弾にもあらわれているように、ボックス内での駆け引きが非常に上手い選手である。
それを理解してロペテギはデヨングを選んだのだろう。
実際に、この得点シーンでは、"THEストライカー"の動き(ナバスにボールが入った瞬間に一歩下がってマーカーの視野から消え、そこから一気にマーカーの手前に飛び込む動き)をしていて、そのおかげでゴディンを振り切ってフリーでクロスに合わせることが出来た。
*11:22(一歩下がる動き)*
*11:24(一気に手前に飛び込む動き)*
スカウティングとそれに準じた対策・起用法がすべて完璧にハマったゴールで、その完璧さに驚き、感動した。
【4】インテルはダメだったのか?
ここまでの【1】~【3】でセビージャの準備力の素晴らしさを褒めちぎってきたが、インテルについても触れていく。
結論から言うと、この試合でのインテルのパフォーマンスは通常運転といった感じで、とくに悪かったという印象はない。
ハイライトでも紹介されているだろうが、ラウタロ&ルカクの独走によるカウンターのシーンは3本あり、それぞれビッグチャンスだったが、うち一本が得点に繋がった。
また、自分が十八番パターンと勝手に読んでいるカウンター攻撃でもビッグチャンスを作っていて、あとはダンブロージオが合わせるだけだったシーンもあった。
シュート9本中5本を枠内に飛ばしてもいる。
守護神ブヌの好セーブも敗因の1つだと思う。
ただ、個人的にはコンテの修正力不足が敗因に挙げられると思う。
ビルドアップに対するセビージャのプレッシングに苦しんでいたのにも関わらず、フォーメーション変更で対応することも、ロングボールによる回避なども見せなかったのは修正力不足だと思う。
プレス回避のシステムを自分なりに考えてみました。⤵
あとがき
繰り返しにはなるが、やはりセビージャの準備力によって勝敗が決まったと感じる試合だった。
本編では触れなかったが、2点目のヘディングシュートに繋がったコーナーキックでのサインプレーも準備してきたものだったのだろう。
ゴールが決まった後すぐにコーチの元に駆け寄って嬉しそうにしていたのが印象的だった。
ただ、いくら準備を完璧にしても必ず勝てるわけではないのがサッカーの恐ろしさであり、インテルにはそれをやってしまうほどの個の恐ろしさを沢山見せていたので、どちらが勝っていてもおかしくはなかった。
2本立てで1記事の文字数も2000を超える長々とした文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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