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【ライナーノート】Love Song 探して from ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々~(ファミコン)【歌ってみた】
原曲紹介
日本を代表するロールプレイングゲームの一つ「ドラゴンクエスト」シリーズの2作目「ドラゴンクエストⅡ」には、当時珍しかったタイアップ曲があった。
それが、今回取り上げる「Love Song 探して」じゃ。
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アイドル歌手である牧野アンナのデビュー曲として、ゲームの発売に先駆けて1989年1月21日(「ドラゴンクエストⅡの発売は1月26日)にリリースされ、さらにゲーム内に牧野アンナをモデルにした「アンナ」を街の歌姫として登場させるなど、当時としてはかなり画期的なキャンペーンを行った。
しかし、タイアップといっても、ファミコンの音源ではボーカルまでは再現できないので、あくまで同じメロディの曲をゲーム内で流す程度じゃ。
しかも、クラシック調のファンタジーRPGという「ドラゴンクエスト」のBGMの中に、ポップなアイドルソングというのは、ともすれば世界観を壊してしまう可能性もあったと思う。
しかし、最初のプレイヤー名の入力画面や、ゲームを再開するためのパスワードである「復活の呪文」の入力画面という、ゲーム内とは少し切り離された場面で使用することにより、プレイヤーにとって違和感なく作品に溶け込むことができた。
さらに、プレイヤーがゲーム再開のために何度も入力することになる「復活の呪文」入力画面で繰り返し流れることで、よりプレイヤーにとっては記憶に残る曲となり、歌詞こそ知らなくても曲を聴けば「あ、これドラクエⅡの曲だよね」と聴いた人がすぐに思い浮かぶほど印象的な曲となったのじゃ。
そういう意味では、ゲームのタイアップ曲としては、数少ない成功例と言えるかもしれないな。
![](https://assets.st-note.com/img/1736744360-PjqBrQS8On3xhVdJIuWbwko2.jpg)
作曲は「ドラゴンクエスト」シリーズの楽曲をてがけるすぎやまこういち氏、作詞は数多くのアイドル曲を手掛けた三浦徳子氏が担当し、大村雅朗氏が編曲している。
大村雅朗氏は松田聖子の「青い珊瑚礁」をはじめ、昭和のアイドル歌謡曲に多く関わり、日本の音楽プロデューサーの先駆けとして小室哲哉氏からも尊敬されている人物なので、実は非常に豪華な布陣で制作された楽曲じゃ。
すぎやま氏も数多くの有名な歌謡曲やアニメソング(伝説巨人イデオンの主題歌とか)の作曲も手掛けていることは有名じゃな。
すぎやま氏が作曲した原曲があまりにアイドルソングとはかけ離れていたので、編曲の大村氏がかなり頭を悩ませたというエピソードが残っている。
アイドルソングでありつつも、ゲームの要素をそれとなく取り込んだ歌詞といい、まさにプロの仕事を感じさせる。
「ドラゴンクエストⅡ」がリメイクされるたびに、「Love Song探して」はどうなるのか、ボーカル入りで入るのかと、ファンの間で話題になるほど、作品とともに愛されている、ゲームソングの理想形の一つと言えると思うのじゃよ。
制作にあたって
「ゲームソングを歌ってみた」をやるのであれば、この曲はぜひやらねばならないと思っており、ちょうど「ドラゴンクエストⅢ」や「ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ」のHDリメイク制作が話題となっている時期でもあるので、第三弾として、この楽曲を選ばせていただいた。
ただ、せっかくやるのであれば、ただカバーするだけではなく、わしの声質や現代にあわせたアレンジを加えたいということで、前回も楽曲制作をお願いしたこん様(https://x.com/konn_music)にアレンジおよびMIXを依頼させていただいたのじゃ。
こん様からは、レトロポップをイメージしたアレンジという提案をいただき、懐かしさと新しさが同居した非常に素晴らしい音源が完成した。
今らしさとレトロさを表現するために、低音を強調しながらも上に乗る音には要所要所に昔の雰囲気を残しています。
コード進行や転調に特徴がある曲だったのでその良さを損なわないよう、編曲の緩急をつけることを意識しました。
そして、MVについては、前回の「Dreams Dreams」と同様に、「ゲームの世界に寄り添う」というコンセプトで考えた。
