【レトロゲーム・レビュー&解説】#005 改造町人シュビビンマン【みろく☆クロニクル】
■改造町人シュビビンマン
・機種:PCエンジン(Huカード)
・ジャンル:アクション
・発売日:1989年3月18日
・販売:メサイヤ
・開発:メサイヤ・ウインズ
■はじめに
このわし、浮御堂みろくがこよなく愛するゲームとその魅力を紹介する企画、それがみろく☆クロニクルじゃ。
まあ、あくまでわしの独断と偏見じゃが、皆が興味をもってプレイしたり語り合うきっかけになれば何よりじゃ。
元々はYoutubeチャンネルの動画向けの内容じゃが、記事化にあわせて若干補足・修正を加えつつ、だいたい10分程度で読み終えるようにまとめたものなので、ご承知おきいただきたい。
■概要
ゲーム性が優れているわけでもなければ、ボリュームも多いわけでもなく、欠点もいろいろあって、けっして名作とはいえないが、時を経てなお多くの人の記憶に残る作品がある。
今回紹介する「改造町人シュビビンマン」は、そんなゲームの一つだと思う。
本作は、1989年3月18日に日本コンピュータシステムことメサイヤが開発・販売したPCエンジンのHuカード向けタイトルじゃ。
オーソドックスなスタイルの横スクロールアクションゲームだが、クリアまでのルートを選べたり、装備を購入してパワーアップする自由度の高さや二人同時プレイ可能なシステムで、幅広い遊び方が楽しめる。
「ラングリッサー」や「重装機兵ヴァルケン」など後に数々の名作を生み出すメサイヤブランドが、徐々にその輝きを見せ始めた時期の作品じゃな。
■ストーリー
突如地球に攻めてきた悪の宇宙帝国「亜空魔団」に対抗すべく、下町の天才科学者・豪徳寺博士は史上最強のサイボーグ「シュビビンマン」を開発した。
しかし、町の人々からは断られてしまったので、近所の魚屋の青年、太助と、女子高生のキャピ子を半ば無理やりシュビビンマンに改造してしまったのだ。
地球を救うため、ご町内の人たちの力を借りて、戦えシュビビンマン!というストーリーで、なかなかシュールというかギャグテイストになっている。
■ゲームシステム
操作方法は、ジャンプボタンと攻撃ボタンの2つとなっており、最初は剣での近距離攻撃のみだが、アイテムを購入すれば攻撃ボタンを長押しすることで遠距離攻撃であるシュビビームが撃てるようになるのじゃ。
プレイヤーキャラは、太助とキャピ子が選べるが、性能およびストーリー、エンディングに違いはない。
ライフゲージ制だが、スコアが経験値のようになっており、スコアが一定値に達するたびに最大値が上昇するとともに完全回復する。
町内マップではアイテムやヒントを買ったり、プレイするステージを選択することができる。
各ステージで敵を倒し、お金を集めつつ、クリアすると、助けた町の人からステージに違う特典が得られる。
ご覧のとおり、最終的には右上のボスを倒せばよいので、すべてのステージをクリアして十分に強化してからボスに挑むこともできるし、腕に自信がある人は最小限の強化で最短クリアを目指すなど、難易度をプレイヤーが調節できるようになっているのじゃ。
ただし、一つのステージをプレイすることに日数を消化し、日数が経過するほどにボスも強くなるのと、18日以内に倒さないとゲームオーバーになるので注意じゃな。
■主な開発メンバー
本作のプロデューサーは後に「重装機兵ヴァルケン」や「フロントミッション」「アークザラッド」を手掛ける土田俊郎氏じゃ。
ディレクターとして、「ジノーグ」や「ラングリッサー」、「エルディス」を担当した高杉学氏、白倉安昌氏が参加しており、世界観に徹底的に拘ったゲームデザインは、この方々によるものだと思う。
また、サウンドは「重装機兵レイノス」や「飛装騎兵カイザード」など多くのメサイヤ作品を手掛けた鈴木隆志氏率いるガブリンサウンドが担当しているのじゃ。
キャラクターデザイン担当のうらべ・すう氏は本作の続編のシナリオも手掛けたが、残念ながら若くして鬼籍に入られている。
関わった方々が手掛けた作品を見れば、本作もまた世界観に非常に拘ったゲームであることがよくわかっていただけると思う。
