【映画 ドラゴンクエスト ユア・ストーリー】感想※ネタバレアリ
ドラゴンクエスト ユア・ストーリーを観た。
予告段階ではハチャメチャに楽しみにしていたのだが、実際に公開され、初日に観に行った方々のぼかした感想や理由はわからないお通夜ムードを見て「これはヤバいぞ」と感じ、映画館で見るのはやめた。
そしてこれはTSUTAYAで借りた本作DVDを観た感想である。
なぜ「これはヤバいぞ」と感じて見に行くのをやめたかというと、私はドラクエ5が今までの人生でプレイしてきた全ゲームの内で一番好きだからだ。
ゲーマーではないのにスーパーファミコン版、プレステ2版、ニンテンドーDS版、そしてスマホ版。すべてリアルタイムでプレイしてきた。
やり込み体質ではないのでアイテムコンプやモンスターコンプなどはしていないが、私的にゲームと言えばドラクエ5であり、四コマ漫画劇場で育った女なのだ。
それぐらい思い入れのある作品なので生半可なリメイクだったらきっと立ち直れないなと思った。
そしてその選択はある意味では正解だった。
ゲームのリメイク映画だと思って観てはいけない
最初に結論から言うと、ゲームのリメイク映画だと思って観るとひどい目に合う。とんだ原作レイプだの凍てつく波動だの言われているのにも納得がいく。
しかしこれはユアストーリーではなく、「誰かのストーリー」だと思って観ればそこまでのダメージは受けない。
なぜならあれは私ではない佐藤健の声をした誰かが今回プレイしたVRゲームだからだ。
私はネタバレと評判を知ったうえで最大限まで期待度を落として視聴に挑んだが思ったほどのダメージは受けなかった。
・子供時代カット
・ビアンカへの恋心が強引
・キラーパンサーが即落ちでリボンエピソードカット
・子供(双子の娘)が居ない
・ラスボスの存在
・序曲の無駄使い
・5以外の曲を使う
このあたりがネットで酷評されていたところだが、5つ目まではこの映画の設定上「あり」だと思った。
メタ世界の主人公が意図的に子供時代をカットし、子供は1人と設定してスタートしたからだ。(追加ユニットという名称はひどいとおもったが)
よって、これはリメイク作品ではない。と思うことにした。
ただ、序曲が劇中何度も流れる事や5以外のドラクエの曲を使うことに関しては誠意が無いなと思った。
あれは佐藤健の声をした「誰か」の物語
私の最初の違和感として主人公が滅茶苦茶軽薄で、よく言えばその辺に居る若者的な俗っぽさだった事。
これも中身が佐藤健の声のアラサーリーマンであることを鑑みれば致し方なしなのだが、知らない内は違和感があった。(声の演技自体はとても上手です)
ドラクエは主人公が喋らない。最近はどうか知らないが当時は良くて「はい」か「いいえ」ぐらいしか喋らなかった。また、リュカという名前は小説の主人公なのだがこちらの小説、そして小説をもとにフルボイスになったドラマシアターの主人公と今作のリュカはイメージがけっこう異なるのだ。
そして小説版のリュカは良くも悪くも主人公的な優男で俗っぽさはほとんどない。
「むかしからこの名前でプレイしてるんで!」というシーンや、佐藤健の声のサラリーマンが幼少期はスーファミで、成長してからはプレステ2でプレイしてるシーンにはグッときた。
そうそう…!となった。
しかしあれはあくまで「彼」のストーリーであって「私」のストーリーではない。
あのVRゲームに時間制限があってカットしたのかもしれないが、多分彼以外のプレイヤーがもしあのVRゲームをプレイしたならきっとカットする場所や追加ユニットの数も変わったはずだ。
だからユアストーリーというタイトルは的外れなのだ。
余談だが個人的にリメイク以降のパーティーと会話できるシステムを通した伝説の勇者である双子の息子を「勇者ってわかったとたんみんなちやほやしちゃって…」と僻む双子の娘がとても好きなので(好きというのはおかしいが)
父親である私からしたら勇者でなくても娘は息子と同じく大切な子供なのでもしあのVRをプレイする機会があるとしたら絶対に子供は2人でプレイするし嫁はビアンカでプレイする。
嫁のユニットもフローラとデボラで切り替えることができるようにしてほしい。
ビアンカとフローラならビアンカ圧勝だがデボラとビアンカなら割と悩むので()
デボラは可愛いよ。
映画としてそこまで悪くはないが無神経さが鼻につく
さて、今作を映画として見た際に繰り返すが私は「いうほど悪くない」と思った。
ただ、監督の無神経さがその「悪くない」を覆すほどに鼻につくとも思った。
映像美やCG処理はとても良い。予告編を見た際には本気で楽しみにしていた。モンスターやキラーパンサーの質感、またアメリカアニメや人形劇を思わせるようなちょっと大げさな動きなどもとてもよかった。
音楽も変なアレンジが無い分作品への没入感があってよかった。
でも、先述の序曲を3回も使ったり、戦闘曲が4だったりエンディングが3だったりするのはどうかと思うし、「凄いラストのネタ思いついたから」っていう理由で監督をしたあの監督は本当にユーザビリティに欠けるしなによりデリカシーに欠ける。
これは元ネタを知っているから気づく部分だが、この映画を楽しみにしている人のほとんどが何かしらの形で5に触れ、大なり小なり思い入れがあったはずだ。
それを悪意なく踏みにじってドヤついている、そんな監督の態度が私は「ないな」と思った。
最後のラスボスを倒す剣がロトの剣なのも意味が解らん。天空の剣でええやんけ。まぁ今回の映画天空要素ほぼゼロやったけど。
お前らこういうの好きだろ???というのが感じられてイラっとした。
願わくば今後今回の映像クオリティのまま3部作ぐらいで完全リメイク作品を作ってくれないかな…