例によって、ゲームのキャラなどをそのまま使うことはしたくないので、「何かを探して、世界をさまよう白い犬を、浮御堂みろくがそっと見守る」という、曲の歌詞とゲームをプレイした人ならわかるシチュエーションを組み合わせたイラストおよびMV、というのが今回のイメージじゃ。
ドラクエといえばファンタジー、ファンタジーと言えばやはり水彩画、ということで、こちらも前回の「Dreams Dreams」で素晴らしい作品を制作いただいた笛田鳩様(https://x.com/810poppofueda)に今回もイラスト制作をお願いすることにした。
「異なる時間帯・場所で、それぞれ違う構図で、白い犬と浮御堂みろくを描いてほしい。国籍とか具体的な場所はわからない感じで」という、かなり無茶な依頼内容にもかかわらず、いろいろと取材をしていただいたりご尽力いただき、今回の3点のイラストが完成したのじゃ。
いずれもポップでありつつもどこか懐かしい、あたたかいという、まさに「ドラクエらしさ」を感じさせる素晴らしいイラストだと思うのじゃよ。
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![](https://assets.st-note.com/img/1736742189-q39oQUJNByplFbDd4zGvrjwH.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1736742201-H1BIrOysNt4dJT9vxwYWXiqK.png?width=1200)
街を冒険する白い犬と、そっと見守るみろく様たちの気持ちが伝わるよう心がけました。
背景はどれも架空の場所ですが、「みろく様版Love Song探して」に合いそうな風景を写真に撮っておいて、それをもとに描き起こしました。
デモを聴きながら白い犬やみろく様たちがいる場面を想像しつつ、風景を探して写真を撮っていると、自分と白い犬が重なるようでなんだか楽しかったです。
そして、こん様の音源と笛田様のイラストを元にMVを完成させるのは、これも前回の「Dreams Dreams」で素晴らしいMVを制作いただいた、LAFTCLEN様(https://t.co/SbjhLOUaaE)にお願いさせていただいた。
今回も、曲やMVのコンセプトをご理解いただいたうえで、いろいろと細かくやり取りをしながらMVを制作いただき、当初に想像していた「レトロでポップな、懐かしくも新しい」、浮御堂みろくの「Love Song 探して」MVが完成したのじゃ。
今回も、クリエイターの皆様のおかげで、わしが想像していた以上の曲やイラスト、そしてMVを制作していただき、「ものを創り出す」ことの素晴らしさに感動と感謝の気持ちを惜しみなく送りたい。
音源制作&Mixのこん様、イラスト制作の笛田様、そしてMV制作のLAFTCLEN様にはあらためてお礼を申し上げるのじゃ。
本当にありがとうございますなのじゃよ。
なお、Youtubeのメンバーシップ限定で、本MVのメイキング動画ということで、笛田様のイラストのラフやイメージなどを紹介しているので、こちらもぜひ興味がある方はご視聴いただきたい。
原曲ではなくアレンジということで、原曲が好きな方にとっては気になる部分もあるかとは思うが、オリジナルは誰も及ぶもののない絶対の存在として、あくまで「浮御堂みろくという個人の解釈」ということで聴いていただければ幸いじゃ。
そして、これをきっかけに、また「ドラゴンクエストⅡ」をプレイしてみようかなと感じていただければ嬉しいのじゃよ。
最後に
「Love Song 探して」の原曲は、デビュー時に発売されてからしばらくの間、再販売などの機会がなかったが、2015年に『牧野アンナ コンプリート・シングルス Love Song 探して』として新たに再収録されてリリースされている。
カラオケ音源なども入っているので、今から入手するのであれば、こちらがおすすめじゃ。
HDリメイク版の「ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ」が発売されるときには、ぜひダウンロード版なども配信されると嬉しいのじゃよ。
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![浮御堂みろく@幽玄レトロゲーマー](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143749543/profile_755cc4ad2d6b682584e319def38006ec.png?width=600&crop=1:1,smart)