~胸を張ってビッグ6と言える~フラムvsアーセナル[マッチレビュー]【20-21プレミアリーグ第1節】
まえがき
この試合、結果は0-3でアーセナルの快勝。まさに強者の試合運びだった。
アーセナルは、CBが5人けがをし、1人が移籍交渉の真っ最中、合計6人が欠場となった。ベンチメンバーには1人も本職CBが居なかった。
しかし、この不安しかない状況を、ガブリエルの大活躍/ホールディングとティアニーの安定したパフォーマンスが吹き飛ばしてくれた。
スタメン
【フォーメーションから読み解く"両監督の戦術的攻防"】
0-3の快勝の影で、フォーメーションの変更による戦術合戦が行われていた試合でもあった。
フラムのシステム変更には驚いた。しっかりとしたチームの型を浸透させてもいて、パーカーも凄いなぁと感じた。
○START
→フラム:4-4-2(=4-2-4)
昨シーズンから継続しているカタチであり、自分たちのスタイルがプレミアに/ビック6にどれだけ通用するのか、力試しをするというう意図だと思う。
→アーセナル:守備時5-4-1⇄攻撃時2-3-5
こちらも昨シーズンから継続しているモノ。昨季終盤/FA杯/CSSでビック6相手にも通用することが証明済みであり、普通に強いシステム。
また、フラムの2トップでのDFラインへのプレスに対して数的優位を作れるため、対フラムにおいて3バックは非常に賢明。
[可変GIF]
○アルテタの変更~リスク管理~
→攻撃時の4バックへの変更を休止
前半の立ち上がりは、フラムに多くチャンスを作られてしまっていた。その原因は"4バックでのビルドアップ"がフラムの4-2-4にハマってしまっていたからだと思う。
(フラムのスカウティングをすれば4より3バックが賢明なのは明らか。それでも4バックへの可変を選んだのには、"1対1の局面で勝てる"こと、"自分たちのスタイルを曲げすぎない"といった意味で4バックへの可変を選んだのだろう。)
だから先制点を奪った後は、"失点しいないこと"に重きを置くという意味で、4バックへの可変をやめて3バックでのビルドアップに変更した。
○パーカーの変更~ミトロヴィッチに最後の希望を~
→"昨季26ゴールのエース"ミトロヴィッチらの投入&4-4-2から3-4-3へ変更
まず、3-4-3同士のミラーにすることで、アーセナルのビルドアップを封じにかかる。
ミトロヴィッチが確実にボールを収めてくれるのを利用し、これまでのサイド攻撃から一変して、無理矢理中央をこじ開ける作戦。
↳これまでのサイドからの打開は、全くといっていいほど通用していなかったので、この変更自体は"良い修正"だった。だが、0-3になってからの変更は少し遅すぎたかもしれない。あと5~10分早ければ、違った展開になっていたかもしれない。
○アルテタの再変更~パーカーの修正策に速攻で対応~
→4バックへの可変を再開
フラムが3-4-3に変更し、3トップでDFラインにプレスしてくるようになった。それへの対応として、数的優位を作るために4バックへの可変を再開。本当に一瞬で変更していてビビった。
アルテタとパーカーともに監督キャリア2シーズン目だが、修正の速さという点でもアルテタが圧倒した。
【先制点を呼び込んだ"縦に早い十八番ビルドアップ"】
アーセナルは、昨季終盤→FA杯準決勝/決勝→CSSと、どこか似ている攻撃パターンから得点を奪っている。
その攻撃パターンを図解していく。
[相手の守備ブロックが非常に中央に絞る場合のビルドアップパターン]
①:中央をケアする分サイド(WB)は空く
②:フリーで受けたWBは、早いタイミングで、(中央の)ライン間へ楔を入れる。
昨季までは、この楔の受けてになれる選手がラカしか居なかったが、ウィリアンの加入によって2人に増えた!今季はこのパターンをメッチャ観れると思う。
その後は、"逆サイドへの展開"や"オーバの裏抜けに合わせたスルーパス"などで多くのチャンスを生む。
(この攻撃パターンからの得点した代表例)
↳昨季のFA杯準決勝マンチェスターシティ戦の1点目
シティにも通用する、超強力な攻撃である。(オーバの決定力に助けられてる感は拭えないが…)
この攻撃が昨季よりも一杯みれると考えると、ワクワクしてしょうがない。
【アーセナルの守備力~"盤石な試合運び"の原動力~】
開幕節からいきなり3得点と、攻撃力の光った試合だったが、その影に隠れて、チーム全体が連動した"組織的な守備"による強固なディフェンスも光っていたと感じた。
その守備をパターン分けして図解していく。
○<対ビルドアップ>ゾーン3~2での守備
この試合では、フラムの4-4-2でのビルドアップのカタチに合わせて(ミラーにして)4-4-2で待ち構えていた。
フラムのポジショニングが良くないこともあり、これだけでかなりビルドアップを苦戦させることに成功していた。
1対1の局面でほぼ確実に勝てることが前提になり、5-4-1よりは穴も出来やすくはなるが、攻撃力は逆に高まるので、4バックの格下相手には非常に有効である。
○<対サイド攻撃>ゾーン2~1での撤退守備
フラムは"サイドからの打開"がベースのチーム。
だが、その打開はSB+SHの2枚だけという貧弱なモノ。
⇒ちゃんとWGがプレスバックするだけで対応できる。
オーバメヤン/ウィリアンともに、しっかりとそのタスクをこなしていたので、クロスすら殆ど上げさせていなかった。
【ビルドアップで地味に欠かせない男"ベジェリン"】
語られているのをあまりみたことがないが、ベジェリンの黒子的な役割は、もっと評価されるべきだと思う。
その理由を紹介して、皆さんにもっとベジェリンの良さ知って欲しい。
56:00~ゴールキックからのビルドアップ~
→相手が予想以上にDFラインへのプレスに人数をかけてきたことで、ハメられた
⇒ジャカ→ベジェリンの連続ワンタッチプレー+浮き球によって、プレッシングを回避した
⇨3点目のシーンに繋がった
個人的な印象でしかないが、「ベジェリンのワンタッチプレーや浮き球での正確なパスのおかげで、苦しいビルドアップでも前線にボールを供給できた!」というシーンはかなりあると思う。
実際にこの試合のベジェリンについて、こんなデータがある。
ゾーン1でのビルドアップ、ゾーン2での持ち上がり、ゾーン3でのサイド攻撃と、どの場所にも顔を出してアーセナルの攻撃を支えている。
ベジェリンのビルドアップでの働きにフォーカスしている記事を見たことがないので、取り上げてみた。
あとがき
[フラム]
果敢にポゼッションサッカーを志向する戦いぶりには好感が持てたし、個々の技術力/コンビネーションもよく、十分にPLで戦えるチームだと思った。
また、アーセナルに対してはうまくいかなかったものの、4-2-4での守備は、4バックのままビルドアップをする中堅クラブたちには、かなり効果的なのでは!?とも思った。
十分に残留する力を持っているチーム。
ただ、サイド攻撃はもっと改善するべきだと思ったし、この試合でミトロヴィッチをベンチメンバーにした采配には疑問を持った。
[アーセナル]
本当に強者になったなぁと感じた。
つい1年前まで、ビルドアップが地獄で、中堅/下位クラブ相手ですらゾーン1から前進することが出来ずにいたチームとは思えない戦いぶりだった。
また、ガブリエル/ウィリアンの新加入選手が凄くチームにフィットしていたこと、エルネニーの再活躍が見られてうれしかった。
あと3rdユニが超カッコイイなぁと思いました!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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