■魅力①「町内というローカルな世界観へのこだわり」
本作の最大の魅力は、ステージデザインからアイテム、登場キャラ、システムまで「町内」に統一したことで生まれる独特の「ゆるくてチープな」世界観じゃ。
それはゲームの進め方にも表れていて、例えば、「交番」ステージをクリアして警官から発砲許可をもらわないとシュビビームを撃つことができない。
「薬局」ステージをクリアすることで体力回復アイテムをもらえたり、「工場」ステージで攻撃力や防御力の強化、病院ステージで体力の回復など、町の施設を救うことがプレイヤーキャラの強化につながっているので、わかりやすいし、感情移入もしやすいのじゃ。
また、敵のボスが名古屋弁だったり、味方のはずの豪徳寺博士がプレイヤーの回復にお金を取るなどのケチさなども、宇宙人の侵略なのになぜか緊迫感のないシュールな世界観を演出している。
このなんともいえないローカルな世界観が気に入っている人は、わしだけではないと思うのじゃ。
■魅力②「プレイヤーが自分でレベルデザインを選べる自由度の高さ」
本作では、ボスまでのステージルートは、プレイヤーが自由に選べるようになっている。
慣れないうちはすべてのステージをクリアして十分に強化してから挑むこともできるし、慣れてきたら強化アイテムは無視して、最短4ステージでクリアすることもできる。
どのルートを通ってどのくらい強化するか、アイテムの購入も含めて、プレイヤーが難易度を自由に調整できるのが、繰り返し遊べる魅力となっているのじゃ。
シュビビームの強化についても、攻撃力強化と溜め時間の短縮のどちらかを選ぶようになっており、プレイヤーの個性や好みが表れる。
やろうと思えば、最初の交番ステージをクリアせず、シュビビーム無しでクリアすることすら可能じゃ。
プレイしたステージが多いほど、最後のボスが強くなるという設定も絶妙な難易度設定となっているのじゃよ。
■魅力③「協力も邪魔もできて、遊び方の幅を広げる二人同時プレイ」
本作は二人同時プレイができるのじゃが、「ファイナルファイト」などと同様に味方の攻撃が当たるようになっている。
体力こそ減らないものの、攻撃を受けると一瞬麻痺して動けなくなってしまうので、いわゆる邪魔もできる。
まあ、体力ゲージは共有なので、結局自分がダメージを受けることにもなるのじゃが。
もう一人のプレイヤーの上に乗ることもできるので、慣れたプレイヤーが、ジャンプが難しいところなどで自分の上に乗せて移動するなど、初心者をフォローをすることも可能じゃ。
もちろん、お金を奪い合うなどの殺伐としたプレイもできる。
前述のレベルデザインの秀逸さと併せて、いろいろな遊び方ができるので、友人などとワイワイ騒ぎながらプレイするのが楽しいのじゃよ。
また、二人同時プレイの場合だけ、合体シュビビームを出すことができるというのも、二人同時プレイならではの価値を高めてくれている。
■まとめ
もちろん、キャラの動きにクセがあって操作しにくいとか、敵のグラフィックに使いまわしが多いとか欠点が無いわけではない。
Huカードということもあって、けっして大作と言えるほどのボリュームもないので、クリアすることだけが目的だと飽きてしまうのも早いと思う。
しかし、ゆるくてシュールな世界観と、プレイヤーの様々な遊び方を許容する秀逸なゲームデザインが非常にマッチしていて、一人でも友人とでも気軽に何度も繰り返し遊べるということが、本作が多くの人の記憶に残っている理由だと思うのじゃ。
今でも時々ふっと手にとって遊んでみたくなる不思議な魅力があり、まさに、偉大なるB級作品という言葉が似合う作品なのじゃ。
■最後に
「改造町人シュビビンマン」は現在SwitchやXBOX、PS4/PS5などでダウンロード配信を行っており、気軽に遊ぶことができる。
ちょっと方向性が変わってしまっているが、続編も配信されているのじゃ。
興味を持った方にはぜひプレイしていただければ幸甚の至りじゃ。
また、369クロニクルで取り上げたゲームは、プレイ動画も公開中じゃ。
実際にプレイしながらより深く紹介しているので、興味をもったらぜひ観てくれると嬉しいのじゃ。